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普段は少女!?呪いを掛けられた剣聖麗人と共に!!  作者: 犬飼
第二章 戦いの中で分かる事
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【第九話】 憧れたその背中

 クロウが話を終える頃、日は陰りはじめて遊んでいた子供たちも帰っていく。

 その後ろ姿をただ見送るクロウの視線には何時も僚太を馬鹿にしている時の面影などなく、その瞳が本当は何を見ているのか僚太には理解できた、僚太はどうしても自分の気持ちを言葉にしたくて。

 

「きっと俺達はロイドさんやレイナさん達に比べれば重くはないと、思う」


「ああ、あいつらに比べればな」


 視線を向けることもなく淡々と返答を返すがクロウ、頭を掻くと勢い良く立つ僚太は前を向いたまま、クロウの先をちゃんと否定した。

 

「クロウ、復讐のその先を見ていないって言ってたよな、それさ復讐終えた後、仮にレイナさん達が報われても......クロウだけは報われないよな」


「俺はそれでもいいと思っ__」


「レイナさん達はそれを望むのか......最後に生きろって伝えたかったんじゃないのか、それはクロウ......あんた自身に復讐なんかを求めた人は言わないだろ」


 遠くで父親とらしき人物に肩車をされる子供が笑っている、それを眺めている僚太は密かに隠していた事を打ち明けた、表情は夕日で赤くなっているのかそれとも本音を話すあまり恥ずかしいのか赤くなって見える。


「俺さ、クロウって男に憧れてるんだよな、なんか変だな、父親にすらこんな感情なんかわかなかったんだけどさ、可笑しいよな、笑ってもいいぜ」


 初めて対峙した時は最悪の印象もいいところだ、高圧的な態度で常に自分より下を見下し口が悪い、そのクセして本当はその人間を知った上で助けてくれる、

 そんな男はただ一人で生きてきた、そしてこれからも復讐と(結末)を求めて歩いていく。

 

「あんたは、俺の理想だからさ、クロウ......俺はあんたを超えるから、待っててくれよ」


 恥ずかしさなんか何処かに吹き飛ぶと、頬に伝う涙を拭って僚太はクロウの頭に手を乗せる、雑に撫でると手を払うクロウは僚太を見上げるその表情はいつもの彼で。

 

「バカ!! ガキに頭なでられて嬉しいかよ、クソッあぁ分かった、わからんが分かったことにする、ただあのジジイに仮だけはキッチリと返す」


「おい、まだそんなことを__」


「俺は死なねぇよ、てめぇの言葉を借りるならあれだ......ハッピーなんちゃらがまってんだろ?」


 クロウのハッピーエンドとは何なのだろうか、そう考える僚太に親指を不器用に立てると僚太に向けてそのハッピーエンドを眼を背けながら語る。


「片付けたら暇になるな......そうだな、その先は俺がジジイになるまで剣術叩き込んでやるから覚悟しろよ僚太ぁ!!」


 その言葉を聞いて僚太は可笑しくて笑みがこぼれる。


「どんだけ俺に付きまとうつもりだよクロウ」


 ヘラヘラしながらクロウは立ち上がると歩き始めた、僚太は歩幅を合わせるようにして前にでると、その顔にはしっかりと自分のその先を見据えたような男の姿があった。


____屋敷に着いてから門をこえた辺りで聞きなれた声がした、遠くから駆け寄って来たのはシャルロットで眉を吊り上げて今すぐにでも不満を吐き出したさそうな顔だ。

 その視線は僚太だけではなくクロウにも向けられていて、きっと彼女の中でもちゃんとクロウという男の存在があるのだろう。


「ちょっと僚太もクロウも遅いわよ!! む~」


「そんな怒るなよ、ちょっと男同士の話し合いも時には必要だと思ってさ、なぁクロウ?」


 二人に視線を向けるクロウは鼻で笑うとさっさと行ってしまう、玄関に入る直前に立ち止まると振り返らないまま。


「僚太、この先の答えを間違えるなよ......シャルロットもだ、選択なんてのは、やり直しなんかできないんだからな」


 そう言って中に入っていってしまった、僚太の視線がシャルロットを映すと彼女の表情は何かを思っているのか、うつむくと急に微笑んだ。

 僚太には彼女が何を思ったのか、そんな無粋な詮索は今はよそうと心にしまっておもむろに彼女の手を握ると引っ張って歩き出す。


「さぁ今日は張り切って料理つくるから!! いこうぜシャルロット」


 彼女は驚いたのか、短い返事をすると僚太の後をついて行く。



____何時もの食事の後で一人で次の献立を考えていると後ろから声をかけられる、レベッカだ。

 また酔っ払っているのかと身構えるが違うようだ、顔は赤くなってないし、変な笑みも浮かべていない。

 

「よう、元気かよ......」


「あぁ、いつもどおりかな」


 暫く黙る彼女の瞳には薄く光るものが見える、固唾をのんで待っていると急に両手を差し出して頭を下げる。

 その意味が一瞬分からずに、口を開けたまま黙っているとレベッカは続けて話し出した。


「僚太、金を恵んでくれ!! その、酒買うお金が」


「ダメだ、シャルロットからも拒否するように言われてるしな」


 舌打ちすると急に上目遣いで人差し指を口に当てて。


「ね~え~、僚太ぁ~? お金ちょうだいよぉ」


 そんな甘い声をどこから出しているのかと不思議に思うぐらいミスマッチ、だってレベッカだもの。

 綿飴よりトウモロコシ、クリームアイスよりかき氷を食べそうな人物だ、まぁこの世界ではそんな代物を見たこと無いのだが。


 たぶんその声でローズだったなら僚太も落ちただろうが相手はレベッカだ、断固として応じずにいると、諦めて帰るレベッカから罵詈雑言の嵐を受ける僚太はその後でため息を吐くと頭を抱えながら。


「あやうかったぜ俺、これ以上はまずいぜ、シャルロット一人でいいんだぜぇ」


 頭を振って久しぶりに自分の顔を叩くと思い出したのかというように笑い始めた。

 次の日にローズから異様な心配をされたのは言うまでもない、そして全員からローズと同じ質問を問われる事になったなんて言えるはずもない僚太であった。


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