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普段は少女!?呪いを掛けられた剣聖麗人と共に!!  作者: 犬飼
第二章 戦いの中で分かる事
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【第二話】 優しさは人をダメにするのか

 僚太は両手に持つ食料を厨房に置くと片付けをしながら食堂の賑わいに耳を傾けると、レベッカとクロウがワインが足りないだの誰が残りを飲んだだのと言い争いをしている。

 だが厨房に立つ僚太からしてみれば料理に使う材料を飲むなよ、なんてのはあの飲んだくれ二人組に言ったところで意味がないのは理解しているので会話に入る事はしない。

 しばらくするとフランカが何食わぬ顔をして厨房にやってくる、積み込まれたひと箱ひと箱を確認すると頷いているので気になって僚太が声をかけると。



「な、なんでもないでしゅよ!?」



 本当に何でもなければそもそも厨房になんて来はしないだろう。

 僚太は足元の篭から赤い実を一つ取り出して投げ渡す、だがフランカが顔を赤くして涙目で僚太を睨み付ける。



「え、どうしたフランカ? 食っていいよ」


「うむむむむ!! 僚太様ひどいでしゅよ」


「え? 何でだよ__」



 どうやら僚太がリンゴだと思って投げ渡したそれは、火の実と呼ばれる香辛料の一種なのだとか。

 ここまで似ていて果物ですらないとは、やはり異世界なのだろうと、腕を組み頷く僚太の顔面をフランカの投げ付けた火の実が直撃すると弾けて拡散した。



「いてぇ!! しかもすげーかれぇ!! おいフランカ何しやがる」



 こんな物を直に食わせそうとした僚太がいけないのか、それとも、根本的につまみ食いをしようと厨房に入ってきたフランカがいけないかは言わずともわかる事なのだが。



「ごめんッてフランカ__」


「むふん!!」



 謝る僚太に胸を張るフランカ、顔の表情は怒っているようなのだが、尻尾が右に左に順序良く振られている。

 犬と同じ扱いでいいのならそれは喜びを表しているという事になる、こまかく言うとあいさつとしても振るらしいが、この場合は前者なのだろうか。



「悪かったから、後でフランカだけに一品追加してあげるから」


「うッ、ホントでつか?」



 不機嫌そうな顔は何処へやら、振られる尻尾の順序も何処へやら、満面の笑みで厨房から出て行くフランカの後ろ姿を見て、僚太は微笑むと嫌な笑みを浮かべると。



「フランカもまだまだ子供だなぁ」



 まぁそんな事でどうにかできると考えた時点で十分、僚太も子供なのだが。 

 しばらくして今度はシャルロットが顔をだす、そして恐る恐る僚太は口を開くと。



「まぁ別にそれはいいわよ、ただ皆に心配はさせないでねッ__」



 シャルロットが振り下ろしたチョップが僚太の額に直撃する、今日一日で最低三回は顔面への攻撃を受けている。

 シャルロットとローズのそれは本当に痛いわけじゃないのだが、心にくるものがあり上を向いて。



「泣けるぜ~」



 一瞬シャルロットは考えると、思い出したかのように。



「それ前にも何回か言ってた事あるけど、僚太の中の流行りなの?」


「んー、ルーチーンってやつかな」



 僚太のそれは主に心に来た時に放たれる、呪文のような言葉だとシャルロットに教える。



「なッ泣けるぜ!!」


「いやそんな恰好を付けないんだよ、もっと哀愁をただよわせてさ」



 別にどうでもいい僚太の泣けるぜ講座が始まるがわずか数秒で終了する。

 なぜかと言われれば、厨房の入り口でレベッカが変な笑みを見せながら僚太とシャルロットを見ていて茶化してくる。



「おい、イチャイチャしてないで、はやく飯は運べよ」



顔が赤くなる僚太、シャルロットは何食わぬ顔でレベッカに詰め寄ると、見上げて。



「僚太とイチャイチャする理由なんかないわよ? ね僚太」


「あッ、んー微妙にそれ俺の方にダメージはいってるんですがシャルロットさん」



 レベッカも何か悪いと思ったのか苦笑いに変わるとシャルロットに耳打ちをする。



「おい......そんなんだとローズに取られちまうぞ?」


「え? なにが」



シャルロットは口を開けたままレベッカの方を真面目に見ている。

レベッカは自分の額に指をあてて考えると、今度は僚太の方に向かい肩に手を乗せると。



「うん、僚太お前はもう少し頑張れ!!」


「は!? なにがだよ、おいレベッカ」



 厨房を出て行ってしまうレベッカの後ろ姿をシャルロットは首を傾げて眺めていた。

 僚太は疲れた表情をすると鉄鍋に火をかけて皿を用意し始める、両方の確認を終えたシャルロットは腕を組みながら溜め息交じりに呟く。



「ふ~泣けるぜぇ~」



 泣きたいのは僚太だろうに、それをただ聞いていた当の僚太はため息を吐くばかりであった。


__夕食を無事終え、厨房に戻り洗い物を終えた後、廊下で酔いどれ二人組に遭遇した、もちろん初めは無視をしようとしたのだが今日の絡みは別格であった。



「へいへい~僚太~元気かよ~、元気か」


「クソガキぃークソ、ガキガキだね~ガキ」



 もはや無表情になりつつある僚太はその二人をただ眺めているだけで反応などせずにただただ黙って見ている。

 調子にのる酔いどれ共は僚太の髪に息を吹きかけたり足にしがみついたりとやりたい放題の有様。



「おい、お前らいい加減にしろよ......」



 それでも絡んでくるレベッカとクロウにとうとう堪忍袋の緒が切れたのか僚太は眉間にシワを寄せると大きく息を吸って目付きが変わった。



「さっさと!! 部屋に戻って寝やがれ、この酔っ払いが!!」



 僚太の怒鳴り声を聞いたのか、廊下の向こうから物凄い剣幕のローズが早歩きでこちらに向かってやってくるとレベッカの首の根っこを掴むと引きずって去っていく、途中で止まると振り返り。



「おやすみなさい僚太......それでは失礼します」


「おやすみローズ、レベッカは頼むぜ」



 お辞儀をして去っていくと連れて行かれる泣き叫ぶレベッカは夜通しでローズとシャルロットに怒られたそうだ。

 __うねうねと体を動かしているクロウを首を傾げつつ見つめる僚太。



「さてこの、おっさんどうするか」


「びゃかやろう、まだおれは二十、八だばかやろうびゃかや」


「俺からしたらオッサンだよ.....つーかもはや何を言ってるのかもう分かんねぇから__」



 そのあと僚太はクロウを放置して部屋に戻るとすこし考え、ベットから毛布を取るとクロウの元へと戻り、手にする毛布を投げ捨てて再び自分の部屋に戻って行った。


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