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普段は少女!?呪いを掛けられた剣聖麗人と共に!!  作者: 犬飼
第二章 戦いの中で分かる事
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【第二十八話】 託される者の役目

 飲み込んだ闇が過ぎ去ると膝を着いたままピクリともしないクロウにローエンはケリ倒そうと近付いて足をあげる、その瞬間をまるで待っていたかのようにいろいろな想いを込めて足を掴む。


「おう......ようやくつかんだぜッ__」


「はなしやがれクロウ、この死にぞこないが」


「あいつらには感謝しかないな__俺も、ローエン......お前も長く生きすぎたんだよ」


「いいから、はなせッ__はなせっていってんだろ!!」


 クロウは生成した黒剣を躊躇することなくローエンの足に突き刺すと別の剣を生成し始めた。

 その一本一本を仲間の仇を取るように思い出を捨てるように片付けるように確実に突き刺していく、幾つもの剣を刺されたローエンは力が抜けたように倒れた。

 のたうちまわるローエンを見下ろしながらクロウは剣を振り下ろした、そして口から血反吐を吐いて動かなくなるのを確認すると辺りを見回す。


「あとはお前らだけか__ん、なんだよどうなってるんだ......」


 クロウは少し離れた所で灰になりかける二人を発見する、ただ何も言わずにソレを最後まで見届けるとクロウは二人の名前を呼んで礼を告げる。

 そして気を失ったままのシャルロットに歩み寄ると静かに抱えるがいつもの悪たれをつく、だがその表情にはさきほどまでのとげとげしさはぬけていた。


「いつまで寝てるんだよ、はぁ世話の焼ける奴だな__こんな事は僚太にでもしてもらえや」


 気が付けばいつのまにか雨はやんで雲の切れ目から眩い夕日の明かり漏れてアルテラを優しく覆っていく、そしてもう一つ気が付いたクロウは笑みを浮かべた。

 視線の先には階段を駆け上がって来たばかりのローズと僚太、いつのまにか居心地がよくなっていた場所へと歩みはじめるクロウ、だが運という代物は良くも悪くも平等なのだろう。


 視界が歪み背中に激しい痛みを覚えたクロウは振り返る、するとそこには死んだはずのローエンが立っていて息を切らせながら手にするスカディナから伸びる影の刃がクロウへと突き刺さっていた。

 

「俺には......ハッピーエンドがまってるんだからじゃますんなよ__」


 シャルロットから手を離すとタイミグに間に合う僚太がキャッチする、僚太の顔は不安そうだがクロウは優しく僚太を見返す。

 これまでとこれからを振りほどくように黒槍を生成すると最後の力を振り絞るかのように投げ放つ、轟音を巻き込むように飛んで行くその一撃はローエンに直撃するとそのまま大聖堂の奥へと消えて行った。

 そして大聖堂に備え付けられている鐘が鳴り響くと同時にクロウは力なく倒れると空を眺めたまま動かない。


「クロウ、おいあんたそんな所で何してんだよ、また寝てるのか? つかれすぎだろ」


 シャルロットをおろして僚太は走り出すとクロウの側による、辺りは血の海になっていて体のあちらこちらからは血がとめどなく流れている。

 力ない目で僚太の顔をみると眉をひそめると彼なりの助言を僚太へ伝えはじめた。


「バカ泣くんじゃねーよ男だろ......なぁ__お前だけは、お前だけは道を間違えないでくれよ、最後の約束だ、今度はあいつらをシャルロットをお前が守れ」


「なにいってんだよ、約束は守れよ......これペンダント返すからさ、帰るって約束やぶるのかよ__なぁ、皆で帰るって言っただろ、なぁたのむよ」


「ちょっとかっこつけすぎたわ......ありがと、よ」


 クロウのめからはあかりが消え始めて行く、それが僚太は理解が出来ずに思考が停止する、ふと我にかえるとたまらず治癒術が使えるローズに声を掛けるが返答が無い。


「ローズ__ローズ何してるんだよ!? はやくしてくれ死んじまうよ」


「おいおいクロウ、お前......何してんだよ__何、ローズ早くしてくれ!!」


 下を向いたままのローズはやっとの思いで口を開くがそれは僚太が期待したものではなかった、クロウには治癒術の効果は期待できない。


 たんたんと答えるローズに初めて敵意を向けるとその怒号が辺りに鳴り響いた、いつのまにか階段を上がってきていたレベッカはその光景を見ると表情が暗くなる。

 僚太はおぼつかない足取りでレベッカにすがるように抱き着くが見向きもしないまま振りほどいてクロウへと寄っていく。

 そしてレベッカもローズと同じ表情を浮かべるとぽつりとつぶやいて、クロウを囲むようにルーンを刻んでゆくとその場で屈む。


「レベッカ、あんた魔術師なんだろ__それなら助けてくれよ、たのむよ、ローズじゃむりだから、あんたは世界に認められた魔術師なんだろあんたならたすけけられるんじゃ」


「ローズ__そのうるさいのを黙らせてくれ......クロウ、お前のおかげであたしらは今を生きてられる、あたしじゃ不服だろうがカンベンな......転輪の守り手よ__我が同胞を弔いその導きの守り手となれ」


 ローズが地面に刻んだルーンから浮かび上がる淡い炎がクロウを包む、そしてとうとう押さえていたローズを振りほどいた僚太はレベッカに殴りかかるが。


「何してんだよお前ッ......まだだ、死んでないだろ__なぁなんとかいえよレベッカ!!」


 胸倉を掴まれたレベッカはそのまま僚太を力なく殴る、その眼には人間の心が垣間見えた。


「ふざけんじゃねえよ__、放っておけばいずれ大罪者の手によって操り人形にされるんだぞ!! ならせめてあたしらの手で__」


「俺は約束したんだ......なんでだよッなんで死んだんだ、おれにはクロウのかわりなんてできない」


 レベッカは僚太の肩に手をおくとなだめる、ローズは静かに涙を堪えていた。

 この戦いで得たものなど何かあるのだろうか、失った代償がはるかに大きくてたとえ得ていたとしても気が付く事などないだろう。


 そばでは主を失ったスカディナが地面へと突き刺さったまま、だが今の僚太にはそんな事などどうでもよく思えていた。

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