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目を覚ます

木漏れ日の下で目を覚ました。


 目の前には広がる深い森。木々のざわめき、鳥のさえずり、遠くで流れる水の音——すべてが現実とは思えないほど美しく、そして異質だった。


「……ここはどこだ?」


 呟きながら立ち上がる。服はいつものTシャツとジーンズ。ポケットにスマホを入れてみるが、電源すら入らない。まるで別の世界に来たかのような感覚が翼を包んだ。


 その時——


『おはようございます。スキル【ChatGPT】が起動しました。』


「……え?」


 頭の中に直接響く声。視界の片隅に、淡い光で浮かぶ半透明の文字。


『本スキルは、ユーザーの状況を分析し、最適な行動を提案します。質問をどうぞ。』


「スキル……?」


 戸惑いつつも、今の状況を理解しようと試みる。目の前の景色、聞こえてくる音、そしてこの不可解な声——すべてが示しているのはひとつの答え。


「……もしかして、異世界転移?」


 答えを求めるように、翼はスキルに尋ねた。


「この世界はどこなんだ?」


『現在地は不明ですが、環境から推測すると温暖な森林地帯です。生存率を上げるため、まずは水源の確保を推奨します。』


「水源か……たしか、さっき水の音が聞こえたな。」


 耳を澄ませる。遠くから流れる水の音が聞こえる。翼は慎重にそちらへ向かうことにした。


 ——しばらく歩くと、小さな川にたどり着いた。透き通った水が流れ、辺りには動物の足跡がいくつも残っている。


「よし、これで水は確保できるな。」


『安全のため、水を飲む前に火を起こし、煮沸することを推奨します。』


「……火を起こすって、どうやって?」


『付近の乾いた木の枝と石を探し、火打ち石を作成するか、木の摩擦熱を利用してください。』


「なるほど……試してみるか。」


 翼は落ちている枝や石を集め、なんとか火を起こそうと試みる。数回失敗するも、ついに煙が立ち、小さな炎が生まれた。


「やった……!」


 達成感に包まれる中、突然、茂みの奥で何かが動いた。


『警告。接近する生命体を検知。おそらく獣型の魔物です。』


「……マジかよ。」


 ごくりと唾を飲み、慎重に身構える。スキル【ChatGPT】の次なる指示を待ちながら——異世界での初めての試練に立ち向かおうとしていた。



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