1日目
ある晩、果実村に2匹の狼が紛れ込みましたが、たまたま村長の家にいた2人の村人たち(共有者)だけは、絶対に狼ではないことが分かっています。
村長「いいか、お前たち。村人になりすましている狼たちを見つけ出し、この村から追い払ってくれ。頼りになるのは、お前たちだけだ。行け。そして果実村の英雄になってくれ」
???「はい。分かりました」
???「頑張ります」
村長は村人たちを集めると、追放会議を始めました。
『ターン1』
バナナ「最初から村人だと分かっている共有者がいるなら、その人たちに出てきてもらうべきなのかなぁ」
キウイ「いや。まずは普通に話し合いをして、それでもダメなら奥の手として使うべきじゃないか? うまくいけば、本物の占い師や、狼を特定できるかもしれないし」
ピーチ「……」
マンゴー「最初の追放者は、いわゆるグレーの果実からランダムに追放するべきじゃない?」
グレープ「でも、今は全員、白か黒か分からない灰色の状態ですよね」
ストロベリー「ウププw 共有者が出てこなければね。そういえば確定白の共有者は、狼にとっては格好の『お弁当』らしいわよ~」
メロン「名乗り出れば、確実に襲われるって事ですか⁉」
スイカ「なんて恐ろしい職業なんだ。そういえば、さっきバナナが共有者に興味を示していたが、もしや狼なのか?」
アップル「さぁ。どうなんでしょう。……ところで、もし呼びかけても共有者さんが出てこなかったら、どうなるんです?」
ブルーベリー「適当に、誰かを追放するだけだろう」
チェリー「まぁ、かなり後になってから現れても、本物かどうか分からないから……名乗り出る気があるなら、早い方がいいんじゃないかしら?」
オレンジ「万が一、狼たちのなりすましが成功すると、村はほぼ助からないし、もし3人以上の共有者が現れたら、全員追放しちゃおうか」
『ターン2』
バナナ「なんだか共有者が名乗り出るには、かなりリスクが高そうだけど……ランダムに追放しちゃうと、重要な役職を失ってしまうかもしれないし」
キウイ「村を救うためだ。頼む。共有者たち、名乗り出てくれ!」
ピーチ「……」
マンゴー「う~ん。キウイさんの発言は、どっちに取るべきなのかな? 村人側? それとも狼サイド?」
グレープ「僕たち紫の粒々団は、共有者ではありません」
ストロベリー「プッ。クスクス。ブドウさんは、全ての粒に意思がある超多重人格なんですよね~w」
メロン「共有者同士はお互いの事を知っていますから、1人が隠していても、もう1人が名乗り出てしまうかもしれません。ならばいっそ、派手に登場して差し上げましょう。パンパカパ~ン! 果実の王様……私こそ、マスク・ド・メロン……ではなくて、この村を救うべくして現れた英雄、共有者です。そして栄えある相方は……村1番の豪傑、スイカ王子!!」
スイカ「はっ? 確かに共有者ではあるが、王子ではないし、アッサリ言っちまうのかよ。……オワタ。俺の人生、狼たちにパッカリ割られちまうぜ」
アップル「なんだかお気の毒ですね。でも、彼らが本当に共有者なんでしょうか?」
ブルーベリー「さすがに、この人数で狼同士が名乗り出るのは危険すぎるから、本物だと信じるしかないのでは?」
チェリー「まぁドッチだったとしても……彼らの知性が心配ね」
オレンジ「メロンちゃんは、実も汁も、何もかもが甘すぎますから。あぁ、今、村長が頭を抱えている映像が目に浮かびましたよ」
『ターン3』
バナナ「他には何も手がかりなしですか?」
キウイ「英雄たちが現れてくれたんだから、大きな収穫だろう。彼らに任せておけば安心だ」
ピーチ「……」
マンゴー「ピーチちゃんが、ものすごく心配そうな顔をしてるよ」
グレープ「僕たちは、共有者たちの意見に従います」
ストロベリー「アタシも、面白ければそれでいいよ~w」
メロン「皆様、お静かに願います。え~、私が狼たちを追放した暁には、全てのフルーツに、ケーキとパフェに飾られる機会を与えたいと思いま~す。果実村をもっと明るく、楽しく、美味しい村にしていきましょう!」
スイカ「あのなぁ。それじゃあ選挙演説だろう。メロンはこの村を乗っ取るつもりか⁉ 俺たちの敵は、村長ではなく狼だ! いいか。怪しい動きをした者は、容赦なく追放していくからな。まずは共有者に名乗り出るよう呼びかけたキウイを追放する。もし、この意見に従わぬ者がいれば裏切者とみなし、明日、追放するように」
アップル「ひえぇ。恐怖政治、反対ですぅ」
ブルーベリー「1人がアレだと、もう1人がシッカリするしかないのだろうが……決めつけはよくないな。村人には自由に投票する権利があるのだから、それぞれが怪しいと思った相手に投票すべきだ」
チェリー「あぁん。狼に食べられちゃう覚悟で、明日の予定まで発表しているスイカ君が不憫だわ~。だけど残念なのは、彼が儚い『ラ・フランス(洋ナシ)』じゃなくて、体育会系のゴツイ大玉ってところ」
オレンジ「共有者がいる間は、その他の果実は、狼には狙われにくいと思うから、僕たちには楽しむ余裕もあるわけで……。あ~、どうなるのかなぁ。興奮すると、皮の中からオレンジジュースが飛び出しそう」
『投票結果』
バナナは、なんとなくストロベリーに投票しました。
共有者に指名されたキウイは、バナナに投票しました。
ピーチは、マンゴーに投票していましたが、ほとんど喋らない果実なので、理由は分かりません。
グレープは、個人的な不快感からストロベリーに投票しました。
オレンジは、ただの気まぐれでマンゴーに投票していましたが、
「まさか、高級なピーチさんと意見がカブルなんて……」
と興奮し、ブシャッと体液をまき散らしました。
それ以外の果実はキウイに投票していたため、多数決でキウイが追放されることになりました。
キウイ「俺はただの村人だぞ。もしかすると、あの共有者たちに任せてしまったことこそ、最大の失策だったのかもしれん。うぅ、悔やまれる」
『悪魔のターン(⁉)』
フルーツたちのゲームを眺めていた悪魔は、追放された茶色い果実を手に取りましたが……なんだか米俵のような形をしているし、毛が生えていて気持ち悪かったので、口には入れずに魔法を解いて、八百屋の棚に戻しておきました。
『夜のターン』
2匹の狼たちが作戦を練り、襲う相手を決めたようです。
狼「アオーン。アオ~ン」
???「ひいぃ。乱暴はやめてくれ。バラバラになっちまうから」
さて、襲われたのは、どの果実だったのでしょう?




