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普段は少女!?呪いを掛けられた剣聖麗人と共に!!  作者: 犬飼
第二章 戦いの中で分かる事
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【第十話】 ココリ村

__僚太は一人立ち尽くす、惨劇をただ見ている。

 目の前で何が起こっているのか分からない、だが手が震えるのを必死に抑えてその光景を眺める事しかできずにいた。


「シャルロット......シャルロット」


 呼んでも返事がない、おぼつかない足で何とか近くまで寄るとシャルロットの口に耳を向ける僚太は彼女が息をしていない事に気が付いた。

 そして腹部から、耳からおびただしい血がとめどなくあふれている事に目を反らしながらひたすら。


「おきろ......おきろ、おきろよシャルロット!!」


 シャルロットの名前を叫ぶ僚太はある違和感を覚えた、周りで倒れている人物に見覚えがある。

 銀髪のエルフのメイド、赤黒い髪の女性が、獣人の少女が、目標の男が。

 

「ローズぅ、レベッカ、フランカ!! クロウ......」


 絶望に光などあるはずもなく、ただただ薄暗い場所で立ち続ける僚太、こちらに視線を向けほくそ笑んでいる奴らがいる。

 どうせこの世界で一人ぼっちになってしまったのだから、精一杯あがいて死ぬなら本望かもしれないと思うと腰の剣を抜いて走り出した僚太は雄たけびをあげた。


「お前らか......このクソッたれがー!!」



____飛び起きる僚太の額には汗がじんわりと垂れる。

 

「なんだ、夢かよ......」


 ここはココリ村、数日前に屋敷への資材の手配がすんだためアルタイトから帰る途中、この村の宿に泊まる事にしたのだ。

 身支度を手早く済ませて部屋から出ようとした瞬間、扉が僚太の顔面にぶつかってよろめくとローズに抱えられた。

 

「僚太、朝から何をしているのですか?」


「いや、ローズが急に開けたからだろ」


 目をきょとんとさせたローズが僚太の赤くなる額を触る、そして微笑むと撫でてくる。


「さぁ......これでよくなりまちたね~」


「腹立つような、立たないような......何言ってんだ俺は!?」


 口に手をあてるとローズが笑いながら僚太を馬鹿にしてると部屋の入り口でシャルロットがフランカを連れて立っていた。

 顔がみるみる赤くなる僚太は立ち上がると咳払いする、いまだに黙ったままのシャルロットの顔を片目で確認すると眉を吊り上げている。

 何が不機嫌にしているのか、こういう時に限って僚太の感は働かない。


「あの......シャルロットさん? どうかしたのかな」


 口に出さなければ余計に煽ることにはならないのに、この男ときたら。

 眉をはの字にして考えるのだが時すでに遅しとはよく言ったものだ、フランカを連れて無言で出て行くシャルロットはそそくさと廊下の階段を下りて行ってしまった。

 するとローズが僚太の肩に手を乗せると。


「プププ、僚太ガンバ!! でも、最悪私が引き取りますから大丈夫」


「何を引き取るんだよ」


 やはりいろいろ残念さが目立つ僚太を残してローズも出て行ってしまう。

 こうも都合よく鈍感になれる奴が本当に存在するとは僚太ですら思いもよらないだろう。

 


 暫く放心状態の僚太がやっと部屋から出て階段を降りると何やら物々しい空気が漂っている。

 よく見てみるとシャルロットとフランカ、ローズの三人が向かい合ってるのは剣を腰に携えている男達だ、そして一人の男が放った言葉を聞くと僚太は階段を駆け下りて詰め寄る。


「お前らには関係ないだろ......あやまれよ」


 顎の髭を摘まみながら大柄の男が僚太を見降ろし、手を僚太の頭にのせると薄汚い口から不快な言葉を再び放つ。


「あ~ん? お子様は帰りな、ママの乳が恋しくなる前にな」


 僚太は睨むと腰の剣に手を掛けた、男は薄気味悪い笑みを見せながら後ろの仲間と思われる男達に視線を送ると。


「聞こえねぇな~、だれがお子様にあやまるんだよ? あんッ!?」


 微動だにしない僚太は、理解力の乏しそうな者達に向けてちゃんとわかるように再び口を開けてると同時に剣を抜いた。


「俺に謝るなよ......この三人にあやまれよ!!」


「不吉な剣聖に人を喰らうバケモノ、血で汚れたエルフ、どれも本当の事だろ」


 汚い面を並べた男たちを相手に、とうとう我慢の限界がきたのか剣を振りぬくと鉄の音が鳴り響く、手がしびれるがしっかり握り目線を戻すとクロウが僚太の剣を弾いていたのが分かった。


「クロウどいてくれ、そいつら......」


 よく見るとクロウは反対の手で男の口を掴んでいた、男の後ろでは男達の手には剣が抜かれていて。

 

「僚太、よく聞け......お前はこんなクソみたいな奴等を斬るために俺から剣を学んでるのか? お前の剣は守るためだけに使え、いいな」


 今にも乱戦が始まりそうな中、物凄く見慣れた女性が入り口に寄りかかりながら退屈そうに立っている。

 手の平には大きな火球を浮かばせてほくそ笑むと、いつもより視線が刺さるほど鋭いレベッカが口を開いた。


「生ゴミって意外によく燃えるんだよな、油がよくある奴はなおさらな」


 クロウに掴まれている男が何かを言いたそうにし始めて、それに気がついたクロウが手を離すと、肩を震わせる男達はありきたりな捨て台詞を吐くと逃げていってしまう。


 僚太がレベッカを再び見ると、レベッカもその鋭い視線を変えることなく向ける、そして手の火球を消滅させると近くまで寄ってきた、そして。

 

「おまえな......クロウが止めなかったら死んでたぞ、あいつらの肩に付けている腕章はアルタイト直々に集められた傭兵騎士団の証だぞ」

 


 シャルロットが手を出さないのはキーファにこれ以上迷惑をかけないためか。


 傭兵騎士団とはアルタイトの数ある内の中でも、指折り揃いの者達で結成された騎士団だとレベッカがシャルロットに代わって述べた。

 今では難癖ある者ばかりになってしまった為、戦場には出ずにアルタイト周辺の巡回担当になってしまっているらしい。

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