【第二十九話】 新たな始まり
____クロウを見届けた僚太達は階段を下る途中でシャルロットを抱えた僚太が目にするのはキーファが率いる騎士団であった。
僚太は何も言わず行こうとしたその時、レベッカは手で制止するとキーファにたいして今ままで見せた事のない形相で睨みつけると投げ捨てるように言い放つ。
「やっと本性をあらわしたな、このうすぎたない男が__」
「何を言うんだ、まぁいいか__それであの男はちゃんと死んだのかい」
「まえからきな臭いやつだと思ってたが......お前を信用なんかするんじゃなかったな」
「信用......笑わせないでくれ、きみたちのせいでどれだけの人間が傷ついたとおもってるんだ」
「どれだけだと......シャルロットが聞いたらどう思うんだろうな」
「フフ、実のところ聖剣さえ手に入ればその女に用はないからな、むしろ目障りだったよいつも邪魔ばかりされてね」
僚太にはキーファが何を言ってるのか頭の中で整理できずにいた、だが目の前に立つ男の後ろでは身動きの取れる状態ではないフランカの姿がある。
その光景を受け入れるのに時間にして数秒ほどかかるが脳の処理が追いつくと、僚太は怒りをそのままぶつけるようにやっとのおもいで口を開いた。
「あんたなにしてるんだよ......キーファ・ロイル!! 答えろッ」
「聞こえなかったようだからもう一度言おうか、聖剣......それさえ手に入れば貴様らには用はないんだ、この時をどれだけまちのぞんだか」
「うしろの少女を返してほしければシャルロットを引き渡してくれないかな?」
「なんだと......おまえなんかに__」
言いかける僚太をよそにフランカへと剣の切っ先が向けられるとクロウならどうしたのだろうか考える、だが答えは簡単には見つからない。
冷静に考えていると彼の横にいる殺気だったレベッカは今にも手のひらの上で浮かべられている火の玉を放つような勢いだが。
「こいつらまとめて消し炭にした方が早いかもな__」
レベッカの挙動に反応した騎士団の動きは早い、その中の一人のうちの黒髪の少女が駆け出してくると剣の峰でレベッカの胸を打つ。
意識を失ったレベッカは倒れローズが反応するとシャルロットを抱えて距離を取る、僚太が剣を鞘から抜き終える頃には黒髪少女の手にする剣の切っ先が彼の喉元に突き付けられていた。
「おまえみたいな強い奴がどうしてあんな奴に......」
「キーファ様の事をあなたは何も知らない、知った口をきくな」
「さぁ僚太くんその女を渡してくれないかな、どのみち此処で死ぬなんてバカバカしいだろ」
シャルロットを渡せば助かるのだからきっとこの状況なら誰しもがその道を選ぶだろう、救われたとして何が残るというのだろうか。
それに此処で死んだクロウも馬鹿にされたような気がした僚太は構わず剣を振り上げると少女の瞳孔が開く。
「血迷ったな貴様!! ならば望どおりにしてくれよう__」
剣の一撃は僚太を捉える事は無かったキーファが少女へと声を掛けたからだ、ローズは抱えるシャルロットの身柄を騎士団へと渡していた。
シャルロットはそのまま騎士団の人間が抱えて連れて行く、少女は何も言わず円をかくように剣を振ると僚太の手にする剣を真っ二つにしながら素早く鞘へと戻した。
「変な気をおこさないように、ここで死を選ぶやつは愚かですから__」
つかみかかろうとした僚太は強い衝撃を喰らうと意識が遠退いて行く、キーファ達が去って行った方へと向かう少女はローズの居るほうへと振り向くと一礼して行ってしまった。
ローズはうつむくと僚太へと謝る、シャルロット様をすみませんと何度も何度も謝る声がアルテラの彼方へと響き渡る。
アルテラ戦から数週間後、ただ一人でアルタイトの牢獄に幽閉されたシャルロット・ルリエを開放すべく僚太は黒の剣を腰に携えて作戦を立てる。
腰のスカディナは怪しくただ光るだけでありそれがまるで僚太の憎しみと怒りを秘めているようであった。
次回から第三章へと入ります、かなりローペースではありますが後から改稿していってます。
それでは次回からもよろしくお願いいたします。




