リーナに導かれ
リーナに導かれ、小さな村へと足を踏み入れた。
木造の家々が並び、村人たちは畑仕事や家事に勤しんでいる。穏やかな雰囲気が広がる中、異世界に来た実感を改めて噛みしめた。
「ここが私の村、エルムの村よ。」
「エルムの村……。」
リーナに案内されながら、村の様子を観察する。行き交う村人たちの視線が時折こちらに向けられるが、特に警戒している様子はない。
「とりあえず、村長さんのところに行きましょう。旅人が来たら、まず村長に報告する決まりだから。」
「なるほど、案内よろしく。」
村の中心部へと歩く途中、スキル【ChatGPT】を起動した。
『この村は農耕と牧畜を中心とした小規模な共同体です。魔物の脅威は低く、治安も安定しているようです。』
「なるほど、安全な場所ってことか。」
しばらく歩くと、立派な木造の家の前に到着した。リーナが扉を叩くと、中から老人の声が返ってきた。
「入っておいで。」
中へ入ると、そこには白髪の長いひげを蓄えた老村長が椅子に腰掛けていた。温厚そうな顔立ちだが、その眼光は鋭い。
「初めまして。私はこの村の村長、オルドだ。」
「はじめまして。俺は蒼井翼です。」
「ほう、珍しい名だな。」
どう説明するべきか悩んだが、下手に嘘をついても怪しまれると判断し、正直に言うことにした。
「俺は……記憶が曖昧で、気がついたら森の中にいました。」
オルド村長は目を細め、じっと翼を見つめる。
「ふむ……異国の者かもしれんが、旅人であれば歓迎しよう。しばらく村に滞在するか?」
「いいんですか?」
「この村には困っている者を追い出すような風習はない。」
その言葉に、安堵した。
「ありがとうございます。」
「ただし、村での生活には何かしら手伝いをしてもらうぞ。リーナ、お前が面倒を見てやれ。」
「分かりました、村長!」
こうして、エルムの村での生活を始めることになった。