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転生英雄譚(裏)  作者: 甲 康展
第2章 フィロウ編 学園生活
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初っ端からコケた!

次の日、旧校舎へ向かう丘の階段を登るヴェルド。


「はぁ、今日から毎日このダルイ階段を登――ぶるぁ!?」


 盛大にコケた。


「くっそぉ、痛ぇ」


 肘を見ると見事に擦り剥いていた。


「あ、ヴェルたん。おはよー、だいじょーぶ?」


「ヴェルたん、だぁ?」


 今まで呼ばれたことの無い呼び名だった。

見ると、ミルルが心配そうに覗き込んでいた。


「なんだ、ミルルか。おはよう、このぐらい放っておけば治る。それよりも、そのヴェルたん呼びは何とかなんねーのか?」


「?…ヴェルたんはヴェルたんだよ?」


「…そうか」


 基本的に呼び名など好きに呼べば良いと思ってた以上、ここで強く変更を求めるのは男らしくないと思い放置することにした。


「ミルル、あまり急いで階段を登るなよ?夜に降った雨で滑りやすくなってるから、お前もコケるぞ?」


「だいじょー…ぶぇ!?」


 超速のフラグ回収だった。


「うー、いたーぃ…」


「言った傍から…ほら、大丈夫か?」


「うー」


 すごく涙目になっている、見ると右足の脛から膝にかけて擦り剥いていた。これは痛い。

よく涙目で我慢していると感心するくらいだ。


「校舎まで運んでやるから、負ぶされ」


「ふぇ?…いいの?」


「その足じゃ痛くて、登れねぇだろ」


「うん、ありがと…」


 ミルルがおずおずと負ぶさってくる、小さいだけあって軽い。


 この状態でコケたら洒落にならないので、足元を見ながら注意を払って登っていく。


「あー、グリグリだー」


「あん?」


「やあ、2人とも仲がいいね」


「何してんだ?グリム」


「何って、見ての通り――コケてるんだよ」


「馬鹿な事言ってないで、さっさと行くぞ。助け起こすくらいはしてやるから」


「君は案外優しいんだね」


「うるせぇ」


 階段を登りきるとピカピカの校舎が出迎えた。


「……なあ、俺の記憶が確かなら、この校舎はもっとボロボロだったと思うんだが?」


「うん、僕の記憶でも同じだよ」


「私もー」


「もしかして、俺たちはとんでもねぇ奴を師事しちまったんじゃねぇの?」


「でも、僕たちはもう後戻り出来ないし、するつもりも無い…でしょ?」


「…まあな」


 ピカピカの校舎は外も中も綺麗になっていてまったく妥協が感じられない。

教室に入るとヴェイド達が最後だった。


 フィロウとリーチェが教壇に立っている。


「全員そろった所で、おはようございまーす」


『おはようございます』


「今日は初日なのでリーチェ先生からお話があるそうです。という訳でどうぞ先生」


「おはようございます」


『おはようございます』


「えっと、私から言うことは、昨日フィロウ君の魔法を見て思ったんだけど

多分…というかほぼ間違いなくフィロウ君の教える魔法は禁呪が含まれると思うから私が禁呪かそうでないか、判断することにしました」


 なんですと?それはつまり禁呪に指定されたら魔法使えなくなるって事?


「え…マジで?」


「マジで」


 ニコニコ顔で返されちゃったよ。


「ところでその『禁呪』に指定されたらどうなるんです?」


 アディンがもっともな疑問を口にする。

この回答次第では、由々しき事態になる。


「基本的にはどうにも成らないわよ?ただ、人前で使うとその力を利用しようと良くない人が近づいてくるかもねって話。

まあ大丈夫よ、そうそう禁呪認定なんてならないと思うから」


 そうか、なかなか禁呪認定されないなら安心だ!


「他に質問ある?」


 シーン


「無ければこれで私の話はおしまいよ。よろしくねフィロウ君」


「よし来た!」


 俺の出番だ!


「早速だが君たちには、死に難く(しににくく)成って貰うために回復魔法を教えようと思う」


『は?』


『へ?』


『回復魔法?』


 何だこのみんなの反応は。


「何か問題でもあるのか?」


「……フィロウ、回復魔法は聖女様しか使えない」


 なるほど。


「つまりレイラは証拠を見せろって言うんだな。よし、さっきそこの階段でコケた3人こっちに来てくれ」


「ミルルはともかく、何で俺らまでコケたの知ってんだよ!」


「フハハハハハ、俺は何でも見通せるからな!」


「たとえ嘘だとしても、本当にしか聞こえないから性質が悪いよね」


 3人が前に並ぶ。


 さっきから気になって仕方が無かったミルルの怪我から回復させることにした。


「最初から気になってたんだが、これすげぇ痛いだろ?」


「…うん」


「触っていい?」


「だめ!!」


「まあ、もちろん冗談な訳だが」


 涙目になってるミルルもかわいい。


「さっさと治すとしよう」


 右手に木(生)属性を集中させ怪我にかざしていく。

みるみる内に怪我が治っていく、最後に血をふき取ったら怪我をしていた所は判らなくなった。


「どーよ?」


「すごーい!!もう、痛くない!!ほら!」


 喜んで飛び跳ねながら、みんなに怪我していた足を見せるミルル。よほど嬉しいんだろう。


 他の2人はミルルの様子をみて呆気に取られているようだ。


「残りの2人も回復するぞー?」


「あ…ああ」


「よろしく頼むよ」


 さっきと同じ要領で回復させていく。


「こいつは……すげぇな」


「回復魔法なんて受けたのは初めてだけど、怪我をしていたのが本当に分らなくなるんだね…」


「という訳でレイラ、回復魔法は誰でも使えるから安心だ」


「……解った」


 みんなが傷があった所を見ていると先生が声をかけた。


「みんな、これ禁呪指定だからね?」


 マジか!?


「え?初っ端から禁呪!?」


「当たり前よ、本来回復魔法は教会に認められた聖女様が厳しい修行の末、光の精霊に認められて初めて使えるようになる魔法なのよ?

それを、こんなポンポンと簡単に使ってたら、大騒ぎになるわよ?」


「むう…まあ、まだ最初だ、とりあえず使い方を説明するぞ。まず木属性の――」


「ちょっと待って!」


「どうかしたか?メイジェル」


「木属性って何?」


 そこからか!?


 前途多難だった。

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