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転生英雄譚(裏)  作者: 甲 康展
第1章 これは、面白いことになりそうだ
10/28

ちょっと見てくるだけのつもりだった

 次の日、試験会場の学園に行くと――。


 ルリアと遭遇した。


「げっ!」


 思わず口をついて出てしもうたわ。


「『げっ』て何よ、脳筋のくせに」


「はっ!モヤシが、ほざきよるわ」


「ちっ、まあいいわ。どうせ才能の欠片も無いアンタがこの学園に受かるわけないし

まあ、もし受かったとしてもDクラスが良いとこでしょうね」


「あー、はいはい、そーですねー」


 適当にいなして話を切り上げる。

コレがイラつきを最小限に抑えるテクニック、俺は大人だからな。


 試験会場に向かおうとして歩き出すと、俺の脚は障害物に阻まれ危うくコケそうになった。

見ると不自然に地面が盛り上がってやがる。

さらに、視線を移すと、ルリアがほくそ笑んでやがる!


 殴りたい、あの笑顔。って言うのを実感と共に理解したわ。

しかし、今回は証拠不十分で仕返しできねぇ。


「ふん、今日の俺は紳士的だ。運がよかったな」


 はい、言ってみたかっただけです。


 それはそうと、この学園。すげぇ広い。

1から3年までで、クラスがSからDの5クラス。

コレだけあれば広いのも頷ける。

前日に下見してなかったら迷うわコレ。


 筆記試験会場に到達、教室に入ると皆、必死に勉強していた。


 前世の受験とダブる光景だ。


 席についてしばらくすると、試験が開始された。

前の席から答案用紙と試験用紙が回ってくる。

監督官の笛が試験開始の合図だ。


 ピーー!


 試験開始、俺を含め全員が問題に取り組む。


 どれどれ…。


 問1 魔法の基本元素を書きなさい。

木 火 土 金 水 風 雷 光 闇(空)間 時 重


 問2 回復魔法が使えるのはどのような人物か?

原理を知っている者なら誰でも。


 問3 物語に登場する飛行魔法が実現不可能な理由を書け。

実現可能である。よって問題が間違い。



 現に飛べるし。

それにしても、なんか問題が頓珍漢だなぁ…。


         ・

         ・

         ・

         ・


 問50 水の上位属性である氷属性の作り方を答えよ。

水と火


 これで最後か、妙な問題が多かったが、まあ大丈夫だろ。



 次は魔力試験。

水晶に触れて出る光の強さと大きさで魔力を測るのか。


「次の者、前へ」


 俺の番が回ってきた、水晶の前に立つと監督官がやり方を説明してくれる。


「水晶に手を当て、魔力を流すんだ」


「了解っす」


 言われた通り水晶に手を当てる。

魔力を流し始めて気づいた。


 あ、コレいくらでも光を大きく出来るわ。

大気中に漂う魔素を取り込み魔術を行使する俺のやり方だと上限は在るかも知れないが、この水晶だと最大まで光らせてしまう。


 適当なところで区切ろう。


 水晶の8割ほど光らせて止めておく。


「おおぉ…」


 ちょっと驚かせてしまったみたいだが、このくらいなら問題ないだろう。


 これにて入学試験は終了、次の日には結果が出るらしい。


 現在時刻は1時過ぎくらいか、ちょっと時間が空いてるな。

適当なクエストでも受けて時間をつぶすか。


 ギルドに顔を出し、良い感じに時間が潰れそうなクエストを探す。


「うん?上水路の調査?以来ランクE」


 内容はこうだ。

上水路の点検に行った調査員が帰って来ない、上水路で何かあったのかも知れない。

そこで、Eランク冒険者の方に調査員の捜索と上水路の状況を確認してきてほしい。

何も無ければ、それで良いのだが…。


 上水路見て回るだけなら楽勝じゃん?


 クエストカードを持って受付嬢のリリアの所へ。


「このクエスト、お願いしまーす」


「え…コレを1人で受けるんですか!?」


「何か問題でも?」


「いえ、条件はクリアしてるんですけど…この依頼、4人パーティが2組受けたんですけど、戻ってきてなくて失敗扱いになってるんですよ。

だから1人で受けるのは、お勧めしません」


「と、言われても……」


 辺りを見回して俺とパーティを組んでくれそうな冒険者を探す。

誰一人、俺と視線を合わそうとしねぇ。

それだけ、このクエストが厄いって事か。


「このクエ、状況を確認して来るだけでも良いんだろ?」


「ええまあ、サブクエストの達成でも少ないですが報酬は出ますけど…」


「危なくなったら、さっさと逃げるから大丈夫!」




 とか言ってた20分前の俺、殴りてぇぇぇ!!



 水路の奥には、すげぇデカイ蜥蜴トカゲが潜んでやがった!

不意打ちのブレスをガードしたら手が石化して、2発目は回避したら手が重くて回避しきれず足に食らってしまった。


 石化能力持ちの蜥蜴って…バジリスクじゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁ!!

何でそんな凶悪なバケモンが王都ここに居るんだよ!!


 とりあえず、無くなった機動力を確保する為に、フライトフィールドを展開する。


「こんな、筋金入りのバケモンは野放しにして置けん」


 バジリスクを見ると、喉の辺りが膨らんでいる。

3発目を吐くつもりか!そうはさせん!!


「フレアブラスタァァァァァァ!!」


 俺の胸の部分から出た強力な熱線がブレスごとバジリスクを飲み込む。

バジリスクの丸焼きが出来上がった。


「くそ、この石化。何とかなるかなぁ……」


 石化した手と足を魔術で分析してみる。

どうやら、石化してるのは表面だけのようだ。何とかなりそうで一安心。

最悪、切断して再生させる所まで考えてたわ。


 石化を解いて、一段落したら水路内をしっかり索敵する。

1匹だけとは限らない。

が、他に目立った反応は無く、本当に1匹だけのようだ。


 その後、水路を回ると石化した者たちを発見した。

完全に石化してしまっている。

どうした物かと、考えていたら1つ妙案が出てきた。


「この人等の時間戻せば良くね!?」


 9人全員を助けると魔術回路が疲弊してしまって、今日は魔法が使えなくなってしまった。

一休みしてから水路を出よう。

水路は定期的点検が入るため、所々に明かりが点いている。

無かったら戻れない所だった。


「これ、絶対にEランクの依頼じゃないだろ…文句言ってやる!」


 めっちゃクレームを入れる気、満々でギルドに行ったらマスタールームに通された。


「今回も良くやってくれた!感謝している」


 室内に入るとゲイルが頭を下げてきた。


「う…」


 クレームを入れようと思ってたのに、出鼻を挫かれてしまった。


「報告では、上水路に居たのはバジリスクだと聞いているが…本当かね?」


「間違い無いですね、今は疲れているので明日でよければ遺体を持ってきますよ」


「頼む」


「了解っす。それにしてもバジリスクはもっと南の温暖な大陸に居ると思ってたんですが?」


「ああ。本来、王都周辺には生息していない筈のモンスターだ。それが何故…?」


「単純に考えて、誰かがペットとして持ち込んだのが野生化したか、意図的に連れて来られたか」


「意図的に?」


「ええ、上水路からの奇襲や侵入を防ぐために配置するって事ですね」


「なるほど、そう言う考え方もあるのか…」


 まあ、受け売りなんですけどねぇ。とは言わない。


「用件がこれだけなら、そろそろ帰っても?」


「ああ、いや。待ってくれ報酬についてなんだが」


「クエストカードに書かれていた奴でいいですよ?」


「いいや駄目だ、バジリスクはAランク以上の冒険者に頼まなくてはならない相手。

それを、倒しただけじゃなく、石にされた者達まで救ってみせたのだ、それに見合った報酬を用意するのは当然の事」


 ほう、成果に見合った報酬か…前世のクソ社長に聞かせてやりたいセリフだ。


「解りました。では、報酬内容は聞かず、明日のバジリスク受け渡し時に貰うとしましょう。その方が楽しみが増えます」


「そうか、期待しててくれ!」


 ニカッと爽やかスマイルが飛んできたので、笑顔を返しておく。


解説


氷属性の作り方は水属性と火属性で合ってます。


理由として、火属性は厳密に言えば第一属性が熱で第二属性が光となる為、水の熱量をマイナスにして氷を作るのが一番楽です。


ちなみに光属性は火属性の逆で第一属性が光で第二属性が熱です。

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