むかしむかしの和風乙ゲー
「あー・・・さいなら!!」
なんとなく自分の知ってる似通った?言葉を吐いて隙を突き腕を潜り抜け脱出を図った。
「あっ」
若干、キレ気味の驚き声が聞こえたが、凛音の逃げ足は早かった。
ネズミの様にチョロチョロと動きあっちにチョロ、こっちにチョロでは捕まえ様もなく葵は項垂れ頭を掻くしかなかった。
しかしその目の中はギラギラと獲物を狙う鷹の様に逃げた先を見つめていた。
「はっ、面白いじゃねーか」
「あっぶなー!!」
ゼーハーゼーハーと先ほどから肩で息をするのは凛音。
「あら?お嬢ちゃん大丈夫?お水飲むかい??」
走り過ぎてそろそろ本当に死ぬかもと休憩中その助け船の様な声は優しかった。
「あ、ありが・・・」たくねぇぇえ!
「悪漢にでも襲われたのかい?可哀想に蒼白な顔して、歩けるかい?」
優しい言葉に反する様に凛音は心の中で「とんでもねぇ泥舟来たぁぁぁあ」と叫んでしまっていた。
親切なお姉さんにしてはやけに低音ボイス。
目の前には鮮やかで艶やかなオレンジ色の長髪。
下に向けた顔を上げるのを躊躇うほどのナイスタイミング。
自分の心の声が漏れなかっただけ褒めてやりたいと思うとこである。
「・・・っ悪漢ならまだ良かったっすね」
「??」
謎の言葉を吐いてしまった凛音にお姉さんはきっとその美しい顔を困ったちゃんにしているのだろう。
見られない事を悔いながら現実を見たくない矛盾と戦いながら次はどー切り抜けようか模索した。
さっきのも大概切り抜けた訳ではないのだが・・・
「・・・訳あり、か?おいらと一緒だな」
少し砕けた話し方に顔を上げてしまう。
太陽の様な爽やかな笑顔が不意打ちで飛び込んで来た。
「あー、初期の笑顔だ。無理して笑わなくて良いっすよ」