魔女と奴隷少年
イギリスにある首都ロンドンの薄暗い路地裏。
そこには、薬をやって頭が異常になっている者や犯罪に手を染め、人生を諦めている。いわゆる世間では、ゴミのはいだめになっている場所。
そこの路地裏には、一人の少年がいた。
ボロボロの布切れを服にして、髪はカサカサで酷い臭いを放っていた。
少年は、そこで体育座りをしながら地面に横たわるように上半身を崩していた。
もう生きているのに疲れていたのだ。
親は知らずに生き、自分の名前もわからない。
街を放浪して、スリ、強盗をしながら精一杯に生きていた。
それしか生きる術がなかったのだ。
そんな毎日を過ごしていたら、貴族に捕まってしまった。
そう……その貴族の財布を盗もうとしたが下手をうってしまい取り押さえられたのだ。
取り押さえられた少年は、貴族の豪華な家に連れ込まれ、お仕置きというなの鬱憤晴らしの暴力を振るわれた。
地下の牢屋にぶち込まれた。そこは、鼻につくような血生臭さだった。
壁には、人を縛り付ける鎖が立て掛けてあり、木の椅子があった。
木の椅子に乱暴に座らせ、暴れないよう手足をロープで縛る。
貴族は、ニタニタしながら鞭を取り出し、バチンバチンと床を叩く。まるで恐怖を掻き立ていた。
毎日、毎日……鞭で身体を叩かれ、赤く腫れていく。
悲鳴を上げても誰も助けてくれない。
そうだ。これは神罰なのだろう。
生きる為に犯罪を犯してしまったから神さまの天罰が降ったのだろう。
だがそれは理不尽ではなかろうか?
自分は、毎日痩せこけた腹を満たすために、したくもない事をしてしまう。
どうして……どうしてなんだろう。
そんなことを自問自答を頭の中で繰り返したが、結局答えはでなかった。
そんな毎日を送っていた貴族は、もう少年をいたぶるのは飽きたのか。扉から黒のタキシードを着て帽子を深々と被っていた中年の男が現れた。
貴族は、黒服に会話をして金を払った。
黒服は、『オイッ』と呼ぶと裏から屈強な男二人がでてきた。
少年は、男二人に椅子に拘束されたロープを取った。
一人の男は、少年を軽々と持ち上げ床に寝かせる。
もう一人の男は針をつけた容器を取りだし首元に指す。
少年は、何も感じずに身体に異物を流し込まれる。
少年は、そこから意識を失った。
少年は、貴族に奴隷商明け渡されたのだ。
そこから奴隷商に奴隷としての主人を喜ばせる作法を無理やり教えていった。
だが少年は、何もせずに黙って座っているだけで奴隷としての価値はなかった。
奴隷商は、呆れて外に放置させた。
少年は、外に放り出され座っていた。
瞳は、生気を失い光が黒く染まっていた。
そこで少年の命は、終わるはずだった。
もう心臓は、小さくそして遅く鼓動し、瞼は重く閉じそうになっていた。
だがそこに一人の女が現れた。
女は、見下した視線を向け少年を見つめる。
少年の身体を起こし、両手でお姫様抱っこをした。
少年は、なんで助けるのかという視線を送っていたが女は、何も言わない。
だんだんと人がいない森についた。
森は暗く、身震いする冷たさをしていた。
女は、迷うことなく真っ直ぐに歩いていく。
導かれるようにーー
やがてポツンと小さな一軒の家があった。
木造でできた家だろうか?
女は、トビラを開け、入っていく。
光の粒子が彼女の身体を包む。
女は、魔女だった。
三角帽子で黒く紫のマントをつけ、ドレスを纏っていた。
あぁ……魔女の魔法の生贄にされるのかと女の正体より、命の終わりがくるのかと察する。
魔女は、ベットに少年を寝かせる。
無表情な顔でカツカツとヒールを鳴らし、何処かに行った。
少年は、逃げ出そうするが脚が折れているのか上手く立てなかった。
いや……それ以前に何も食べていない空腹で動けないのだ。
少年は、魔女を待つ。
数分後待っていたら、魔女は手に桶を持っていた。
桶から湯気を立ちこませ、床に置く。
タオルを絞り、熱くなっているタオルを少年の汚れた身体に拭く。
優しく懇切丁寧に……
少年は、安心したのか目をとじ、深い眠りにつく。
魔女は、懐から杖を取りだし、ブツブツと唱えだす。
少年の傷ついた体が暖かな陽光の日差しに浴びる。ミルミルと痣やヒビが入った骨が治っていく。
ボサボサの髪を石鹸で塗りつけたブラシで擦り、汚れを落とす。
少年は、やがて綺麗な身体に生まれ変わったかのような姿になった。
魔女は、伸び切った少年の髪を簡単にハサミで切った。
それから魔女は、膝枕をして、窓から視える沈んでいく太陽を哀しい瞳で覗く。
口ずさみながら、子守唄を響かせる。
膝からポタポタと何かが垂れていた。
少年の涙だった。
ギュッとドレスを握りしめ、『母さん……父さん……何処にいったの』とかすれた声で伝えた。
魔女は、サラサラになった髪を愛おしく撫でる。
ニコリと笑い、少年は頬をスリスリと子猫のように擦りつける。
『おやすみ、私の可愛い坊や』と耳元に囁く。
魔女は少年をいつまでも優しく抱きしめていた。
少年は、やっと自分のやさぐれた心を埋める居場所を見つけることができたのであったーー
終わり
頭に思いついた物語を書いてみたのですがどうでしたか?
最後まで読んでくださった読者様に感謝します!!
それではまたどこかでサラダバ〜