1日目
『ターン1』
探偵「魚村の皆さん、よろしくお願いします。まずは、役職がある方に名乗り出ていただきたいのですが……」
さっそく探偵が調査を開始しましたが、魚たちは全員村人だと言い張っています。
探偵「なるほど。これは確かに難しいですね……。ですが、よく考えてみて下さい。自分の身を守ることを最優先に考えていると、村全体で狼たちをかくまっているようなものですよ」
アジ「だからって、騎士がいない事が分かっているんだから、名乗り出るはずがないだろう」
探偵「では、こうしましょうか。役職名を言う必要はありませんので、私が合図をしたら、何かしらの役職についている方は1歩前に。ただの村人の方は、1歩後ろに下がって下さい。これは、追放を免れるためのチャンスゲームです」
魚たちは、意味が分からず首をかしげている。
探偵「先に忠告しておきますが、後から位置を変更する事は出来ません。また、移動しなかった場合は、ゲームに参加する意思が無いとみなし、騎士さんに水槽の中から投げ出してもらいます」
イカ「そんな事をしたら、俺たちが死んじまうじゃないか!」
探偵「まぁ誰も動かないと、推理もヘッタクレもありませんからね。投げ出すのは、動かなかった場合のみですが……人狼というのは、安全な所に隠れ続けるカクレンボではないはずです。それに、全てのプレイヤーが私に疑われているのですから、村人を語るのが1番危険だと思いますよ。追放されそうになっても言いわけ出来ないし、狼には狙われるし」
カレイ「それで脅しをかけているつもりか?」
探偵「これは私1人のゲームではありません。プレイヤーは皆さんです。魚村を勝たせたいなら、私が誤った推理をしないように導かねばなりません。私は皆さんを信じるしかありませんので、慎重に行動して下さいね。特に、本物の占い師と霊媒師の方は、必ず前に出てきてください」
ヒラメ「……」
探偵「その他の役職の方は、ドチラを選ぶのも自由ですが……後ろに下がった村人の数が少なければ、隠れ蓑にはなりませんし、前に出た役職者が少なければ少ない程、名乗り出た魚は、私の信頼を得ることが出来るのです。困ったことに、それが狼だったとしても……。では、今すぐ移動して下さい」
探偵が合図をすると、魚たちが一斉に動き出しました。
『前列(役職持ち)』
タコ・エビ・アジ・マグロ・シャケ・クラゲ
『後列(自称村人)』
トビウオ・カレイ・イカ・ヒラメ
探偵「これで2手に別れましたね。ご協力ありがとうございます。……本来、村人役は3匹しかいないはずなんですが、後列には4匹の魚がいます。これがどういう事がお分かりでしょうか?」
クラゲ「役職があるのに、村人のフリをしている魚がいるってことですよね」
マグロ「だからって、そいつが何の役職かは分からないだろう」
探偵「では、共有者トラップを発動します。後列に共有者さんがいる場合は、名乗り出て下さい」
魚たちは誰も名乗り出ませんでした。
探偵「もちろん、本物が残っている状態でニセモノが名乗り出ればバレてしまいますから、後ろにいるのは狼か狂人でしょう」
トビウオ「そうとは言いきれないんじゃないか? もしかしたら、本物の占い師がいるかもしれないし」
探偵「その場合は、詰み(ゲームオーバー)ですね。『必ず前に出て下さい』という約束を破った魚は、私を殺した真の裏切者となるでしょう」
一同「⁉」
エビ「なんだか、いつもと違って、やたらスリリングな雰囲気だな」
探偵「もし誤って後ろに移動してしまったのなら、大きな罪を犯す前に告白して下さい」
探偵はしばらく待ちましたが、魚たちは、誰も口を開きませんでした。
探偵「後列に紛れているのが狂人であれば、適当に占い師のフリをして前に移動する事も出来たでしょうが、怪しまれて追放されることを恐れているなら……潜んでいるのは、狼かもしれません」
タコ「そ、それじゃあ、どうやって村人の中から見つけだすんだ?」
探偵「私に答えられるのは……4分の1の確立で追放できる、という事だけですね」
シャケ「ずいぶん、大雑把だなぁ」
探偵「こればっかりは考えても分かりませんから。それでは皆さん、お祈り下さい。『か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り』というわけで、今日はトビウオさんを追放します」
トビウオ「はぁっ⁉ なんで俺なんだよ。そんなやり方、適当すぎるだろう」
探偵「トビウオさん。お疲れさまでした。ちなみに、占い師の方は、前列の中から占って下さいね」
トビウオ「おいコラ。話すら聞いてくれないのかよ」
探偵「聞いたところで、アナタを追放する事に変わりありませんから。それに……村人なんですよね?」
トビウオ「ま、まぁな」
村からトビウオが追放されました。
『夜のターン』
狼役が、弱っている魚を1匹、ゲームから排除しました。
???「……はぅ」




