表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人狼当てゲームのシナリオです  作者: 古月 ミチヤ
人狼ツアー(メインストーリー)
4/70

主催者登場

 細かいルールを確認していると、バスの運転手が参加者たちの前に出た。


「はじめまして。私がこの屋敷の主である大神おおかみ黒子くろこです」


 主催者の正体は、読み通り、バスの運転手だったようだ。

 彼は、自分の正体だけは明かさないまま、参加者たちの会話や反応をチェックしていたのだろう。

 常にうすら笑いを浮かべているような不気味な男なので、人間観察が好きな人狼プレイヤーに違いない。なんとなく、そんな気がした。


「ところで、犬屋敷人狼っていうのは何なんですか?」


 俺が尋ねてみると、大神さんが嬉しそうに口を開く。


「わざわざ携帯も通じない山奥まで来て頂いたのに、普通の人狼をプレイするだけでは物足りないと思いまして、皆さんには特別なルールとリスクをご用意しました」


「リスクがあるなんて聞いていないんですけど」


「ええ。言っていませんからねぇ。平和な村で暮らしていた人々が、突如、姿の見えない殺人鬼に襲われるのが人狼ゲームだと認識しております。ですから……それなりの恐怖やサプライズがあってもおかしくないと思いますが」


「そんなものはいらねぇから、早くゲームを始めろよ」


 バスのストレスですっかり苛立いらだっている強面こわもてのオジサンが俺の想いを代弁してくれると、バスの運転手が大げさに肩をすくめながら特殊ルールの説明を始めた。


「皆様の荷物はコチラで部屋に運び入れますので、個室の準備が整うまでの30分間、『屋敷内の談話室』か『庭』のどちらかを選び、自由にお過ごし下さい。もちろん人狼を見つけるための追放会議を行っても構いませんが、今から5分後のゲーム開始と同時に談話室の扉と窓が自動的に閉まり、鍵がかかりますから、はさまれないように気をつけて下さいね。追放者の投票は30分後に行います」


「つまり、それまでに追放したい人物を決めておけってことですよね?」


「そうなりますねぇ。ご存知の通り、勝利陣営に属していた方の参加費は全額お返しします。それから、豪華なディナーと朝食もご用意させていただきますよ。ただし……負けた場合は、宿泊する部屋のランクが低くなり、ゲームに勝つまで屋敷からは出られません」


「出られないっていうのは、どういう意味ですか?」


 俺が聞き返すと、周りの参加者たちも怪訝けげんな表情で耳をすました。


「安心して下さい。次のゲームが始まれば、それに参加出来ますし、勝利すれば参加費は全額お返ししますから」


「それじゃあ、何回負けても……命を取られる……なんて事にはなりませんよね?」


 念のために確かめてみると、あっさり笑い飛ばされた。


「もちろんですとも。実際に人を襲うような事をすれば、私もタダでは済みませんからねぇ。この屋敷では1ヶ月くらい前から何度もオフ会を行っておりますが、1人の犠牲者も出たことがありません」


 ニヤリと笑みを浮かべる大神さんの話では、負けた場合は次の日に行われるゲームにも参加しなければならないが、ペナルティーの罰金さえ払えばリタイアも出来るので、そんなに心配はいらないという。


 あくまで人狼はゲームにすぎないし、連休は4日間もあるので、毎日参加すれば誰でも勝利陣営に入れるらしい。

 よほどのトラブルでもない限り……。


「そうですか。分かりました」


 結局は参加費も返してもらえるみたいだし、どうやら金持ちの道楽に付き合えばいいみたいなので、思いっきりゲームを楽しむのも悪くないだろう。


 ただ、最初から感じていたみょうな違和感だけはぬぐえない。

 この、なんともいえない不安は何なんだ!?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ