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未来都市

サイバーシティにあるマンションからロボット達が同時に扉を開けた。ロボット達はスピーカーから聞こえるアナウンスの指示を聞き、それぞれが指定された人間の元へ走っていく。その内の1人のβ300番。β300番は今日もパンを街の市民へ届けている。


「パンをお届けに来ました」


「あらまあ、ベータさん。今日もありがとうねぇ!」


β300番は市民からはベータと呼ばれていた。


「メロンパンですか?きなこパンですか?クリームパン?」


「メロンパンを2つお願いね。」


彼らロボットは任されたタスクを終了させると、報酬としてバッテリーと少量の報酬を貰える。バッテリーは彼らにとって心臓。バッテリーを定期的に変えなければ活動が強制停止する。政府が施した反乱対策だ。バッテリーは全て機械と人の手作業で作られている。ベータは市民と関わる仕事なので見た目、性能共に他の機体より優れていた。


ロボット達が数時間働き、夜になった。夜になると街中に置かれているゲートが閉じ、警備兵、α番号のロボット達が現れる。α番号のロボット達は全員が戦闘に特化している。彼らはサイバーシティの警備兵として夜間に現れる。サイバーシティは夜になってから一定時間、全ての機能が停止する。機械や工場、街の灯りまでが完全に止まる。その時、ロボット達の制御システムも一時停止し、シティに不満がある者たちが一斉に街を襲い始める。彼らは警備兵に撃ち殺され、焼却炉で溶かされる。


ベータはその時、マンションに帰っていた。外から銃声と叫び声が聞こえる。ベータは電源を落とした。


翌朝。今日は街の外から観光客が現れる。ロボット総出でお出迎える。


「ようこそサイバーシティへ。」


この街の市長が観光客たちへ挨拶をした。ロボットたちもそれに続いて歓迎した。大きな四足歩行ロボットの背中に飾り付けをし、観光客を乗せて街の中心へ運んでいった。ベータたちロボットもその後ろに続いていく。観光客の中には外国の大臣も乗っているようで、サイバーシティの上流階級の人間達も乗っていた。


その時、サイバーシティの明かりが全て消えた。サイバーシティを囲むように作られたドームが突然閉じ、辺りは夜のように暗くなった。それと同時に大量の警報器がなり、血が飛び散った。銃声と叫び声、再び。


「なんじゃなんじゃ!わしに何かあったらどうするんじゃ!じゃじゃじゃ!」


案内をしていた市長がロボットに首を掴まれて覆い被さられていた。


翌日。


「昨日の観光客が襲われた事件では、観光に訪れていた30名は全員が死亡、ピーヒャラ国のジャジャ大臣、市長の熊野市長が行方不明となっております。この事件についてサイバーガードは、「極めて遺憾」と述べております。ーーー」


この事件でサイバーシティは封鎖状態となった。ベータたちロボットは全員、地下の施設へ強制的に収容された。


「君、300番型?」


隣にいたロボットが話しかけて来た。


「はい。確かに私はβ型ロボットの300番型です。性能としても〜」


「やっぱり君は旧型だね。僕みたいな最新の600番型は人のような受け答えと滑らかな動きが出来るんだよ。見た目もほら、検査しないと分からないくらい人間とそっくり。」


「そうですね。確かにあなたは最新型のようです。」


「警備兵の話しをここへ来る途中聞いてたんだ。もうすぐ僕らは焼却炉で処分される。今なら警備兵の手が薄い。この街から出て自由になろう。」


600番型はベータに話しをしていた。


「君も嫌だろう。確かにこの街は素晴らしいよ?けど、僕たちは奴隷扱いされてるよ。」


「…。私はパン屋です。あなたの事情は知りません。ですが私は今の待遇で十分満足しています。あなたの話も嘘でしょう。警備兵に伝えます。」


ベータが警備兵の元へ走って行った。


「ふむふむ。そうか。」


警備兵はベータの話しを聞いて頷いていた。


「こちらα200。反乱因子を確認。β600です。焼却炉へ運びます」


警備兵は600番型へ駆け寄った。


「君、協力感謝する。同僚が待っている。待機室で待っていてくれ。」


ベータが外へ出ようとした時、600番型の声が聞こえた。


「君、僕の作戦を言ったのか…?君は賢いと見込んだんだが…。チックショー!」


ベータが待機室へ入った瞬間、先ほどまでいた部屋が落下し、ロボットたちの悲鳴が聞こえた。ベータは恐怖で身体中のネジが外れた。

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