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普段は少女!?呪いを掛けられた剣聖麗人と共に!!  作者: 犬飼
第一章 上辻僚太の始まり
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【第二十三話】 教会騎士の

 午後の屋敷の庭園では普段の服装のクロウと執務服の僚太が向かい合う形で立っている。

 そもそも体力は人一倍ある僚太だが剣を構えるほどの筋力はあまりない。

 そこで誰でも出来るクロウの体術講座が始まる、恰好が様にならない以外は先生らしい事を言う彼。


「おい、おまえそんなんじゃ力はいらねぇだろ、バカガキ、腕の関節がそれじゃ外れるぞ、アホ、マヌケ、クズ、ゴミ__」


 確かにクロウは的確なアドバイスをしているのだろう、だあがしかし後半の罵詈雑言はなんなのかは分からない。

 最初こそ黙って従っていたのだが、あまりにも不快に思った僚太は抗議する。


「おいあんた後半ただの悪口じゃね~かよ!!よくそれで指南役だなんていえるな!?」


 近くで座ってるメイド姿のフランカはパンを頬張りながら見ている、まるでその姿は試合を観戦しにきている客のようで。


「僚太様!! ちゃんとやりなしゃい」


「フランカ~おまえまで、ッていうかパンまた食べてるのかよ!?」


「おいガキ!! 誰がよそ向けって言ったんだ__」


 よそ見をした僚太は一瞬体が宙に浮くと地面へ叩きつけられる、なにがあったのかは一目瞭然でクロウが僚太の足をすくい背負い投げたのだ、そして再び放たれる罵詈雑言。


「あんた、心まで折に来るなよな......」


 ただ先程よりも真面目な顔つきになったクロウは静かにつぶやく。


「よく聞け......この先、奴らについて行こうと思ってるんならお前、そのままだと確実に死ぬぞ......」


 その言葉には何故だか妙に説得力があり、僚太の顔にもいつもの顔は何処へやら。

 この先、大罪者(やつら)を相手した時に今度は誰に助けを求めるのか、シャルロットかローズかレベッカか、フランカか、この目の前に立つ男か。


「おい勘違いすんなよ......すべて背負うとするな、お前が求めなくてもあいつらはきっとてめぇを助けるだろうさ」


「俺は......」


 黙る僚太、強くなるとはいったいなんなのかは今も分からない。

 そして初めて僚太はこの男の事が知りたくなったようで一つの答えを目指して質問をなげかける。


「あんたは強い、強くなったその先を知ってるんだろ......」


 うつむくと後頭部を掻いて苦笑いするクロウの目はどこか悲しそうで、怒りが感じられ。


「俺は......助けられなかったんだ、強さのその先は果てしない復讐心しか待ってなかった......最愛の人を大切な仲間を、俺のくだらないプライドが殺させた__」


 僚太の見つめるその男は、なに一つ、一つすら守れなかったのか。


「這いつくばって頭を下げればそいつは、あいつらを見逃すと言った、いや......はなからそいつは俺を殺すためだけに剣を教えたんだと言いやがった」


「お、おい、それじゃ......それじゃ誰も、あんた含めて誰も__」


「だから俺は、あのジジイを殺すためだけに生きている、ただそれだけだ」


 この男のたまに見せる冷たい目、深く暗い瞳の奥には復讐しか見ていないのか。

 

「復讐......しかないのか、復讐しても、その人達は__」


「復讐がなにもうまないなんて言うなよ、こっちは復讐のその先を見てなんかいねぇんだからな」


 僚太はすこし想像する、最愛を救えず大切な仲間を救えなかった自分の姿を、シャルロット達が目の前で殺される姿、何かがこみ上げると口を両手で押さえた。

 見下ろすクロウはかがむと僚太の頭に手をのせる、そしていつもの眠たそうな目をみせると立ち上がり。


「さぁしみったれた話は終いだ__つづきやるぞ、俺が剣を教える以上はちゃんとやれよ」


「あ......あぁ、わかった、ひとつ決めた......目標はあんたをこえる、こえてみせるよ」


 僚太は親指を立ててクロウに宣言する、クロウの表情は一瞬、まるで何かを想わせたかのような表情になるとため息を吐く、調子が戻ったのだろうか。


「なら、手加減ぬきな」


「うッ、すいません、ぜひ手加減で」


「悪いがそれは無理だ、てめぇも男ならがんばれよ」

 

 __剣を握りただひたすらその時を待つ、ひと呼吸吸い、ふた呼吸目で出しきる息に合わせて大きく振り下ろすと太い木の丸太を叩き割る、辺りには数本の木が散らばっていた。

 

「これを剣でやらせる奴がいるか、あのやろう__」


 視線を脇に向けると当の本人は近くで横になって寝ている、フランカはクロウの顔に何かしているようで、そちらが非常に気になるところだが。


「気になる__ガマンガマン、ガマンだぞ僚太、ところでなにしてんだフランカの奴は」


 そんな事を考えていると、今一番現れてほしくない人物が顔をだす。

 いつものストライプ柄の背広姿のレベッカがのそのそと近寄ってきてフランカに近づくと口を押えて転げまわり始める。


「ククククッ、フランカッそれなんだよ__」


「目でしゅ、いつも眠たそうな目をしてましゅから」


 悪意があるのかないのか、この場合は前者になるのだろうか。

 僚太は我慢できずにクロウまで近づくとレベッカと同じ状態になる、さすがにうるさかったのだろう、本当の目を見開くと、眉を吊り上げてフランカの両耳を優しく掴むと。


「うるせー!! なにしてんだてめぇらは」


「クロウしゃん、やめてくだしゃい!!」


 やめて、恐らくその台詞はクロウが言うべき言葉なのではないのだろうか。

 レベッカは立ち上がると咳払いする、そしてその動きは違和感があり僚太はレベッカの悪戯にハメられたのだと気づいた時には手遅れだった。


「うんんッ......おい僚太だめだろ、せっかクロウさんが教えてくれているのに、ちゃんとしろよ」


 そのあまりな不快さに一瞬驚くが、僚太の額をクロウの強力なデコピンが襲うと手でその部分を押さえた僚太が文句を言う。


「おいレベッカおま!! くそッ、俺がはじめた事じゃないのに」


 クロウの後ろで嫌な笑みを浮かべるレベッカだが、どうやら天罰という奴はやはりそれぞれ平等に訪れるらしい。

 シャルロットが向こうの方からすごい剣幕で走って来ると、レベッカの手を掴み連れていく、今回の罪名は何なのだろうか、僚太も嫌な笑みを似せると叫ぶ。


「レベッカーッ地獄におちろ!!」


 まぁ事の発端はフランカなのだが、毎度おなじみの僚太とレベッカの寸劇がそこで行われたのだと思うと苦笑いする僚太。


「なんか笑えるぜ」


「なにがだよ、てめぇもさっさと言われたことやれ__」


 再び強烈なデコピンをくらうと悶絶する僚太であった、日はいつの間にか暮れ始めていた。

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