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Time Trip to Another World ~東雲~  作者: 蒼穹の使者
第一章 一さんに会いたい・・・
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第3話 外出

翌日は土曜日で兄たちの仕事は休み

でも、歳三兄さんは私の入院のせいで仕事が溜まっていた


「すまんが会社に行ってくる。溜まったメールの確認をしなきゃならねえんだ」

「大丈夫です、行ってきて下さい」

「ああ、もう少ししたら左之助たちが来るから待ってろ。この辺知らねえだろ?いろいろ連れて行ってもらえ」

「はいっ」

「行ってくる。やっぱりおまえは笑顔がいいな」


私の頭をポンと撫で、歳三兄さんは仕事に行った

そう言えば、ここの住所知らない!

一通りの荷物はあるみたいだけど、携帯がない

もしあったら自分の行動範囲が予想できたのにな


私は荷物の整理をしながら左之兄たちが来るのを待った


ピーンポーン♪


モニターを覗くと二人が手を振っていた

ふふ、相変わらずで安心する

解錠して数分、玄関のドアを開けた


「待ったか?」

「いえ、そんなに」

「おはよ、朝ごはん食べた?」

「うん」


左之兄が近くの駐車場に車を停めてあるらしく

そこまで散歩を兼ねて歩いていった

コンビニ、ドラッグストア、スーパー、パン屋さん

公園に小学校もあった


「この辺、結構便利なんだよ」

「ああ、徒歩圏内に一通りの店が揃ってるからな」

「そうですね、取り敢えずは主婦っぽく過ごせるかな」

「ははっ、そうだね。あの人仕事の鬼だからご飯食べ忘れたりするんだよね、宜しくね」


そんな話をしながら駐車場に着いた

左之兄の運転でのドライブが始まった


左之兄が車を運転している

槍じゃなくてハンドルを持っているなんて凄く違和感ある

そう言えば私のお財布に自分の運転免許証があった

健康保険証や銀行のキャッシュカードも

私は何をしていたのだろう


「どうした?一人で考え込むなよ」

「え?あ、なんか変な感じがしてて」

「どんな感じ?」

「私は自分の事なーんにも知らないなぁって思って。お財布の中身とか見たら運転出来るっぽいし、健康保険証持ってるから働いていたのかなぁとか。それに兄さん達の仕事とか住んでる場所とか・・・」


左之兄と総司は顔を見合わせて驚いていた

そうだよね、まさかって思うよね


「あー、ごめんなさい。頑張って思い出しますから」

「瑠璃、焦る必要はねえから。分からないことは何でも教えてやる、大丈夫だ。俺達が居るだろ?」

「はいっ」


兄たちの仕事は運送、建築、旅行などを取り扱う大手企業だった

歳三兄さんは副社長兼運送部門の営業部長だとか

左之兄と総司は運送部門と旅行部を兼務しているらしい

私もそこで働く予定なんだよね すごいな


「二人とも忙しいのに、なんかすみません」

「何言ってるんだ、週末は休みだぞ気にするな」

「そうそう、それに忙しいのは歳三さんだけだから」

「そうですか」


彼女とか居ないのかな?居たら申し訳ない

それよりっ、歳三兄さん!私と住んで大丈夫なの?


「歳三兄さん、彼女とか居ないんですかっ!私と住んでたら相手の人に申し訳ないんですけど」


そう言うと二人は笑っていた


「本人に聞いたらいいよ。ま、そんな人が居たら僕も会ってみたいけどなぁ。ねえ瑠璃、探っておいてよ」

「え・・・、それはちょっと」


兄弟の恋愛事情は出来ればあまり知りたくないな


「俺達、シスコンだからな彼女探すの大変なんだ」


左之兄の意味不明な言葉は頭に入って来なかった

総司はそうそうなんて笑っていた

そうこうすると携帯電話のショップに着いた


「瑠璃、先ずはスマホ買うぞ」

「え、誰のをですか?」

「瑠璃のに決まってるでしょ」


確かに携帯は荷物に無かった気がする

私はどんな生活をしていたんだっ


「でも、働いてないから痛い出費なんですよね」

「心配いらないよ?これ経費で落とすから」

「え!駄目でしょ!」

「兄貴からそう言われてる。それに瑠璃も社員になるんだ、うちは全員会社からの支給だぞ」

「ええっ!!」


そんな気前のいい会社があるのか

相当儲かっているんだろうな 

歳三兄さんのマンションも高級マンションだったし


無事に契約した

でも・・・兄さんたちと病院以外の連絡先がない

私、友達いないのかな?

なんだろう、とても気分がヘコむ


「何落ち込んでるんだ?」

「え、べ、別に・・・」

「大丈夫だよ。そのうち嫌でも増えるから」

「総司っ」


やっぱり総司は鋭い、でも双子じゃないんだよね

左之兄が優しく笑い私の頭をポンポンとした

懐かしいな こういう事沢山あったなぁ

でも私の記憶は全てあの幕末に依存するもの

また、胸の奥がズクンと疼いた



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