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転生英雄譚(裏)  作者: 甲 康展
第2章 リーチェ編 私の目的
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魔法師リーチェ、いっきまーす

 私が師匠の所に来てから半年くらい経った頃、師匠は私に言った。


「お主がワシの家(ここ)に来てから約半年。目覚しい成長速度じゃのう。

もう、初級魔法は無詠唱で使えるようになるとは」


 師匠は褒めて伸ばすタイプだった。

この指導方針は私との相性がすごく良かった。


「えへへ…」


「だが、それ故に釘を刺して置かねばならん」


「?」


「『禁呪』と呼ばれる魔法についての話じゃ」


「『禁呪』って何です?」


「禁呪とは存在その物が戦力のバランスを大きく崩す魔法の事じゃ」


「そんな凄い魔法が在るんですか!?」


 私のテンションはぐーんと上がった!


「……期待を裏切るようで悪いが、ワシは禁呪など使えんから教えられんぞ?」


 私のテンションはしゅーんと下がった。


「ワシが言いたいのは、もし禁呪使いと相対する事になった時の話じゃ」


「…どうすれば良いんですか?」


「逃げる事じゃ」


「え……」


「禁呪使いと相対した場合、ワシらの使う魔法では全く歯が立たんのじゃ」


「その口ぶりから察するに、遭った事あるんですね?」


「……ああ」


「どんな人でした?」


「そうじゃのう…若いお嬢さんじゃった」


「は?」


 ふざけてるのかしら?


「いや、嘘じゃない!嘘じゃないから!!あれから何年も経っておるが今でも覚えておる!」


「まあ、いいです。続けてください」


「当時ワシは、レザイアと言う国の雇われ魔法師じゃった」


「レザイアって……確か10…何年か前に戦争で滅んだ国…ですよね?」


 そう、私が物心が付くか付かないかと言う時に、クルギスという国と戦争していた国。

今でもクルギスはアルサレムの隣国として存在する。


「うむ、当時クルギスはアルサレムと軍事協定を結んでおってな。戦争でアルサレムが介入してきたんじゃ

ワシは戦場(そこ)で遭った。禁呪使い…蒼炎の魔法師に」


「蒼炎の魔法師?」


「ああ、普通の火炎魔法はこの様に赤い炎じゃが」


 師匠は手のひらに炎を出して見せてくれた。

見慣れた赤い炎だ。


「あ奴の使う炎は蒼く、ワシの使う魔法は悉く破られた」


「水魔法もですか?」


「そうじゃ、ワシの水魔法では蒼い炎を破れなんだ」


 炎の弱点である水で破れない魔法の使い手、そんな相手に一体どうやって師匠は助かったんだろう?


「師匠はどうして助かったんです?」


「助かったとはとても言い辛いのぅ、ワシは魔法が直撃する瞬間に全力で防御したんじゃ。

結果としてワシは重症を負って気絶、気が付いた時には周りは焼け野原じゃった。運が良かったのかも知れん」


「気絶したのを死んだと勘違いしたんでしょうか…」


「恐らくな」


「その禁呪使いの名前とか判ります?」


 将来的には私が師匠の代わりに倒す!


「名前か?後で調べて判ったんじゃが、アルサレムの宮廷魔法師………」


 師匠は途中で言うのを止めてしまった。


「どうしたんですか師匠?」


「やっぱりお主には教えん!」


「な!?」


 何でですか!?


「お主、ワシの代わりに倒そう等と考えておるじゃろう?」


「エ…ソンナコトナイデスヨー」


 あっちゃーバレちゃった。


「片言になっとる時点でバレバレじゃ!この話はこれで仕舞いじゃ、ほれさっさと修行の続きをやるぞ」


「はーい」





 この出来事から2年余りが過ぎた。

私は冒険者として師匠と一緒にクエストをこなしつつ実戦経験を積んでいた。


 師匠監修の下、1人でモンスターと戦いクエストを達成した帰り道。


「リーチェや」


「はい?」


「ワシからお主に教えられる事はもう残っておらん。この約3年間、よくワシに付いて来てくれた」


「……師匠?」


「お主は魔法師じゃが接近戦もこなす事ができる、珍しい戦闘スタイルじゃ。

もしかすると、お主ならSランクに届くやも知れん」


「……ありがとうございます」


「これで、一人前じゃ」


「…はい」


「後はお主の好きにすると良い。ここに残るのも良い、当初の目標を追うも良い」


「私は……目標を追います」


「そうか…じゃが、これだけは忘れんでくれ。ワシの家はお主の家でもある、いつでも戻ってくるといい」


「!…はい!」


 追い出された私には、まだ帰れる場所がある。

こんなにうれしい事はない。


 5日後、私は師匠に家から旅立つ事にした。


「師匠…お世話になりました」


「うむ…今にして思えば、お主と過ごした3年足らずは、なかなか楽しかったわい。まるで孫ができた様じゃったわ」


「私も…凄く楽しかったです」


「では、最後に師匠として弟子に餞別をやろう」


 そう言って師匠は白金貨10枚が入った袋をくれた。


「こんな大金……!」


「いいんじゃよ、弟子の活躍に期待する師匠の気持ちじゃ。あと、たまには顔を見せに帰って来てくれると嬉しいんじゃがの」


「そうですね……師匠がくたばる前には顔を見せに帰ってきますよ」


「バッカもん!ワシはアレじゃ!めっちゃ生きるぞ!!」


「あはは、それじゃあ行ってきます!」


 こうして私は師匠の下を旅立つのだった。

予定よりも進めませんでした。申し訳ないです;;

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