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響命未來  作者: アマビエの案山子
プロローグ
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プロロロローグ

−神代より 言ひ伝て来らく そらみつ 大和の国は皇神(すめかみ)の 厳しき国 言霊の 幸はう国と 語り継ぎ 言い継がひけり……−


「この歌は、“我が大和の国は、神代より皇室の祖先である神様が威厳を持って守る国であり、言霊が幸いをもたらす国であると、語り継ぎ、言い継がれてきた国だ”という意味で、山上憶良が遣唐使に送った歌だとされている」


 青年は男が研修と称した授業のようなものを受けていた。


 青年は、部屋の中心に配置されている学習机のセットである椅子に座り、前の壁に取り付けられた電子黒板の前で講義を行っている男の話を聞いていた。


 男は授業が始まって以来、開いてもいない教科書をペラペラと振りながら、部屋の中心にたった一人いる青年に淡々と説明を続ける。


「仮名文字の元である漢字の生みの国であり、偉大な文字文化を持つ大唐帝国。今の中国だ。そしてその漢字は、分類としては表語文字という文字体系に分類される。表語文字とは、一つ一つの文字が音と意味を兼ね備えている、漢字やヒエログリフなどの文字のことを指す。例えば、この“本”」


 男が落書きだらけの電子黒板のやっと見つけた余白に[本]という文字を記してみせる。そして、動かしていた教科書をピタリと止め、もう片方の手でペシペシと教科書の表紙を叩いてみせる。


「この[本]という漢字一文字によって、この教科書のような“本”という“意味”を示すことができるし、[ほん]といった発音、つまり“音”も示すことができる。一文字だけで言葉が完成しているんだ。では、本は[ほん]と発音するが」


 男がそう言いながら、今度は[ほ][ん]と記してみせる。


「この[ほ]と[ん]というひらがな。これらは別に一文字一文字が意味を持っているわけではない。[ほ][ん]という発音だけだ。このような文字体系のことを表音文字という。この表音文字である仮名、そして表語文字である漢字を組み合わせた日本独自の文字文化である、日本語だ。この日本語という二つの文字体系を組み合わせた言語の表記体系は、他の言語より遥かに膨大かつ複雑であることを引き換えに、柔軟さを手に入れた!」


 両手を勢いよく広げた拍子で教科書が飛んでいったが、男は気にも留めずに続ける。


「唐という大国と対峙する対外関係の中で、日本は自国の言語活動を自覚した。それが“言霊”という語を用いる契機となったと考えられている。先程の歌に戻るが、日本最古の和歌集である万葉集に収められている歌の一部にもあのような文がある通り、日本では古来から言葉には霊力が宿っているという考えの元、“言霊”というものが信じられてきた」


 先程より早口になった男が捲し立てた。


「“言”により“事”が生じる」


 男がニヤリと笑みを浮かべ続ける。


「“言霊”は今では身近なものとなっているが、それも2040年に現代における“言霊”の第一発見者 圓城寺 史子博士が「日本人には元来、“言霊”という個々の能力が備わっていた」ということを発見してからだ。それまでは、ある言葉を口にすることでその内容が現実のものとなる…例えば、受験生に対して“落ちる”や“滑る”なんかの忌み言葉を使ってはいけないなど…まぁ、言ってしまえば一種の宗教的な信仰に過ぎなかったんだ。だがしかし!その考え方、いや、世界の常識すらまるっきり変えてしまったのがさっきも紹介した通り、圓城寺博士だ!彼女は当時学生だった。彼女は知識に飢えていた。その知的好奇心は、どんなに崇高な文献を読んでも、どれだけ高明な先生の話を聞いても満たされることはなかったという。そして、まだ明かされていないこの世の謎を知りたいと、願った……」


 そこまでいつ呼吸を行ったのかもわからない程の勢いで喋り続けた男が、突然黙り込み、目を瞑り、天を仰ぐ。


 実際は数秒だったのだろうが、青年にとっては数分が経過したとも感じ取れた長い沈黙は、脈絡もなく目をカッと開いた男によって破られた。


「––識ってしまったそうだ。この世の隠されていた謎を!人が持っていた人智を超えた力を!それが現代社会においての基盤、日本という国を世界の頂点と言えるまでに発展させた……っ!“言霊”という力だ!!!」


 力強く決まった!と言わんばかりのポージングを取り、数秒の時が流れる。


 痺れを切らした青年が手を挙げ、呆れの感情を乗せた質問を微動だにしない前の男に投げかける。


 そう、ここまではいつもの流れ、なのである。


「……ん?なんだ?質問か?…あぁ、その通り。この話は36回目だな。そしてその質問も35回目だ。さらにはもう少し続くことも理解っているだろう?うん。君のことは大体わかってきた。君はノリが良くて面白い人間だな。そして負けず嫌いだ。うんうん。よし、続けるぞ」


 青年が口を挟む間もなく、男が捲し立てた。


 36回投げられた教科書を拾い上げ、男が再び話し始める。


「“言霊”というのは日本人が生まれたその瞬間に魂に刻み込まれる一文字以上の“漢字”。その“漢字”に関する能力をイメージし“詠唱”を行う。するとそのイメージと“詠唱”に従った効果が現実に現れるという、一昔前までは特殊能力、異能力などと呼ばれ、創作の中の産物だとされていたものだ」


 そこで男は話を一区切りし、パチンッと指を鳴らす。その途端、電子黒板が切り替わり、画面の半分以上を男の顔が占領している、東京の街並みを映した動画が流れ始める。


『ここが日本の首都、東京だ!かつて日本の各地で勃発した言霊戦争から約100年、一度は前の文明が見る影もない程に、日本全土がが焦土と化した。しかし!言霊術師達の献身的な働きのおかげで、このように!前よりも進化した文明に発達し、返り咲いたんだ!』


 画面の向こうで男が大仰に手を広げる。その先には多くの摩天楼が建ち並び、人々が自動車やモノレールを使って、往来する姿が映っていた。


 男がカメラを上に向け、空中を勢いよく行き交うモノレールを映し、再び喋り出す。


『例えばこのモノレールのレールには、『加速』『減速』などの言霊が付与されていて、物理現象だけで動いている訳じゃあない!』


 そこで男はくるっと振り返り、後ろにいたギャラリー達に手を振る。

 黄色い歓声を宥めながら、男は続ける。


『みんな!集まってくれてありがとう!動画に映っても大丈夫かな?...OK!サンキュー!それじゃあ、リスナーのみんなにも協力してもらうよ!』


 男が三脚にカメラを設置し、男と男がリスナーと呼んだ20人ほどの人たちが映し出される。


『ではでは、諸君の中から自分の言霊を紹介してくれるサイコーちゃんはいるかな〜?』


 男がギャラリー達に協力を募ると、主に学生くらいの人達がちらほらと手を挙げ始める。男がそれを見渡し、吟味したところで、


『……お!それでは君達!前に来てくれるかい?』


 と同じ制服を身に纏った女生徒三人組を指定した。


 その女生徒達は何やら話し合った後、三人のうちから二人が前に出てきた。それを確認した男は頷き、話を続ける。


『それじゃあ、今回は東京高専のエリートちゃん達にご協力を願うよ。ありがとう!では早速だけど、まずは君達のハンドルネームと言霊を教えてくれるかい?』


『は、はい!私はこののんって言います!東京高専の六年で言霊は化けるの<化>です!』


 少し緊張した様子でショートカットの女生徒が自己紹介をする。


 すると、もう一人の落ち着いた雰囲気を醸し出すロングヘアーの女生徒が


『こののんちゃん、緊張しすぎよ。少し落ち着いて。ごめんなさい。この子、少しあがり症で…どうも。私は、周りからはユウカと呼ばれています。よろしくお願いします』


 と緊張しっぱなしの友人の肩に手を置きながら自己紹介をする。


 彼女達の自己紹介を確認した男は、笑顔でうんうんと頷いてから、またも大仰な動きと共に話を続ける。


『それでは!今から実際にこの二人に言霊を使ってみてもらうよ!二人とも準備は良いかい?』


 そこで男は一度、女生徒達に目を向ける。二人が軽く頷いたのを確認した男が再び声を上げる。


『じゃあ〇〇ちゃんからお願いしようか。危険性のない感じでよろしく〜』


『は、はい!ふぅ、それでは…いきます![時には人にもつままれる]!!』


 そう女生徒が詠唱した途端、ギャラリー達がざわざわとし始めた。しかし、動画を見ている青年にとっては何が起こっているかさっぱりであった。


 それもそのはず、実際に映像には詠唱前と特に変わった様子は無かった。青年が何が起こったのかを暴こうと、少し目を細めたとき、画面の中の男が目を輝かせ大声を出す。


『ほほお!自身を変化させる能力か!大きいキツネちゃんが急に現れたねぇ。ふむ、だとすると…』


 興奮した様子で、男が画角の外へ出て行き


『やはり、カメラのモニター越しだと君の本来の姿のまま…なるほどなるほど。きっとその場にいる人間だけを欺く能力なんだね』


 モニター確認しに行った男が手を叩きながら画面内に戻ってくる。


『非常に興味深い能力の紹介をどうもありがとう!できれば動画でもわかるような能力ってないかな?』


 少々申し訳なさそうに手を合わせながら、男が女生徒に頼み込んだ。


『それでしたら…[旱天に降るは狐の涙か]』


 女生徒は顎に指を当て考える素振りをし、目を瞑りながら詠唱した。すると、女生徒を中心に煙が噴き出て、一気に画面が白で覆われた。その間僅か二秒ほどで、煙は不自然なほどにスッと消え失せる。そして、先程まで女生徒が立っていた場所には、女生徒と同じくらいの背丈の狐が立っていて、周りには火の玉が空を漂っていた。さらには、空は晴れているにも関わらず、雨が降ってきたのである。


「やっぱ近年の子供達はほんとに豊作だ。この雨も、濡れはしないのに音まで本物宛らだ」


 手を控えめに差し出し、掌の上で弾け消えゆく雨粒を見ながら男が呟いた。


『これならどうでしょうか…?』


 自信なさげに女生徒が問う。


 すると男は、大きく手を叩きながら


『素晴らしいよ!今度はしっかりモニターでも確認できる。これならきっと視聴者にも伝わるはずだ!ご協力感謝するよ。とても良い動画になった!みんなもこののんちゃんに大きな拍手を!』


 大声で称え、ギャラリーにも拍手を促した。


『あ、ありがとうございましたっ!!』


 女生徒は歓声に戸惑いながらもペコペコとおじぎをしてギャラリー達の野次に答える。


 そこで、今まで後ろで見守っていたもう一人のロングの女生徒が


『あの...わたしのこと忘れてません?』


 と、少し不満そうに、含みを持った笑みを浮かべながら男に語りかけた。


『モ、モチロンワスレテルワケナイジャナイカー』


 もはや、ギクリというような擬音が聞こえるほどの棒読みで男が答える。


 その様子を見たギャラリーの方からは、クスクスと笑い声が上がる。


『あらひどい。なんですかその棒読みは』


『本当に忘れてたワケじゃないよ?』


『どうでしょうね?』


 女生徒は揶揄うようにケラケラと笑った。


 そんな女生徒に男は「勘弁してくれよー」と冗談めかしく、手を合わせ謝罪の意を示し


『ゴホンッ!』


 咳払いで場を切り替え、続ける。


『えーと、マジで忘れてたワケじゃないんだけど、次はユウカちゃん!言霊を紹介してくれるかい?』


『そんなに言うと、余計に怪しいですよ』


 弁解が若干しつこい男に対してジト目になりながら、ロングの女生徒が自信の言霊について説明を始める。


『それでは。私の言霊をご紹介させていただきますね。私の言霊は<鶏>です。能力の内容は...大体想像がつきますよね?』


『ふむ。<鶏>か。ということは...召喚系だね?』


 さっきまでのふざけた感じとは打って変わって、男が真面目に答えた。


『勿論その通りです。私の<鶏>の能力はの一つは鶏を召喚し従えることができる能力となっています』


『言霊における名詞とは、主に“顕現”、“召喚”、“生成”の三つに分類され、生物系の言霊である<鶏>は、その名の通り鶏を召喚することができる能力というわけだ』


 男の解説調の喋りに対して、うんうんと同調するように女性とが頷きながら


『細かい制約を省くと大体そうですね。言霊術の基本中の基本であり、現在の日本では常識ですね』


 と、続ける。


『となると...うん!とても好都合だね。動画的にも映えるし分かりやすい。ここで召喚を使って見せてもらえると非常にありがたいんだけど、どうだい?』


 男が少し後ろに下がり、鶏を召喚できるであろう空間を作り、手で示した。


 女生徒は頷き


『えぇ。問題ありません。試しに三羽ほど召喚してみますね』


『あぁ。是非お願いするよ』


『それでは参ります』


 女生徒は目を瞑りながら、掌を男が示した空間に向ける。そして


『[召喚:チャボ 三羽]』


 と唱えた。すると


『『『コケコッコオオオオオオオオオオオオッッ!!!』』』


 何もない空間から三羽の鶏が現れたかと思った矢先、威勢の良い鳴き声を上げながら走り出した。


『こらっ!ダメでしょ!』


 少々のパニックが予想されたが、召喚主の一言によって、一羽は召喚主に捕縛、一羽はショートの女生徒に抱き抱えられ、そしてもう一羽は男の頭の上で停止し、事なきを得た。


『あの...降ろさなくても平気ですか?』


 先程までの、物腰柔らかだがどこか自信ありげな雰囲気とは変わり、女生徒が恐る恐る顔色を伺いながら男に聞いた。


 そんな様子の女生徒とは裏腹に、男は不敵に笑いながら


『古い言葉に、いいハンターっての『ハラガヘリコッコオオオオオオオオオオオオッッ!!!』悪いんだけどちょっとこの子黙らせてくれないか?』


 決め顔で言おうとした男の決め台詞は、頭の上の鶏の鳴き声によって遮られた。


 女生徒は慌てて駆け寄り、鶏に言い聞かせる。


『いい子にしてたら、後でちゃんとご飯あげるから少し静かにしてられる?』


『ウンコッコ...』


『ほんとに鶏?オウムかなんかじゃないのか?』


 日本語を喋っている気がし無くも無くも無い鶏に不信感を抱きながら男は続ける。


『ン゛ンン!まぁ、これで言霊というのはどういうものか、だいたい伝わるだろう。不安要素は結構あるけど、まぁいいや!それでは、【リスナーに協力をしてもらって言霊を紹介しちゃうぞ!】のコーナーはこれにて終了!二人ともご協力誠に感謝するよ。とても良い動画になると思うし、何より楽しかった!』


『あ、はい!こちらこそありがとうございました!』


『この度はうちの子が失礼致しました。でも、私も楽しかったです。ありがとうございました』


 男の企画に協力した女生徒達は、二人揃ってお辞儀をした。


 男はニコリと笑い二人に受け答え、ギャラリーの方に向き直る。


『改めてギャラリーのみんなも来てくれてありがとー!!それじゃあ、また会おう!』


 ギャラリーからも何重もの「また会おう!!!」の声が上がる。


『あ、視聴者のみんなは次のコーナーをどうぞ』


 男のその声を最後に動画は、無性にキラキラした加工が施された男の写真が複数枚使われたアイキャッチに切り替わった。


 やっとアイキャッチが消え、今度は男の手持ち視点の動画が流れ始める。


『さあ、今度は紛争地にやっ(ドガアアアアン!!)んな感じでデモ隊の暴走とか、暴力団(バゴオオオオン!)各地で起こってるんだよね。『エイセイヘエエエエエエエ!!!』に設立されたのが今必死(ドオオオオン!!)だ。軍には言霊を扱える精鋭、(ガガガガガガ!)精鋭が揃っていて、間違いなく現日『なんなんだあんた!?ここは今戦場だぞ!?』と言えるね。ちょっとインタビューしてみようか』


 男は、戦闘服を着用した軍人に、ちょいちょいと呼びかける動作をしながら話しかける。


『もしもし軍人さん。ここでは今何をしているのかな?』


『見てわかんねぇのか!?戦闘中だよ!』


『アハハー。そうだね。それはわかるんだけど、その戦闘が起きた大元の原因ってなんなのかなーって』


 今もなお、爆音と共に土煙が舞う中、男はそれらを気にもとめない様子で捕まえた軍人に質問を続ける。


『連日続いている学生達のデモ騒動を収めるために軍が動いたんだよ!詳しいことは一兵卒には教えられてねぇよ』


『ふむふむ。みんな持っている武器も様々だね。それじゃあその装備は?あ、そこ危ないよ』


 男はそう言いながら、軍人の掴んだ腕を引っ張る。すると先程まで軍人がいた場所に火柱が立ち、鼓膜が焼けるような轟音が鳴り響く。


『うおわっ!?ホント何なんだあんた!?装備については軍事機密だから教えられねぇ!なぁ、さっさと俺を解放して避難してくれ』


 軍人が戦場にもかかわらず、飄々とした態度の男に恐怖心を覚え始め、若干涙目になりながら腕を掴んでいる男の手を振り払おうとする。

 しかし、決して筋肉質ではない(なり)にそぐわない握力で捕まれ、振り払うことができず、軍人は男に対して、ますます恐怖していく。


 すると、そこへ


『おい!貴様ら何やってんだ!!』


色の違う腕章をつけた軍人が、二人を睨みつけこちらに向かってくる。


『おっとっと。ここまでか、ご協力感謝するよ。若き軍人君。これからも頑張ってくれたまえ。それじゃあまた会おう!』


 男は怒涛の勢いで一方的に言葉を浴びせると、カメラの視点を荒ぶらせながら、走り始め


『ここまで見てくれてありがとう。楽しんでいただけたかな?もしそうだったら、チャンネルの登録と高評価等もよろしく。それじゃあ!また会おう!!』


そう言って手を振る男の映像を最後に動画は幕を閉じた。


 男が再び指を鳴らすと、電子黒板が汚い方へと戻った。


「さて、上からの命令で世界向けの【言霊術と現在の日本について】の紹介動画を作ってみたんだけど、どうだったかね?まぁ確かに言霊の能力を教えてもらっておいて何だけど、世界向けへの能力ではなかったかもね」


 男は少し考え込むそぶりを見せる。


「まあいいや。上からはそこまで指定されてないし」


 頭の中から余計な思考を振り落とし、黙って見ていた青年に向き直る。


「さて、このセミナーも今日で最後だ。長かったね、お疲れ様。最後に一つ問おう。君のこれからの精神科医人生における座右の銘を聞かせてくれ」


 いつまで続くのかもわからなかったセミナーが突如終わりを迎え、青年は少し面を食らったようなリアクションをする。


 しかし、すぐに持ち直すとこの場で初めて口を開き


「俺は……」


………


……





(何と答えたのだろうか?今は果たせているのだろうか…純真で愚鈍だった僕は、誰かを救いたいと思っていたのだろうか?)



 そこで




 利久(りきゅう) 奨水(しょうすい)は再び目を覚ました。

※この物語はほたての時代との共同制作となります。この作品は「選択未来」のスピンオフです。

同設定でほたての時代が書いた原作もありますのでよければ下記のURLからそちらもご覧ください。

https://ncode.syosetu.com/n0782id/

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