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普段は少女!?呪いを掛けられた剣聖麗人と共に!!  作者: 犬飼
第二章 戦いの中で分かる事
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【第八話】 クロウの過去

今回は気持ちちょっとだけ残酷になります。

 日が傾き始めた頃、キーファの屋敷から帰る途中の僚太とクロウは黙ったまま歩きつづけていた。

 途中で僚太が馬車を止めたのだが、クロウは頭を横に振ると歩き始めたので僚太もそのままついてきた形になる。

 黙ったままの男二人、いつもなら茶化すクロウも僚太も浮かない表情を見せたまま、ただ歩く。


「なぁ......クロウ」


 広場の前を差し掛かったころ、クロウは黙ったまま顎で向こうにある花壇を指すと僚太を連れて座る、近くで男の子と女の子が遊んでいる姿を見つめるクロウはひとり言のように話し始めた。


「俺がまだガキだった頃、そうだな僚太お前ぐらいの歳の頃か__」



__聖堂都市アルテラがまだ国として機能していた頃の話。

 その国のシンボルともいわれる大聖堂で同い年位の少女に出会った、名前も知らない少女に一目見て惚れたそうだ。

 その少女には生涯をかけてやるべき宿命があった、ただただ神に祈るだけの日々。

 幸い、祈りの時間以外には外に出る許可はおりている、もちろん大聖堂の周りに張り巡らす柵からはでられないが、少女には楽しみが一つできた。


「わたしもう疲れた、つまんないし、う~もうヤダ」


「そんなこと言ってると、ガミガミ神父にまたお怒られるぞ~」


 何時も決まった時間に顔をだすクロウは少女を茶化す。


 そんな日々がずっと続き、二人が成人を迎えた年にクロウはとある任命式に名乗りをあげる、そう教会騎士になるために。

 他の者と考えが違うクロウの本当の理由は、彼女、レイナの側に居たかっただけ、そんな理由では怒られるだろうか。


「もしも俺が教会騎士になれればレイナの側にいられるしな」


「あっ......うん、わたしもあなたが側にいてくれるなら、うれしいかな」


 二人には決して結ばれることのない絆ができていた、ただお互いはそれでもよかったのだ、想いあうだけの二人はこの先も道はあるのだと思っていたし信じていた。

 そう、クロウの剣の師匠であり教会騎士長、ローエン・マクセルの反逆が起きる前までは。



____遠くに見える大聖堂には火がつけられている、燃え盛る炎など気にすることなく前に進む、あそこにはレイナが、大切な人が待っているのだ。

 

「こんなところで、クソ!! ロイド達はどこに行ったんだ__」


 階段を駆け上がり頂上の大聖堂の前まで来た、クロウの表情には血の気が引いていく、意味がまるで理解できない、この男はなぜそこに立っているのか。

 首を傾げながら一人の男が立っていた、その周りに倒れている者達が目に映ると正気を取り戻した。


「お、おい、あんた......そこで何してるんだよ」


「んあ? ままごとしてる様に見えるのか」


 やせ細って決して見た目では迫力のかけらもない、長髪を後ろで束ねて顔には左こめかみから斜め右顎にかけて傷のある男。

 腰には薄汚れた剣を携えている、ローエン曰く聖剣だと言うがクロウは信じていなかった。

 ローエンはつまらなそうにしているが急に笑い出すとロイド達に指をさす。


「おいクロウよぉ~こいつら賭けて何かするかよ? そうだなぁ、そこに膝をついて地面に頭を擦りつけろ、そうしたら......一人だけ解放してやる」


「はぁ!? てめぇふざけてるのかよ」


「あ~あ残念だねぇ__」


 ロイドの脇でクロウに視線を向ける女性が断末魔をあげることも出来ず、背中の方で血を吹き出すと視線を向けたまま死んだ。


 ローエンは薄ら笑いをしているが何が可笑しいのだろうか、クロウの顔は怒りであふれそうになる。


「リンのやつ、口ないのか? ずいぶん静かに死んだなぁ」


「おい、おまえ__」


「あら残念__」


 今度は大柄の男性が死ぬ、優しかった男が、口喧嘩をよくした男が、助けてくれた女が、次々と仲間が倒れる。


「おいクロウ、もうこいつらだけになっちまったぞ~フヘへ」


「おいクロウ!! 逃げろ!! お前だけでもいいから__」


「つまんねえ事するなよロイドよ~」


「やめろーてめぇー!!」


 目の前で親友が、苦楽を共にして来た大切な仲間が。

殺される、何かできたか、いやクロウは何もできずに近付くことすら出来ず。

 そうだ、謝るフリでもすればいい、今だけでも我慢すれば、必ず仮は返せる。


「このとおりだ、だから彼女を、レイナを......はなしてくれ頼む」


「可笑しいな、頭下げた奴はそんな殺気なんかたてねぇだろ......なぁレイナ」


 長くてきれいな髪を掴むと頭をあげさせる、レイナが睨むと唾を吐きかけ男は笑う、ロイドの亡骸からナイフを器用に取り出すとレイナの首後ろに切っ先を押し当てる、少しずつ徐々に、確実に進む刃。


「ごめんなさい......一緒に居てあげられなくてごめんね、だからクロウ、あなたは、あなたは生きて____」



 レイナの綺麗な瞳が薄暗く濁る、ローエンは彼女の頬を舐ると床に頭を叩きつけて唾を吐き捨てた。

 なんでだ、あぁそうか、殺したんだ、レイナを守れなかった挙句に殺したのか下らないプライドのせいで。

 

 「お前は殺す、俺のすべてをかけてでも......かならず」


 手にする黒剣を握りしめローエンまで距離を詰めると一気に切りかかる、その速度は並大抵ではない。

 だが、ローエンは避けることもなく、足を払うと顔面を掴まれ地面へと後頭部を叩きつけられる、意識を失いかけるが横にはレイナの顔がそこに。

 頭を踏みつけられると気味の悪い笑みを見せて口を開いた。


「なぁどうよ、その女の最後、笑っちまうな」


「足を、どけろよ!! どけろ」


「生かしてやるよ、そうだな、そん時にたくさん仲間を増やしとけよ......じゃねぇとつまんねぇからよ」


 ローエンはそのままクロウを足で蹴り飛ばす、大聖堂の入り口のドアに体を叩きつけられると意識が遠のいた。



___顔に何かが当たるのを感じた、冷たい。

 目を覚ますと体を起こした、雨が降りしきる中、足を引きずりながら前に進む、ただ進む。

 もうその笑顔も泣顔も、怒った顔を見ることもできない。

 初めから殺される覚悟を持ち、つまらないプライドを捨てていれば。この者達は救われたのだろうか。


 レイナの元に着くと、彼女を優しく抱き起し。


「ごめ、ん......なぁ、おれのせいでレイ、ナ.....レイナ、俺にはもうなにもない」


 クロウはその後、救援に駆け付けたキーファに出会うまで。

 ただひたすら止まらない感情に身を任せて泣き続けた、友を仲間を最愛を失った男は何を求めるのか、復讐だけに生きるクロウはこの先に何を見つけることが出来るのだろうか。

クロウの過去をもっと深堀した詳細は外伝でお送りします【こちらの更新にゆとりが出てきたら勝手に書くつもりですが】


では本日もありがとうございました、また明日もよろしくお願いいたします。


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