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普段は少女!?呪いを掛けられた剣聖麗人と共に!!  作者: 犬飼
第二章 戦いの中で分かる事
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【第七話】 記憶

 屋敷の客室でシャルロットは頭を抱えていた、ハイネス、そして横に居る人相の悪い男が椅子に座り、黙ったまま数分たつであろうか。

 とうとうしびれを切らしたシャルロットが眉間にしわ寄せて口を割る。


「もう、悪かったわよ、あなたが強欲の奴を探してたのも知ってたわ......だけどそれどころじゃなかったの」


 身振り手振りであたふたするシャルロットを見上げるハイネスの横の男が答えた。


「ハイセス殿の片目、シャルロット殿も知っておられるでしょうに」


 眉をピクピクと動かすとハイネスは男の後頭部を叩き払う、この男も空箱をたたいたような音を奏でるがなにか共通点があるのか。

 机に顔面を打った男が顔をあげるとシャルロットは視線をずらして苦笑いをしていて。


「その人相、こっちに向けないで......本題に戻るけど、その資料の詳細だけ、あとはまだ分からないわ......なら今度はこっちの番ね」


 ハイネスが手を男の前にだすと、男が懐から出した紙を一枚手渡す、それをハイネスは確認しながら再び男の後頭部を叩くと顔面を机に打った。

 

「貴様......だれが巷で人気の獣人娘ちゃんベスト5の資料をだせと言った」


 後頭部をさする男に鋭い視線を向けるシャルロットとハイネス、まぁシャルロットの目線は紙を見つめているのだが。

 改めて紙を受け取ると暫く黙る、ハイネスは目を瞑ると黙る。

 時間にして一分立つか経たないかしてシャルロットが机に肘をつくと溜め息を吐きながら。


「あぁー、やっぱそんな所にいたのね、遠すぎなんですけど」

「私に言うなよ、それに今もそこに居るのかは、わからんからな」


 紙にはアルタイトより南方面に書かれたところにバツ印が書かれていた、紙を食い入るように睨むと暫く口を閉じていた男は椅子に座りなおしながら呟く。


「その情報を手にするのに我々の部下が二十数名......消されました」


「貴様は余計な事を言うな......アルカナハート、今のは聞き流してくれて構わない」


 頭をそっと下げるシャルロットに視線をそらすハイネスは、男を睨んだ。

 暫くしてから沈黙を破るようにシャルロットは頭をあげると視線をさげたまま答える。


「必ずあなた達の仮も返すから......それにこいつを潰さないと、わたしにかけられた呪いも解けないかもしれないし、あなた達とはこれからも争いたくないし」


 お互いに協定を結ぶ彼女たちは、出会った当初どちらが死んでもおかしくない戦闘を繰り広げたのだ、唯一その状況に巻き込まれた経験を持つ男は苦笑いすると口を引きつらせて。


「まぁ自分もカンベン願います......それに仲間の仇はなにもシャルロット殿一人に押し付けるつもりはないです」


「大罪者の討伐が第一だからな、さて気になる事があるのだがいいか?」


「なにかしら......最近質問ばっかされるけど」


「先程から汝の脇に座る獣人は何なのだ?」


 視線を横に向けるとフランカが座っていて微笑んでいる、いつの間に潜り込んだのか気になるが、フランカはハイネスを見て尻尾をワサワサと揺らし始め。


「ハイネス様、お久しぶりでしゅ!!」


 眉を動かすと急に表情が緩むハイネス、しだいに笑みを見せるとフランカを見ながら。


「あぁ、汝か!! あの後は無事だったか、それは何よりだぞ」


「え? ハイネスってフランカとお知り合いなの」


 文字通り、体を張ったのはこっちの男だがな、と言ってるかのように脇にいる男に指を向ける。

 どうやらハイネスたちはフランカが暴食者から襲われるのを救ったらしいのだ、家族を失ってしまった少女を勇気づけたのもハイネスだとか。

 フランカがハイネスに飛びつくと胸に顔を埋めた、それを見たシャルロットは何故か自分の胸を見る。


「どうせわたしにはありませんとも!! 胸がなによ」


「おい汝、胸なんかあっても邪魔だぞ?」


「あ~この女!!」


 剣を抜こうとしたところで男が止めに入る、勿論シャルロットは、はなから抜くつもりなんてないしハイネスも珍しく悪戯な笑みを見せた。

 __暫くしてゆっくり腰をあげる二人は。


「さて、ハイネスさん、そろそろ我々も」

「あぁそうだな、フランカ済まないな」


 フランカを抱えて床に下ろすと頭を撫でて見つめる、男がハイネスの表情を眺めながら照れた、それに気が付いたのか再び頭を叩かれる男であった。

 という事で哀れな者がまた増えたようだ。




____僚太はクロウを連れてキーファの屋敷に足を運んでいた。

クロウが小指を壁にこすりつけている、僚太は高級感漂う絵が飾られたその壁に目線をやると、見なかった事にして黙ってキーファが来るのを待っていた。


 暫くし、ドアが開けられると紙を数枚持ったキーファが現れた、お付きの者にやらせたくないのだろうか。


「さてこれが納付書だね、あと、資材はすべてシャルロット様の屋敷に送るようにさせたから、じゃあ僚太君これ__」


 そう言って紙を僚太に渡そうとする、クロウが奪い取るとキーファを睨んだ。

 空気が悪くなってきた気がした僚太はすかさず口をはさむ。


「なにからなにまで、ありがとうございます、さて、取り合えずクロウ帰るよ!!」


「あん? このいけすかね~野郎はな、クソのような面しやがってな」


 仮にも一国の王子相手なのにの実に命知らずなクロウ、まだ酔いが覚めてないのか。

 やたらと食って掛かる、相手にしなければいいのに何故かキーファまで絡みだし。

 

「きみのその顔でとやかく言われたくないね」


  酔っている様子は何処にもなく真面目な顔で手にする紙を床に叩きつけると、キーファに指をさして問い詰めた。


「てめぇが......キーファてめぇが早く気が付いてればな!!」


「きみは変わらないね、きみだけだよ、まるで何かに取りつかれた様に復讐をしようとしてるのは」


 その言葉に理性をなくすクロウ、止めに入る僚太を手で払うとそのままキーファに掴みかかる、近くに居た護衛が構えるがキーファは右腕を横にだすと制止して表情を変えないまま。


「復讐を果たしても彼女やロイド君達は戻らない......死んだんだ、もういい加減分かれよ」

「きみには新たな仲間がもういるじゃないか、それだけじゃダメなのかい」


 掴む手には血が溜まり赤黒くなり始めている、僚太が再び割って入ろうとした

瞬間、クロウが怒鳴る。


「俺が忘れたらなッ!! あいつらに、あいつらには何も残らなくなっちまうじゃねぇかよ!!」


「きみはそのままだと......死ぬ、いつかきみは死ぬ」


「それでも構わないねぇよ、死んでも別に__」


 その言葉を聞き終わらないうち、鈍い音と共にクロウが転がった、キーファは血が付いた自分の拳を見つめたまま悲しそうな表情を見せて口を開いた。


「せめて()の前では......二度と言うなよ」


 倒れたままのクロウを見つめるキーファは、もう何も言わずに部屋を出て行くと僚太はただただその光景に戸惑うだけで何もする事ができなかった。

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