再びリーナのもとへ
翼とエルナは慎重に村の外の偵察を終え、再びリーナのもとへと向かった。敵の目的はまだはっきりとしないが、リーナが何か手がかりを持っているかもしれない。
「……リーナ、大丈夫か?」
そう声をかけると、リーナは少し驚いた表情を見せた。しかし、すぐに落ち着きを取り戻し、こくりと頷く。
「ええ、大丈夫よ。でも、敵がまだ外にいるのよね?」
エルナが腕を組みながら答える。
「そう。さっき見た感じ、まだ動く気配はないわ。何かの合図を待ってるみたい」
リーナは不安そうに視線を落とし、少し考え込んだ。
「……実はね、彼らのリーダーらしき人を、どこかで見たことがある気がするの。でも、思い出せなくて……」
翼は眉をひそめた。
「どこで見たのかもわからないのか?」
「うん……ただ、何か大事なことを忘れてる気がするのよ」
エルナがリーナの顔を覗き込む。
「何かきっかけがあれば思い出せるかもね。たとえば、その男の特徴とか、武器とか?」
リーナは記憶を手繰るように目を閉じた。
「……そうね、あの人……鋼鉄の義手を持っていた気がする。それと、すごく鋭い目つきをしていた……」
翼とエルナは顔を見合わせる。
「間違いない、私たちが見た男だ」
「やっぱりリーナと何か関係があるんじゃない?」
リーナは少し考え込むと、ため息をついた。
「私……もしかしたら、何か大事なことを忘れているのかもしれない。でも、それが何なのか……」
翼はしばらく考え込んだ後、決断した。
「わかった。敵の動きがまだ止まっているうちに、もう少し情報を集めよう。村の人にも何か知らないか聞いてみる価値はある」
エルナが頷く。
「そうね。それに、リーナが何か思い出すきっかけになるかもしれないし」
リーナは少し不安そうな表情を浮かべたが、それでも頷いた。
「……私も協力するわ。何か思い出せるように頑張る」
こうして、翼たちはリーナの過去の手がかりを探しつつ、村の人々にも話を聞くことにした——。