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一日目 合流

 午後 1 時。

 俺たちを乗せた船が八肢島に到着する。

 殺風景な港には、小さなボートがいくつか泊められているが、漁夫の姿などは見当たらない。

 港にいるのは、到着した俺たちを迎えに来たのであろう20代の男性と、学生らしき少年だけだ。

「お!おお~!きたきた!いらっしゃーい!

 …って、なんだ、大人数だな?!」

 青年が俺たちに歩み寄った。少年はその後についていく。

「こんにちは、お出迎えありがとうございます」

 雲野は『これで大人数なのか…』という顔色である。うーん、ピンポイントに顔色が読めることもあるが、どうにもこいつはわかりづらい。

(てかみんな俺よりでかくね?まあ、俺169cmしかないからしょうがねえっちゃしょうがねえけど)

「こんにちは、お疲れ様です。ようこそ八肢島へ」

 少年が頭を下げるので、俺はお調子者を気取る。

「こんにちは。民宿からのお迎えさん?こんなに綺麗なお二人に迎えてもらえるなんて、旅行者冥利に尽きちゃうな。ありがとう」

 ヨダカは楽しげに手を挙げる。

「あ、徹クン~。久しぶり~~。と、君も、お迎えありがとうね!あはは、船で偶然会ってね。賑やかでいいでしょ~~」

「おや、ということは彼が君が行っていた友人かな?」

 雲野の問いに言外に肯定し、歓迎する徹。

「ようこそ、八肢島へ」

 ―――――――八肢島。

 今現在俺たちがいるのは、断崖絶壁に囲まれたこの島で唯一低地に位置する場所である。

 ここから住宅街や宿泊施設へ向かうには、長い坂道を上がって行かなくてはならいない。

 実に殺風景な港であり、『八肢島案内板』と書かれた看板がある他には小さなボートが幾つか泊められているだけで、特に目につくものはない。

 目の前に広がる坂を目の当たりにしてヨダカはがっくりと肩を落とした。

「わ~、本土では頼りになる台車くんの役目が~~坂によって奪われる~~」

「ははは…どんまい…」

「そうだなー台車、台車は微妙だな…」

「うっかり転がしてしまったらあぶないよね~~…と、いうわけで、徹クン、手伝って!お願い!」

「お、任せろ任せろ~」

 茶目っ気たっぷりに頼み込むヨダカ。賑わう雑談。少年は気後れしたように頭を下げた。

「………鷹見さん、雲野さん、黒曜さん、ですよね?今日泊まってもらう民宿の十坂って言います」

 徹も倣って頭を下げる。

「俺、菅原徹って言います。こっちは民宿の子の蓮くん」

 少年はまだ高校生だろうか。

(………皐月は、今何してっかなあ…)

 二十歳前後の男を見ると、皐月を思い出す。

(ああ…)

 金を稼がないと。

(そのためにはまだ生きなきゃいけない。だから意地でも、霊石をゲットしないといけないわけだ)

 正確には二千万だが。

「はい、どうも。ありがとう。蓮くんっていうんだ。素敵なお名前。これからよろしくね」

 意志とは裏腹に張り付いた笑顔は軽やかだ。

「初めまして、お二方。本日お世話になる雲野です」

「蓮くんっていうんだね。僕はヨダカ。そちらの徹クンと同期、というよりは友達かな!今日はお世話になります!よろしくね~~」

 蓮はぺこりと改めて頭を下げた。

「はい、ええと……あっそうだ、皆さんお疲れだったら多分民宿でも休める…?と思いますし、観光するなら夕飯は20時半になるんで」

「ありがとう、蓮くん。ええと、でも確かチェックインは15:00なんだよね。じゃあそれまで時間潰してるね」

 俺は踵を返す。じゃあな。おまえらは親睦を深めててくれ。俺は神主の蓮見に霊石の情報について、ちょっと恐喝…げふんげふん、O★HA★NA★SHIしてくるから。

「観光もいいね。そうだ、君たちが時間があるときでいいんだけど、この島について取材させてもらえないかい?」

 徹に頼み込む雲野をよそに、俺はさっさと社へ行こうとする。しかし徹はポンと手を叩いた。

「ヨダカも配達あるしな。持ってくなら蓮見さんのとこだな~」

「蓮見さん?」

 雲野がヨダカに振り向いた。

「そうそう、配達があるんだよね~。神主さんのことだよ~!」

「じゃあさ、みんなで社まで行かないか?お酒届けついでにさ。蓮見さんもいるだろうし、祭りの準備もしてるから、色々と見れて面白い…面白いのかも」

 来 な い で

(や め て く れ)

 そ こ は 俺 の 目 的 地 だ

(やめろォ!!来るんじゃない!!)

 勘弁してくつぁさい!!!!!!!!!!!!!!!

(あの人他に客がいたら意地でも霊石についてゲロんねぇから!!やめろォ!!)

 俺の仕事の邪魔はしないでくれ。チクショー、いいよなぁおまえらはよぉ~~こっちは命がかかってるってぇのによぉ~~。

 このままじゃやばい。俺は返した踵をくるりと戻し、澄まし顔で提案を。

「だったら、先に予習した方がいいんじゃない?

 確か、島に図書館あったよね。そこで郷土史なりなんなり調べてからのほうが、質問も絞りやすくていいと思うよ」

 だが一同は首を振る。畜生、俺が死んでもいいのか。

「社見てみたいね。図書館もだけど」

「図書館行かないで、直接蓮見さんに聞いたほうが早いかもしれないぞ、今日はお祭りだから図書館も早めに閉まるし…」

「そうだね~。そういえば17時までだっけ?図書館やらが開いているのって」

「よければ観光も兼ねて配達にご一緒したいな」

「ああ、そうなんだ。今日はお祭りだから、17時で主要施設が閉まる!みなさんも気をつけて」

「なるほど、情報ありがとうございます」

「といっても案内をしてくれるのは徹クンなんだよね!ね、徹クン!」

 あぁ…畜生、しょうがねえ。

(こいつらが帰ったあと、だな)

 帰り道、こっそり抜けて、俺だけ社に取って返せばいいんだ。

(よし…それなら道中、徹から情報収集する方針で行くか…)

 蓮はおずおずと口を挟む。

「ああ…徹さんが案内してくれるなら僕は後で社で合流しますよ、皆さんの今日お泊りの部屋の準備もあるので少し用をこなしてから社に向かいますね」

 雲野は静かに徹に尋ねる。

「そうそう、島祭りって具体的に何をするんだい?」

「具体的に~?そうだなぁ、とりあえず歩きながら喋ろうか」

「わあ、聞きたい 聞きたい!」

「ええ、是非」

 先導した徹。俺はぴょんぴょんとその周りで跳ねる。雲野とヨダカも後に続いた。

 夏の陽が、林道を照らす。

 社への道を照らす。

ちなみに風景描写や情報などはなるべくKPが書いてくれたのを落とし込んであります。SKPの高木さん、KPの雪さん、本当にお疲れ様です


賀鳥、本当にノリノリですね。PLとしてはなるべく協調路線に持ってきたけど、相手の出方がわからないうちは疑心暗鬼PVPしてます。こっちがウェルカムしても相手が殺る気満々ならこっちが死んじゃいますからね!

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