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再度の旅立ち

 店の連中にまた旅に出る事を使えると、見送りに出てくれた。

 ロッコ行きは、そもそと行程の大半を国内東部とグロニスクを繋ぐ主要な街道が占めており、尚且つ、エルネスツの手配があり、水場や宿などに困らず、快適だったので、旅を簡単なものだと勘違いしていた。

 精霊探しの旅では、その考えが間違っていることが分かり、馬が水も飼葉も必要なうえ、意外と手が掛かることを覚えた。

 かなり長期の移動となることを考えると、逆に徒歩の方が動きやすいと思われるため、今回は徒歩で移動する。

 先に自転車を開発すべきだったと後悔した。

 登山用のバックパックが恋しくなり、今回の旅行のためにバックパック風の荷袋を特注した。

 両手が空くのが嬉しい。

 金は困らない程には稼げているので、必要な物は現地で調達するように考えているが、それでもそれなりの荷物になった。

 とうとう銃が完成したので、装備を一新し、長剣とマン・ゴーシュは置いておき、それ以外のダガー、カランビットとスローイングナイフはいつもどおりにした。


 遠くから馬が駆けて来る。

 しかも、手を振り、何か叫びながら近づいてくる。

「兄貴ぃ。兄貴ぃ。俺も連れてってくださぁい。」

 無視して歩き出そうとすると、泣きそうな声を出すので、待ってやる。

「もしかして、ミッシェから聞いたのか。」

「そうです。一人で魔境に向かうっていうんで、心配になって。ミッシェの旦那に付いて行けるようにお願いしたんです。」

「馬鹿っ。」

 エルネスツ以外の皆が一様に不安な顔をする。

 心配をかけないよう、行き先を偽っていたのだ。

 そもそも、危険度も全く分からない旅になるので、今回は同行を依頼していなかったのだ。

 ミッシェなりに気を遣ってくれたのだろう。

 ケイトに予備の外套を出して来てもらうようにいう。

 日本人だからか、多少、山をかじったせいか、防水機能が恋しく、外套に蜜蝋を染ませた物を用意した。

 カルルに渡したのは、失敗して、ダマがあちこちに浮いている物だが。

「水を弾く外套だ。持っていけ。」

「へぇ。」

 雨は体力を奪われるので、長期間の旅では、必須だと思っていたが、こちらでは、余り気にしない傾向にあるようで、気の無い返事が返ってきた。

 自分用の物は、荷袋も靴も蜜蝋を塗りたくっている。

 カルルの準備をよく見ると荷物は持っているものの、鎖帷子に剣を帯び、銃を担いでいる自分が言うのも何だが、重そうだ。


 どんどん、南方に歩を進め国境も近い。

 トリヴォニアの南方はグロニスク領リトヴィンになる。

 ヴィリニュスに属する領土だったが、グロニスクに割譲されたところだ。

 今回はグロニスク本国領も通過することから、森を抜けるルートをカルルが提案する。

 俺も野宿を苦としないので、即了承する。

 カルルは森に明るく、様々な術を教えられてばかりである。

 彼の知識と銃の携帯により、食料に困る事が無かった。

 丁度、ベリーの収穫時期であるもの大きかった。

 色々と食える野草や茸を教えてもらったが、種類が多すぎて、記憶に無いものが沢山あった。

 感心するほど、豊かな森だった。

 こちらに来た時は森の中で野垂れ死ぬと思ったが、知識があればなんと豊かなのだろう。

 ビーバーがいるとは思ってもいなくて驚いたが、食べた。

 因みに、処女協会では春先に肉を食べない行事があるらしく、魚だと言ってビーバーを食べる者もいるらしい。

 兎を羽で数えるのと同じだと思うと、少し日本を思い出した。

 森だと更に移動速度が落ちるので、想定より、日延べしているが、急ぐ旅でもないので、着実に歩を進めていく。

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