まさか、こんな事になるとは…
腹ごしらえを終えた俺とミルルは、俺が世話になってる宿に向かっていた。
「ミルル、宿に着いたら新しく部屋を借りるから、今度からはそこに住む事になるぞ」
「やだ、ローちんといっしょがいい!」
ミルルが腕にしがみつきながら言う。
実に年相応で結構。
「いや、そう言うわけには行かないって」
苦笑しながら答える俺。
そうこうしてる内に宿に到着した。
「クレアさん」
呼ぶとカウンターの奥から宿の女将、クレアが出てきた。
「おかえり。おや?その子は?」
「あー、この子は───」
「初めまして、いつもロー兄ぃがおせわになってます」
突然ミルルが前に出て挨拶し始めた。
ん?ロー兄ぃ?
「あら、妹さんだったのかい?自分から挨拶できるなんてえらいねぇ」
「えへへぇ」
褒められて照れるミルル。ここまでは良かった。
「兄妹なら同じ部屋の方がいいわよね」
え?
「うん!ロー兄ぃと一緒がいい!!」
へ!?
「あらあら、仲が良いわねぇ。料金は同室だから割り引いておくよ」
流石に止めに入らないとこれはマズイ。
「あの、ちょ――」
「ありがとーお姉さん!」
ミルルまさかのインターセプト!?
「あらやだー、お姉さんだなんて!お部屋は2階の突き当たりだよ」
「はーい、行こ!ロー兄ぃ」
強引にミルルに連れて来られてしまった。
そして、部屋に向かう途中……。
「ふふふ、これで同じ部屋だね、ローちん」
は、謀られた!?
今のやり取りが全て、ミルルの計略通りだったというのか!?
ミルル…恐ろしい子!
まんまと嵌められてしまった俺は、ミルルと同じ部屋で過ごすことになってしまった。
まあ、別に?俺はロリコンじゃないし?構わないけど?ロリコンじゃないし!
それに、俺の好みはおっぱいバインバインのお姉さんだし、ミルル相手に間違いなど起ころうはずもない!
「ローちん」
「ひゃい!」
いかん、考え事してたから変な声が出てしまった。
「何考えてたのー?」
「何でも無いよ。それより、もう今日は寝ようぜ。疲れちまった」
「うん、わたしも寝るー」
2人で欠伸しながらベッドに入ると、即行で意識を手放した。
………
……
…
次の日。
目を覚ますと、腕の中にミルルがいた。
一瞬、焦りそうになったが、昨日の事を思い出し冷静になった。
「…ぶっちゃけ、ミルルの大きさって抱き枕に最適だよな」
ミルルの頭をそっと撫でる。
「……んふふー」
「…ミルル、起きてるだろ?」
「えへへぇ、ばれちった」
「そろそろ、起きるぞ」
「はーい」
朝食を食べ終わって、学校に向かう途中。
俺の横をご機嫌で歩くミルルに声をかける。
「ミルル」
「なーにー?」
「俺と一緒の部屋に住んでるってのは、皆には内緒だぞ?」
「なんでー?」
「バレると説明とか色々面倒ってのもあるが、2人だけの秘密って何か良くない?」
「2人だけの…」
「秘密だ」
「えへへぇ、わかったよー」
「いい子だ」
そう言ってミルルの頭を撫でてやる。
「はわ!いい子いい子されちゃったー」
等とやってる内に教室に到着した。




