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普段は少女!?呪いを掛けられた剣聖麗人と共に!!  作者: 犬飼
第三章 シャルロット救出編
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【第一話】 望み

 ぼろぼろでお世辞にも綺麗とは言えない布をまとう少年はアルタイトの地下道に居た、そんな彼の腰には黒色で怪しく思い重い空気を放つスカディナがあった。

 アルテラで気を失った彼がどうしてスカディナを手にしているのか、あの後の記憶が彼にはない。

 ただ正気に戻った僚太が目にしたのは瀕死状態のレベッカとローズ、スカディナを握りしめていた事実のみであった。



「もうこの世界で俺には帰る場所も、目指すモノもなくなった、助けたい大切な人でさえ奪われた......」



 失った彼にはアルタイトに対する復讐のみが残った、いや、一つだけ残ったものを救うために彼は汚れて字が消えかけている紙に目を通す。

 復讐を生きる理由にしていたクロウの存在が頭から離れない、あの人も同じだったのだろうか、そんな考えが頭から離れずにいた。



「必ず片を付けるさ、クロウ__今なら自分がその側に立ってみてあんたはまちがってなかったかもって思う......」


「そこで貴殿は何をしてるんだ、今からしようとしてることはアルタイトを敵に回すかもしれないことだ__わかっているのだろうな」



 声のする方へと目線を変えるとそこにはハイネスの姿があった、相変わらず彼女の目付きは突き刺さる程に冷たい。

 恐らく彼が腰に携えているスカディナを抜こうとした瞬時に灰となるであろう、それほどまでに彼女は強くアルテラで彼女が間に合わなければローズやレベッカを失ったであろう。

 


「あんたには感謝してるさ__だからってここで引き下がれるほど俺は大人じゃねーんだ」


「貴殿はわかっているのか、キーファ......あやつを殺したところで次になる彼の代りの者がきっと同じことをするだろうな」


「シャルロットは今までどれだけおおくの人を助けてきたんだよ、どれだけ自分を犠牲にしてきたんだ__踏みにじられるのは彼女じゃない......あの男こそ捌かれるべきだ!!」


「それは貴殿の考えだけであろう? はたして民衆はどちらを支持するんだろうな、世界をどうにでも出来る剣を持つ少女と人々を助けたいと嘘でも態度で示す者」



 この世界の流れは自分が来る前と後ですら何も変わっていないんだと彼は思う、シャルロット・ルリエと呼ばれる少女が背負ったモノは計り知れない。

 ならばせめて世界が彼女を認めなくても自分だけは側で彼女と未来へと歩みたいと思った男、上辻僚太はすでに覚悟を決めていた。

 引き留めるローズとレベッカを振りほどき自分だけが不幸を背負うと決めた哀れな男の眼は死んでなどいない。



「そこをどけよ......少なくてもあんたもケガをしたくないだろ」


「この場所では影を操れる者は脅威ではあるが、むしろここまで狭い空間なら有利なのは私のほうにも同じことだと言えないか?」


「だが、覚悟はあるのかよハイネス、あんたはこんなところで俺にやられてるばあいじゃないだろうが」


「心配する暇が貴殿にあるのか、だが断言するよ__貴殿は私に傷ひとつつけることなど不可能だとな」


「やってみないとわかんないだろうがよ」



 暗闇の中でスカディナは存在をかき消していた、彼の握る柄から先はどんな形をしているのか視認はできない。

 一方でハイネスは気にも留めず劫火の聖剣を抜くと辺りには焦げ臭さが広がった、それを皮切りに僚太はためらわず剣を薙ぎ払う。

 暗闇の中で耳を押さえたくなる音を立てながら影の刃が彼女へと近付くと足元を抜けて行く、ハイネスの表情には笑みを浮かべる程余裕があるようだ。



「手ごたえはないか__やっぱあんたが相手だと分が悪いな」


「影の刃とはなかなか面白いな、数か月前にあった男の顔つきからは想像できずにいたが__スカディナはアルカディアとは正反対に位置する聖剣であったはずだな」


「だからなんだよ? 何がいいたいんだよ」


「皮肉だな__表と裏、まるで貴殿とシャルロットではないか?」


「俺はそれでもいいぜ、シャルロットの裏で支えてやれるんならそれで構わない」


「つくづくおめでたいな、ならばよかろう__そのまま灰となれ!!」



 ハイネスの表情から笑みが消えると彼女の足元からは炎が昇り天井に着くと広がって辺りの影は炎の明かりにより消え去った。

 ジリジリと肌に感じる熱さを覚えながら彼の視線は彼女に向かう、文字通り捨て身の覚悟で挑む僚太に勝算などあるはずも無く。

 ただこれで良かったのかと言えばきっとあの娘は怒るだろう、でも彼には何もしないという選択も同じく無かったのかもしれない。

 


 __ハイネスの呟いた声は彼へと届きはしなかったが彼女の剣先もまた僚太へと届くことはなかった。

 同情かそれとも志は同じだったのか、気を失いかけている僚太の額に手のひらを乗せて俯いたハイネスは何を思うのか。



「これではまるで私の方が悪者ではないか、なぁ上辻僚太よ......貴殿はいったい何を考えているのだ」


「もうあんたとやり合うのはこりごりだ、とどめを刺さなかったってことは俺の思っているのと同じなんだよな......」


「貴殿は命を懸けて証明したんだ、ならばそれに見合う対価__力を貸すのが私の流儀だ」



 もしも逃げる姿勢を見せていたら彼はこの場に生きて居なかったかもしれない、ハイネスは僚太の覚悟を試したうえで自らが手を貸す価値があるのか計ったのだ。

 シャルロット奪還は僚太にとって二度目、だがこれから挑もうとする相手はカイゼルの時とは比べ物にならない強大である。

 肩に身を預ける僚太はひとまずハイネスが使っているアルタイトの隠れ家へと向かうことにした。

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