転生
(転生プログラム、始動)
ぅう、なんだ?息ができ、ん?しなくて良い?それに暖かいような、目も開けられ、ないって言うかそもそもないって感じだし。なんだここ?
微かな意識の中、機械的だが何処か温かみのある声が聞こえた気がした。
あぁそう言えば、俺死んだんだっけ。車に轢かれて。
俺には、妥当な最後なのかな。ずっと浪人続けて、引きこもりになって、親のすねかじって生きてきたからな。いつからだっけ、暇な時間が毒に感じたのは。親不孝者に対する天罰なのかもな……。ざまぁねぇな。こうなったら、天使にでも助けをこうか?
(スキル毒耐性、天使召喚獲得。)
どうして轢かれたんだっけ……
そうだ、牛乳買いに行って、前から暴走した車が来たんだった。運ねーな、俺。これでも、ゲームのガチャ運はかなりよかったのになぁ。
(スキル幸運獲得)
さっきからなんだ?ってか、ここ何処だ?何も見えない、真っ暗だな。童貞にはお似合いだ。それに、童貞なら賢者の知恵もあったもんだ。ぁあ、最後に俺女の人の裸体拝みたかった。
(スキル大叡智獲得)
(ここから大叡智がプログラムの代行をします)
ん?なんだ?さっきより、声が聞きやすくなったか?こんなこと考えてるけど、そもそもなんのための空間なんだ?
(何に生まれ変わりたいですか?)
いきなり、何だよ。でも、そうだな~、生まれ変わったら、おっぱい揉めて力がほしいから……そう、武器が使えて丈夫な体が良いな。って言っても、死ぬ前?でいいのか?は、武道やってなかったし、出来るものなのか?意外と。でも、痛いのは嫌だし。だけど、防御極振りの体も嫌だからなぁ。我ながらワガママなこって。
(転生先を粘液魔人に決定。)
てんせい?あっ、転生か。俺死んだんだな。ねんえき?なんだそりゃ。ベトベトしてんのか?気持ち悪そうだな。でも、スライムって物語でよく、成長の可能性があるやつだよな。なら良いかも。前世は顔は~、中の下ぐらいだったような、ないような。そこそこの顔で……。はいはい、分かりましたよ。実際はかなりブスでした~。でも、じいちゃんとの思いではなくしたくないな。あの、おっぱいへの情熱だけは!なんてな、ホントに転生するか分からないし、転生しても、スライムだし。どうなるんだか。
(なまえはどうしますか?)
んー、名前か……かっこいいのが良いな。アレキサンドライトなんてカッコいいけど、流石にキザすぎる。俺、地味なのが良いな。五木とか、ブレイブなんて!勇者って柄でもないけど。転生するなら、今度こそ家族を大事にしないとな。でも、スライムの家族って近くのスライムか?ないないない、スライムって弱いから同族食らうってなんかの本で読んだぞ!生まれてすぐ死ぬなんて終わったな。
(ディアブロ、サタン、ネメア……そうですね。イニティウム)
あ、そうそう。脱線したな、名前名前っと。ちょっと待って、イティムなんてどうだ?かっこ良すぎず、ださすぎず。良いんじゃないか?イニティムって、物語の始まりや、起源だっけ?これからの人生によさげだな。でも、意味分かるやつにであったら、ハズイな。そこは、母性溢れるボンキュッボンな、大人の女性に癒してもらえば良いか。それも、清楚系の金髪美人で!我ながらナイスなアイデアだ。
(はい。それでは転生を開始します。)
で、お前誰なんだ?さっきからって言うより、誰か?何か?の代わりをしたなんて言ってたけど。
(あなたのスキルですよ)
その言葉を最後に俺は眠くなっていき、意識がなくなった。
「俺は、一体?」
目が覚めたかと言えばいきなり、森の中に仰向けに倒れていて混乱していた。が、だんだんと何があったが思い出していき。
「そうだ!俺は、転生したんだ」
意識は朧げだが、夢で誰かに声をかけられたような。つかめそうでつかめない、なんともハッキリしないな。何だったけ?
(はい、私ですね)
「っ!」
いきなり声がしたので、驚いて辺りを見渡したが何もない。聞き覚えあるような?右をみたら木、木、木。左をみても木、木、木、後ろをみたら大きな岩。上にはいないよな?いたら怖いんだけど。恐る恐る上をみるとうん、眩しい太陽だけだ。
「誰だ?」
いちおう、聞き間違えじゃないかと聞いてみたら。あら不思議可可愛らしい声が聞こえてきた。
(私です)
ただその一言が聞こえる。
「……」
(……)
名前を聞きたいんだか。しばしの沈黙が流れるが、続きがない。ただそれだけを伝えたようだ。
「名前はねーのかよ!」
耐えきれず思わず突っ込むと、やっと気づいたような反応をした気がしたが。また、それから反応がない。もじもじしたような反応がしてすぐに。なんだこいつ、ポンコツなのか?
(ありません!)
あまりにも堂々としていることに逆にびっくりしたが、名前無いのか。さすがにかわいそうだな。こいつ、ポンコツだな。決定だな。
「名前いるか?」
(はい、欲しいです。あと、その、声出さなくても念じるだけで大丈夫です)
そうなのか。これも聞こえてるのか?
(はい、ポンコツなど言ってることも)
あ、わりー。よし、気を取り直して、脳のなかで念じてみる。じゃあこれで行くか、独り言をしまくってると流石に周りの目が怖いからな。周りには人いないけど。じゃあ名前決めるか。ん?そう言えば、転生しているのは分かったが、前世は……
「思い出せない」
(はい、召喚でもない限り。前世での知識以外忘れるようになっています。魂の負荷を避けるためですね)
そうか、まぁそんなことはいいか。言いながら顎を触っていたが。ツルツルしてる!それに、心なしか潤っているような。ま、まさか!女になって……。手を男の象徴のあるところに触れてみる。よ、よかった~。あるぞ、これで男だ!それより。
「ん?感触が無い?」
(はい、スライム魔人に転生しましたから)
すんなり帰ってくるが、まあ、そんなこと良いか、男だったし。それより、お前の名前が先だな。
(はい、お願いします)
期待には答えないとな、俺の名前は始まりだったか。なら、プリミティブ……ぷりみ……プリム。よし、プリムだな。それでいいか?
(はい、嬉しいです。このプリム、イティム様のために生きます)
じゃあ、早速だが。おっぱいはどうしたら、触れると思う?そう、ここに来ても俺はおっぱいのことは、忘れないぞ!近くにないからって、俺は諦めない。おっぱいこそ俺の幸せの象徴なんだ。そう、これだけは、宇宙の彼方に飛ばされようと忘れちゃいけないんだ!
(はい、そうですね。イティム様に恋させればいいと思います。イティム様なら、行けますよ)
それもありだが、触るのは俺も好きになってからがいいな!そして、ゆくゆくはハーレムを作って、ウハウハライフを!
何処かズレている二人である。