研究成果
あれから3年がたった。
ぼくさんちゃい!キャピ☆
とかやっても許される年齢だ、中身は39のおっさんだがな!!!
いや、3年経ってるんだから42か?
まあ、そんな事はどうでもいい。
俺は今、村の近くの森に来ている。
父さんに連れられて狩を見せてもらいに来ていたのだが……逸れてしまった。
つまり、絶賛迷子中な訳だ。
あ、そうそう、魔法の研究についてだが、かなり進んできているゾ!
この異世界を取り巻く属性は木、火、土、金、水が基本っぽい。
他に風、雷で対になって光、闇、で対になる。
で最後に次元(空間)、時間、重力この3つはそれぞれ独立。
全部合わせて12属性、研究成果として全部使えるんだぜ?俺。
何で、こんな事を?って思うかも知れんが、魔物が出る森で親と逸れた人間の子供ってのはね――。
ガサガサッ
音がした茂みに視線を向けると、頭に角が生えた熊の魔物が姿を現した。
こっちを見て涎を垂らしてうなっている。
肉も骨もやらかい極上の餌って所かな?
正直、3歳の子供が遭遇したらまず助からないね、この状況。
でも残念、中身おっさんなんだよね。
熊の魔物は、いただきまーすと言わんばかりに襲い掛かってきた。
俺は重力を反転させる魔方陣を足元に仕掛け、無詠唱転移魔法で魔物の背後に回る。
結果、魔物は空に落ちる、少しすると魔方陣が消え自由落下が始まる。
ぐしゃぁ
うーん、嫌な音だ。
地面に叩き付けられる瞬間、目逸らしちゃったよ。
グロ画像注意ね、コレ。見せられないよって奴。
「おーーーーい、フィローーーーウ」
おおう、俺が居ない事に気付いて探しに来たようだ。
「とうさーーーーん」
呼びかけに応えると、茂みの中からローウェルが出てきた。
「フィロウ無事だった――か!?」
俺を見て安堵した表情になったと思ったら、いきなり固まった。
無理も無い、俺の後ろにはモンスターのグロ画像(出来立てほやほや)があるのだ。
「おま…これ、どうしたんだ!?」
「上から落ちてきた」
嘘は言ってない。
流石に俺がやったとは言えない、3歳の子供がやったなんて知られたら、どうなるか分かったモンじゃない。
言っても信じないだろうけど、万が一って事もある。
ちなみに、この年で『魔法が使える』って言うのも秘密だ。
「上から……」
ローウェルが空を見上げて落ちてきた原因を探すが、見つかるのは気持ちのいい青空に浮かぶ雲と太陽(でいいのか判らないが太陽にしておく)あと鳥くらいだ。
「本当に上から落ちてきたのか?」
「うん」
嘘は言ってない。
「……そうか」
何か釈然としない表情で回収の準備をはじめるローウェル。
「フィロウ何で逸れた時に父さんを呼ばなかったんだ?」
「んとね、お声を出したら怖いのいっぱい来ると思ったの」
「そうか、でも今度から逸れそうになった時は、ちゃんと父さんを呼ぶんだぞ?」
「うん!わかった!!」
「よーし、いい子だ!」
イケメン父さんに爽やかスマイルで頭を撫でられる。
うん、悪い気はしない。
しかし、あまり長く親と時間を共有していると何時ボロが出るか分からん。
常にこの素敵な演技力が発揮できる訳じゃないからな。
「父さん、もって帰るの?」
「ああ、ここにおいて置くと病気の元にっちゃうからね」
「ふーん」
よく分かってない返事を返しておく。
ローウェルの言っている事も間違いではないが、この森の中だと他の動物が食うだろ。
素直に戦わずに獲物が手に入ってラッキーって言えばいいのに。プライドかな?




