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普段は少女!?呪いを掛けられた剣聖麗人と共に!!  作者: 犬飼
第二章 戦いの中で分かる事
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【第二十七話】 託す者の覚悟

 外壁の上で雨まじりの風を受けながら腕を組んで立ち尽くす一人の女性がいた。


「数が減ったな、ん__とりあえず僚太達と合流するか」


 下を見下ろすと先ほどは亡者であふれていたはずなのだがあれほど大きな戦闘が無くなっていたのを確認すると首を傾げる。

 レベッカは外壁からアルテラ内部へと飛び降りると駆けて行く、黙ったままのレベッカの顔つきはいつもとは違うように見えた。



____クロウは息を切らせながら鋭い視線をかつての親友へと向けると体のあちらこちらから血を流しながらでも笑って見せた、彼の頭の中には生きて帰る事を代償に目の前の者達を葬る事しか無いようだ。


「ロイド・シェイスにリン・マルクス、教会騎士の中でも指折りの実力者だったてめぇらを相手にするなんて可笑しいぜ、やっぱ笑えるな」



 クロウは目を閉じると教会騎士時代に訓練試合で二人に勝ったことがない記憶を思い出す。

 教会騎士の中では誰よりも信頼されていたロイドに誰よりも仲間思いであったリン、これから相手にしようとしているのはクロウが特に思い入れのある二人なのだから思い出を振り返りたくもなるだろう。


「少しは休ませてくれよ、ばかたれが__」


 だがいい加減に見飽きたのかローエンはあくびをすると腰の聖剣に手を掛ける、そんな男を横目で見るクロウはその聖剣の能力を一度眼にしていて知っていた。

 あれは影を作ることが出来る聖剣のひとつで名をスカディナと呼ぶ、光がアルカディアなら闇がスカディナと呼ばれるほどに強力な聖剣でもある。

 

「面倒だが俺にはやる事があるし、お前の面も見飽きたしな~」


「チッ、ジジイまとめてかよ__」


「なんならこいつらを引かせてもいいんだがな、どうするんだ? まッお前さんしだいだな」


「バカ言え、俄然やるきになったわアホ!!」


「あいもかわらず......口が悪いな~てめぇわよ__」


 ローエンは鞘から剣を静かに抜くが振りはしない、だが大聖堂から伸びる影がまるで生きているのかのように動き出すとクロウへと襲い掛かる。

 彼は神経を研ぎ澄ませて迫る影の刃をことごとくをかわすと、あらかじめ手にしていた剣を構えつつ走り出した。


「さっさとくたばりやがれジジィが__」


 疾風の如く迫るクロウのたちすじを見極めるローエンは体を反らすだけでその場からは動きはしない、ローエンは次々と攻める剣の流れをはじめから知っているかのようにただかわすだけ。

 数多の斬撃を繰り出すクロウだが、僅か一瞬の隙をついたローエンはクロウへと一閃をはなつ。


「バカみたいな斬撃だな、ちゃんと見てるのかよジジイが」


「だからてめぇはガキなんだよ、よく見ろよ」


 投げ捨てるように言われたクロウの視線には自分の影に剣先を突き刺されている光景が映った。

 体の自由が利かないのかどうにか逃れようと歯を食いしばる彼だがローエンが深く突き刺した剣先が動くような事はない。


「これで終いか? やっぱ俺はなんもかわらなかったのか......」


「がっかりだぜクロウよ、もう少し強くなってるんだと思ってたのによ......昔の約束を覚えてるかよ?」


「俺は今からてめぇの仲間を殺すからよ、深く反省するんだな__また俺はお前を生かすからよ、そして永遠に消えない思い出をもう一つ__」


 ローエンが薄ら笑いを浮かべながらクロウの足にナイフを突き刺そうとしたその時、耳を覆いたくなるようなけたたましい音が鳴り響くとクロウの影に突き刺していたスカディナを手にするローエンが睨みつける人物の姿があった。


 金色の髪をなびかせる少女の顔は真剣で笑みを一切浮かべる事なくローエンを睨みつけると口を開いた。


「アナタあまりいい生き方してない顔、会うのは久しぶりねローエン......わたしの友人に何してくれるのかしら__すごく不快よ」


「あぁ~らら、さがす手間がはぶけたぜ__シャルロットの嬢ちゃん」


 鞘から抜かれたアルカディアが輝きだすとシャルロットは本来あるべき姿へと戻る、ここぞという時はいつもそうしてきたのだ。

 凛とした顔立ちのせいなのかよけいに冷たく見えた、そして振り下げて斜めに構えたアルカディアはローエンを映すとシャルロットは駆け出す。


「やはり剣聖とよばれるだけあるな......すがたが消えたように見えるほどの瞬発力」


「わたしはあなたみたいな人間に手加減してやるほど優しくないわよ__」


 重い一撃を皮切りに打ち付ける音の感覚が徐々に短くなる、余裕の笑みが消えたローエンは剣を持つ反対の手で自分の鞘を振り払うとシャルロットの脇腹に勢いよく当たる。

 衝撃を殺すために受け身を取りながら後方へと着地するとそのまま膝をつくシャルロット、それを見ていたローエンはシャルロットめがけてスカディナを構えると。


「冥土のみやげだ剣聖シャルロット......目に焼き付けてそまま死ねッ__」


 黒い影がスカディナにまとわりつくように集まりだして、辺りの空気が重くなると足をとられて動けなくなるシャルロットは苦しそうな表情を浮かべた。

 正反対の嫌な笑みう浮かべるローエンが持つスカディナが振り下ろされると静寂と闇がシャルロットへと迫った。


「こんなところで__なさけない、ごめんねぇ僚太ぁ__」


 隙を伺っていたクロウが飛び出すと覚悟を決めてあきらめたシャルロットを横から蹴り飛ばした。

 勢いに任せてきれいに飛んでいくシャルロットはそのまま地面へと鈍い音をたてながら落ちて転がって行く、そして大聖堂の古びた扉に体を打ち付けるとそのまま気を失った。

本日もありがとうございました。


次回もぜひよろしくお願いいたします。


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