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人狼当てゲームのシナリオです  作者: 古月 ミチヤ
後半スタート(メインストーリー)
63/70

裏切者

 4日目の朝。

 残っているのは、俺、太陽さん、青葉さん親子、清水さん、若草、緑川の7人。


 自称霊媒師の清水さんが、桜さんが黒だった事を確かめてくれたので、残っている狼はあと1匹だ。

 しかし、背徳者が道連れになっていないので、妖狐はまだ残っている可能性がある。


 ゲームの展開を操作されないように、大神陣営のプレイヤーを排除していく方向で考えると、俺が追放しておきたいのは青葉さん(父)だ。

 睦海むつみさんの親族である彼には、ホストを恨んでいた可能性があるので、このツアーの主催者と手を組んでいる疑いが強い。


 とはいえ、ゲームの勝敗を操るために、大神さんが仲間たちに配られた職業カードを入れ替えたとしたら、切り札になりそうなカードを誰に回しただろうか?


 このメンバーの中で最も追放しずらい人物は……空君のような気がする。

 まだ子どもだから明確な理由がなければ責めづらいし、あの子を追放すると、青葉さんが暴れ出すイメージがあるので、言い出しずらいのだ。


 でも、よくよく考えてみると、犬屋敷人狼の時、シャンデリアの下で青葉さんに襲われたのは、俺と緑川だけだった。

 空君を攻撃すると、あの人が変貌する事を知っているのは2人だけか。

 ココは自分で調べてみるしかない。


「空君は、何か役職があるのかな?」


「ないよ!」


 反応が早い。

 おまけに迷いが無い。

 まるでそう答えると決めていたかのように……。


 昨日、バスガイドのお姉さんが尋ねた時には、間髪を入れずに『あるよ』と答えていたから、これは……本当に役職がないのか?

 それとも、そう答えるようにお父さんに言われているのだろうか?


 青葉さんも、自分と子どもの2枚のカードを自由に動かせるプレイヤーだから怖いんだよな。

 元々コンビで参加している若草と緑川が同じ陣営でタッグを組んでいたら、彼らも鉄壁のような気がするし……。


「なんで空君?」


 緑川が不思議そうに首をかしげている。


「いや、ココはもう確認しておいた方がいいかなと思って」


「何を?」


「いや。それはほら。口には出来ないけど……」


「そういうポチは何の職業なの?」


「俺は村人」


「俺も村人」


 太陽さんが被せてくる。


「僕も村人っ!」


 空君はとっても楽しそうだ。


「パパも村人だぞ」


 青葉さんも口にしたが、緑川まで村人だと答えると、自称占い師の若草が矛盾を指摘した。


「あのですねぇ、村人のカードは4枚しかありませんから、5人もいるはずありませんよ。この中に嘘をついている人物がいるはずです」


「それは偽占い師の若草君だろう」


 太陽さんが反撃すると、空君が追撃する。


「ニセモノ! ニセモノ!」


 強烈な反撃を受けた若草は、口車で空君を丸め込もうとした。


「空君。よく聞いて下さい。君が本当に村人なら、僕を追放してはいけません。ゲームに負けてしまいますからね。こういう場合は……ポチさんを追放した方がいいと思います」


「なんで俺!?」


「はい。黒みつけました。ポチさんが狼です」


 若草は俺に黒出ししてくる。

 完全にニセモノじゃないか!


「全然違うよ。俺は絶対、村人だから!! 若草は偽占い師確定。でもって、清水さんが本物の霊媒師。ってことは……太陽さん辺りが人外かな」


 大学生の太陽さんもワタル候補なので、大神陣営の可能性が高い。


「おいおい。コッチに振るなよ、俺じゃないから……きっと緑川だ」


「何? このたらい回し。それじゃ青葉さん」


「いやいや、私じゃないぞ。とにかく、皆さんも知っての通り、私とポチ君は負けるわけにはいかない状況ですから、なんとか村人陣営を勝たせていただけませんか」


 青葉さんは今にも泣きそうな顔で頭を下げた。

 灰野さんが騎士なら、村人陣営が負けると、俺と青葉さんと灰野さんの3人が同時に負けて、大神さんの思う壺になってしまう。


「俺も絶対、村人なんだよ。354万がかかっているんだから、嘘なんてつくはずないだろう。信じてくれって」


「ポチは随分、汚い言い訳をするんだね」


 緑川は冷めた目で俺の顔を見る。

 彼はまだ、俺をワタル候補だと疑っているのだろうか?


 大金がかかっている俺にとっては、ただの遊びでは済まない。

 必死になって何が悪い。


「とにかく、追放するなら空君か、太陽さんか、緑川にしてくれ」


「いいねぇ。緑川追放に手を貸すから、俺を人外候補から外してくれよ」


 太陽さんが俺の意見に乗ってきた。

 逆に怪しい。


 でも、偽占い師の若草は狼陣営なので、彼の友人である緑川を妄信するのは危険すぎる。

 元々ポーカーフェイスな奴だから、サラッと嘘を口にしそうだし……。


「一応、若草君も追放しておかないとマズイんじゃないですか?」


 青葉さんは狼のなりすましを警戒しているみたいだが、無駄に追放したくないので、意見がまとまらないまま制限時間が過ぎてしまった。


「それじゃあ、一斉に投票相手を指差してニャ~」


 俺と太陽さんが選んだのは緑川。

 若草と緑川が俺を指差して……青葉さんと、空君と、清水さんが若草を指差した。


 これで偽占い師が追放されることになったが、ゲームが終わらないので、若草は人狼ではなかったようだ。


 夜のターンに襲撃されたのは……?

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