表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ホラー・ミステリ系の短編集

「アナタを考察します」

作者: ハルカゼ
掲載日:2015/12/09

「よく人を考察するんだぞ」

 刑事の父が口癖のようにいつも言っていた。

 しっかり考察しないとその人の本当の姿が見抜けない、と。



 警察官である僕は深夜の街を徘徊していた。

 今いる住宅地からは昼間とは打って変わって静寂に包まれており、不気味な気配が漂っている。

 ため息をついた。今日も異常なし、だな。


 しばらく歩いていると、小さな公園が目に入った。

 一休みでもしよう。僕は端に置かれてたベンチに腰を下ろした。

 ところどころにある外灯が乏しく思える。


 それにしても殺風景だ。

 この公園にはすべり台やブランコといった遊具はなく、キャッチボールをする広さでもない。

 公園、というより空き地というべきだろう。


 ふと後ろから足音が聞こえた。

 背筋に寒気が走った。おそるおそる背後を振り向く。

 一人の女性が立っていた。高校生だろうか。顔は髪で隠れて見えない。


「あの、どうかしましたか」


 おそらく家出だろう。近頃、家族と揉め事になって家を出るのは珍しくない。


「アナタを考察します」


 ハスキーの声で女性の口から漏れた。

 えっ、と僕は言った。


「アナタを考察します」

「どういう意味ですか」


 考察されても困る。しかも、父がよく使ってた言葉だ。

 むしろ、考察するのは僕のほうではないのか。


「アナタを考察します」

「あの、お名前は?」

 しかし、僕の質問には答えずに「アナタを考察します」の一点張りであった。


 僕は腰を上げると、女性と向き合った。身長は僕と同じくらいである。

「学生さんですか。もう深夜の一時を回るので帰宅しましょう」

「アナタを考察します」

 だんだん苛立ってきた。舌打ちをする。

「あの、それだけ言われても困ります」

 口調は怒りで強くなる。


 女性は一歩、近づいてきた。


「アナタを考察します」

「いい加減にしてください」

「アナタを考察します」

 さらに彼女は一歩、もう手を伸ばせば届くほどの距離になっていた。

「だから、僕を考察するのは構いませんが質問には答えてください」

 女性は小さく笑い、僕の首に両手を伸ばしてくる。



「アナタを絞殺します」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ヤバッ……!! 最後のところでゾクッと来ました。
2015/12/09 19:36 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ