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BLUE EYE―碧き眼―  作者: 斬谷恭平
第一章【蒼の章】
17/39

1-17 捻じれる日々

 弍昃(にしき)さんを悪魔のような形相だった弎塑稀(みそぎ)さんに預けて医務室から出る。

(あずさ)…。弎塑稀さんってあんな怖い表情が作れるんだな…。」

「私も初めて見ました…。弎塑稀さんってあんな人だったんですね…。もうビックリし過ぎてさっきから膝が爆笑しているんじゃないかという位震えてますよ。」

「奇遇だな。俺もだよ…。」

 俺と梓は顔面蒼白、膝は爆笑状態のまま廊下を歩きながら部屋に戻る。

人って悪魔になれるんだな―

 そんな常識のような気がしなくでもないことを今日直感的に学ぶことになった。あの弎塑稀さんがあのような顔になることができるとは…。もしかしたら三兄妹の中で一番強いのは弎塑稀さんなのかもしれない。

 部屋に到着して気を取り直す。

「さて、一旦昼にするか。」

「そうですね。では昼食を持ってくるので待ってて下さい。」

 そう言って梓は昼食を取りに部屋を出て行った。

 今日はまだ後十二時間ある。本当はこのまま分家の人達との顔合わせをしていきたいところだけれども、一辺に会っても名前を覚えられなさそうだし今日は後一人二人位と会えたら外に出ようかな。折角の平日を休日として過ごすことができるんだ。

 過ごし方に関しては、この前の俺だったら部屋で寝るかの一択しかなかった。しかし此処数日は何やかんやでかなり寝て過ごす時間が多かったのだ。昨日も十時間位は眠っていたはず。

 そこで俺らしくもなく外出することを考えていた。駅前辺りに行って色々散策してみるのも良いかもしれない。ただ問題なのは式神家の分家とやらに狙われないかどうかだ。式神のやつが動けなくてもこの前の狐のお面みたいな二人が襲ってくるに違いない。それだけがどうしても心配だ。

 でも弍昃さんの話によれば式神に止めを刺すには今が絶好の機会らしい。となるとだ、こちらからあいつの根城を発見して奇襲することもできなくはない。今まではあちらからの攻撃ばっかりだったけれども、今度は俺らが仕掛ける番だ。

 問題は俺が戦えないことだろうな…。いい加減俺にも何か武器が欲しいところだ。

ん、そう言えば―

 此処で数日前の事を思い出す。朱鳥と式神探しをしている時にあいつから駅の中でナイフを投げつけられた。その時のナイフはポケットに入っていたはずなのだが…。

 ズボンのポケットを探ってナイフを取り出す。改めてみると本当に小柄なナイフである。これで果たして戦えるのだろうか…。しかもよくよく見ると、(やいば)が付いていない。これではものを切りつけることはできなさそうだ。

 寧ろ刃がちゃんと付いていなかったからこそ、ズボンのポケットを破らずに済んだのかもしれない。

梓に後で聞いてみるかな―

 ナイフをポケットにしまったと同時に、扉が開く音がして梓が昼食を持ってきた。

「翔也さんお待たせしましたー。今日は洋食のハンバーグですよ!」

 心なしか梓は嬉しそうな表情をしていた。ハンバーグが好きなのだろうか。

「私こういう料理好きなんですよ。特にハンバーグはもう、大好きで大好きで!」

 頬をほころばせながら涎を垂らしそうになっている。

 机の上に持ってきたものをさっさと並べると、直ぐに座ってナイフとフォークを持つ。

「ささ、早く食べましょう!」

 俺も梓の反対側に座って一緒にハンバーグを食べは始めた。

 暫く黙々と食べつづける梓。無我夢中で会話をする隙がない。数分後梓は手に持っていたナイフとフォークを机の上に置く。どうやら食べ終わったようだ。

「あれ、翔也さんまだ食べ終わっていないんですか?良ければお手伝いしますよ!」

 再び机の上に置いたフォークを構え直して目を光らせる。好きなものに関してはこの子、際限がないようだ。

「駄目だよ。俺だって食べるっつーの。」

「えー、人の親切はありがたく受けるのが重要ですよ。」

「これは親切じゃないだろうよ。」

「あう…。」

 口をすぼませながら座り直す。それでもなお視線は俺のハンバーグへと向けられている。非常に食べにくい…。

「ところで梓、今日は後二、三人分家の人と会ったら出かけようと思うんだけど。」

「そのこと何ですが。さっき昼食を取りに行った時に来たのですが現在、翔也さんの知らない分家の方は全員任務に出かけているようです。」

「全員?」

 式神絡みで何かあったのだろうか。まさか全面戦争でもする気なのだろうか…。

「全員じゃないですが何名かはヨーロッパに行っているそうですよ。」

「ヨーロッパ?」

 はて、何でヨーロッパという見当違いな場所に行っているのだろうか。

「ヨーロッパで何かあったけ?」

「あれ、知らなかったんですか?日本ではピタリと最近やみましたが、ヨーロッパではまだ眼がくり抜かれ、四肢が切断されている謎の連続殺人事件は続いているんですよ。」

 そう言えばそんな事件があったな。最近自分の周りで起きる殺し合いばかりに注目していたからすっかりわすれていた。どうやらまだ続いているようだ。

 武神家の分家の人達が向かったという事は、あの事件も神眼絡みの事件なのか。

「あの事件はかなり残酷ですよね。罪もない人たちを場所、時間関係なく殺しているんですから…。」

「その事件と比較すると式神の奴なんか小さく感じるな。」

「比較対象にはなりませんよ。ヨーロッパで起きている事件と式神家の起こしている事件は次元が違い過ぎます。一様ヨーロッパにも武神家のような神眼の家系が存在するんです。ところが先日、その家系諸共壊滅したそうです…。」

「確かに次元が違うな…。」

 式神が武神家を壊滅させるようなものか。

 ヨーロッパで暴れ回っている殺人鬼は異常なくらい強いみたいだ。

「ヨーロッパ中神眼家系が今危険に晒されているんです。そこで赭攣(しづる)さまが分家の何名かをヨーロッパに派遣したんですよ。」

「それで、今分家の人はいないのか。」

「はい。因みに此処に残ったのは私含めて四人みたいです。」

「四人って事はあと一人、俺が会っていない人いるんじゃないか?」

 俺が知っていて合っているのは、梓の神成家(かんなりけ)(かざり)さんの仁居神家(にいがみ)、夢弓ちゃんの獅護神家(しのごせけ)。それで会っていないのは神威家(かむいけ)の人と神琥家(かんくけ)の人だ。

 神威家は確か一番強いらしいから、神琥家の人が誰か残っているのかな。

「えーと残っているのは、神威家の人みたいです。」

「そうなのか?てっきり一番強いからヨーロッパ行っているのかと思った。」

「神威家の人は確かにヨーロッパに向かっています。只此処の本家にいるのは家系の中でも上位の強さを持つ人何ですよ。だから力が一番強い他の家の方々はヨーロッパに向かいました。でも神威家の方に関しては皆さん強いので、本家にいる方はヨーロッパに行かなかったみたいです。」

 本家にいる人は皆その家系の中でも強い人なのか。

 それで神威家の人に関しては、皆強いからその中でも一番強い人は本家に残っていても問題はないのか。それだけ強いのならば一回は会っておきたい。

「梓、その神威家の人と合う事は出来ないのか?一回会ってみたいんだけど。」

「それは無理なんです。私も会ったことないですし…。」

 そう言えば錺さんも会ったことがないと言っていたな。神威家の存在は本当に秘匿の状態にされているようだ。

「神威家って存在しているかやっぱりよくわからないんですよね…。同じ屋根の下に住んでいるはずなのに、知らないっていうのは何か不気味です。」

 梓は二年間武神家にいるのだ。二年間も住んでいるのに、その存在を見たことがないのは不気味だろうな。

「そうそう。このナイフ何だけどさ。」

 俺はさっき取りだしたナイフを再び取り出して、梓に見せる。

「こんな小さいナイフ何だけど、戦闘で使えるかな?」

「ちょっと見せて下さい。」

 梓にナイフを手渡す。それをしばらく色々な角度から眺める。

「これってもしかして…。」

 そして右手に持って力を強く入れた。するとナイフは紫色にひかり、ナイフの刃の部分が大きくなった。刃の部分は紫色になっており、明滅している。

「これ、神器ですよ。何でこんな珍しいものを持っているんですか?」

「神器だったのか。いや、式神からちょっと拝借したんだよ。」

 へー、と感心しながらそのナイフを振り回す。振り回すたびに紫色の光が弧を描いてとても綺麗だ。

「梓、俺もそれ使えるかな。」

 振り回していたナイフを止めて俺の方を見る。

「多分使えますよ。ではどうぞ。」

 梓の手から離れるとナイフはおれが渡した時の状態に戻った。そしてそれを右手に握ってみる。

「どうやったら使えるんだ?」

「単純に力を込めるだけで大丈夫ですよ。こう、ぎゅーっと。」

 ぎゅーと力を込めてみる。

 すると刃の部分が梓のよりも数倍大きくなって表れた。長さは一メートルはありそうだ。蒼い光を放っており、真っ直ぐな日本刀のような感じになった。

 思わず俺と梓は口をあんぐり開けて固まってしまう。

「翔也さんって、潜在能力の力凄いんですね…。その刃の大きさっていうのは、所有者の力の大きさに比例するんです。他の神器も同じで所有者の力が大きければ大きいほど、大きな威力を発揮します。」

俺ってどんな身体なんだよ。―

 自分の体なのに、他人の身体のような感じで実感が全然わかない。

 俺は立ち上がって少しだけ振り回してみる。重さとしてはあの小さなナイフなので、とても軽い。大きさと重さが比例していないので、とても違和感があった。

「翔也さん、それ一様武器ですからあまり振り回さないでくださいよ。多分この机位なら一刀両断できちゃいますから」

 ナイフから力を抜いて刃を消す。

「それじゃやることもないし、ちょっと外出しないか?」

「良いですけど、式神家が心配ですね…。」

「人込みの多い所に行けば大丈夫なんじゃないか?人目のつくところなら流石に暴れられないだろうし。」

「そうですね。では行きましょう!」

 俺と梓は部屋を出て武神家の門へと向かう。

 その薄暗い廊下を歩いている時に、向こう側から黒いスールを着た弌人(いちと)さんが歩いてきた。

「どちらに向かわれるんですか?」

「ちょっと駅前の方まで。」

 溜息をついて呆れる弌人さん。

「何を言っているんですか。あなた方は昨日、式神家分家と思われる人物に攻撃されたんですよ?ちょっとは警戒心を抱いて頂けませんかね?」

「大丈夫です。この神成梓(かんなりあずさ)がしっかりと護衛しますので。」

「昨日できなかったことが、今日直ぐにできるんですか?」

「大丈夫です。俺も戦うので。」

 俺のセリフを聞いて少し言葉を止める弌人(いちと)さん。

 何か考えているようだ。

「ならば…良いでしょう。何かあったら私に連絡を下さい。ではお気を着けて。」

 そう言って一礼すると、俺たちが歩いてきた方向へと消えていった。

 俺と梓は眼を合わせて疑問の表情を浮かべる。

「何かあっさりと引き下がったね…。」

「はい。私もこれは予想外でした。何かあるのでしょうか?あの弌人さまが、こんな危険なことを考えもなしに承諾するとは思えませんし。」

「ま、折角許可してくれたんだし楽しもう。」

「そうですね。無駄な心配をしてもしょうがないですし、行きましょう!」

 元気よく声を出して歩き始める。俺もその後に続いて廊下を進む。

 

 ******


 駅前の商店街まで行くとお昼時だからなのだろうか、沢山の人で賑わっていた。

 大通りを沢山の車が行き交い、歩道にも人が溢れていた。

「おかしいな、何で平日なのにこんな沢山人がいるんだ?」

「今日って祝日でもないんですよね?どうしてでしょうか…。」

 中には高校の中で見たことがあるような顔もあった。何故こんな真昼間から高校生がこんなにいるのだろうか。その中に緑色の髪の葉平(ようへい)がいた。

「お、翔也じゃんか。ん、その女の子は誰?まさか、彼女…!?」

「ちげぇよ。」

 背の低い頭にチョップを入れる。

「この子は俺の護衛をしてくれている、神成梓ちゃん。朱鳥の所分家の子だよ。」

「始めまして、神成梓です。」

 頭を下げて挨拶をする梓。こいうところは丁寧にできるようだ。

「俺は下光葉平です。よろしく!」

「そういえば、葉也はどうしたんだ?」

 双子の兄貴の方が見当たらない。

「あー、兄貴のやつは今トイレ行ってるよ。」

「お兄さんがいるんですか?」

「こいつら双子何だ。ただ兄貴の方は性格がな…。」

 葉平は結構親しみやすい性格なのだが、兄の葉也のほうは結構な真面目なのだ。こうやって学校において怪我人とされている俺が出歩いていると、色々と言われてしまう。

「そうだ。翔也って暫く学校が休みなの、知っていた?」

「そうなのか?」

「昨日お前も見ただろ。あんな状態じゃ授業できるわけないだろう。しかもうちの高校ってここら辺で一番生徒の人数多かったらしいから、他の高校への仮転校も難しいらしいよ。そこら辺がしっかり決まるまで休学だってさ。」

 一昨日の夜に弍昃さんと式神が校舎の屋上を滅茶苦茶にしてしまった。そして昨日の昼に梓と狐のお面の二人が暴れて、更に壊してしまった。現在四階建てだった校舎は三階建てになっているだろう。

「それじゃ葉平も暫く暇なんだな。」

「そうだよ。取り敢えず今日はこうして兄貴と遊びに来たんだ。翔也と梓ちゃんもどう?」

「え、私もですか!?」

 何故か大きい声を上げて驚く梓。

「そうだな。葉也にグダグダ言われると思うけど、序だから遊ぶか。」

 こうして俺、梓、葉平にトイレから帰ってきた葉也と一緒に遊ぶことに決まった。

 予想していた通り葉也には、「お前は梓ちゃんだけ置いて帰れ」とか「怪我人は部屋で寝てろ」とか色々言われたけれど、無視した。

 四人でゲームセンターや、店に入って食事をしたりして楽しんだ。久しぶりに心の底から楽しんで遊ぶ事ができて良い休憩になった。梓はゲームセンターの類いは初めてだったようで、どれもこれも興味津津に遊びに行っていた。俺もそれに乗じて沢山遊ぶ事ができた。

 葉也も真面目な割にはかなりゲームが上手く、シューティングゲームのハイスコアを更新したりと、その腕前を俺達に疲労していった。

 これからもこんな風に遊べると良いのだけれど、そうはいかないことは俺が一番よくわかっている。

 そして、それは直ぐにやってきた。葉平と葉也と別れて武神家へと変える帰り道。

 俺は梓とお踊り沿いの歩道を歩いていた。

「今日は楽しかったですね!ゲームセンターってあんなところだったんですね。知りませんでしたよ。」

 かなり楽しかったのだろうか。未だに楽しそうな顔をしていた。

「そうだな。また遊びに行こう。」

「はい!」

 とても明るい笑顔を見せながら、元気よく返事をした。

 その時、右にあった電柱が大きな音をたてながら“捻じれた”。

「下がって下さい!」

 梓は瞬時に眼付を変えると、倒れてきた電柱に向かって手を合わせた後広げる。

『反重力五倍!』

 ガキンッ、という大きな音を立てて電柱が反対方向へと吹き飛び、すぐそこにあった民家の塀に突き刺さった。電柱に引っ張られるように、電線も大きくしなり音を立てる。

 俺は直ぐにポケットから神器を取り出すと、力を込め発動させる。梓も構えて紫色に変化した眼をしながら周囲を見渡す。

 すると百メートル先だろうか。やけに扇情的な服装をした女の人があらわれた。その目は殺気を秘めており俺らを射抜くような視線だ。何の武器も持たずに直立で立っている。最も、もし神眼所持者ならば最大の武器は眼なのだが。その眼の色は特に変わっていない。

「こんにちは。あなたが生上翔也くんかしら?」

「だったらどうするんだ。」

 何故か怪しく微笑む女。

「そして隣にいる女の子が護衛かしら。」

「私は神成梓!お前は式神家分家の者か!」

 威勢よく声を上げる。

「私は色神妖偽(しきがみようぎ)。如何にも、式神家分家の者よ。今日はあなたとそこの男の子を捕まえに来ました。」

「ならば、戦うまで!」

 そういって梓は両手に紫色の球体を構えながら突っ込む。

「若いっていいわね。」

 そう短く呟くと眼の色を変える。その眼の色はオーロラのように朱から緑へ、緑から朱へと変化する。その異変に気付いたのか梓は駆けるのを一旦止めて、構え直す。

「翔也さん!この人の能力は捻曲(ねんきょく)です。気を着けて下さい!」

 梓は俺の方を見て声を張り上げながら、警告する。

「遅いわよ。」

 妖偽は短く呟く。

 すると俺の横に止めてあった車が、大きな音をたてながら捻じれる。

「危ないっ!」

 梓が叫ぶ前に俺は前の方へと走りながら、道へ飛びむ。その瞬間爆発が起き、俺を更に前へと吹き飛ばす。

「大丈夫ですか!」

「大丈夫だ。お前も集中しろ!」

 梓は慌てて前を向く。

「若いというのは、単純で考えものかもしれないわね。」

 怪しく微笑む。

 すると次々と空間が歪み始める。電柱、壁、自動車、家、全ての物が捻じれて壊れる。

 周囲数十メートルのもの全てが爆発、崩壊、倒壊を始める。

 立ち上がった俺は、梓と駆けながら、それらを避ける。俺は倒れてきたものは断ち切り、爆風は梓が決壊で防ぐ。妖偽に近づこうとするが、一歩進めるごとに周囲のものが大きな音を立てて壊れる。

「おい、捻曲ってこんな無茶苦茶なのかよ!」

 周りの崩壊音に負けないように俺は梓に大声で聞く。

「武神家分家にも捻曲の能力を持つ人はいましたが、ここまでのは初めて見ました!」

 一方の妖偽は、向こう側で怪しく微笑んでいるだけで、全く動かない。ただ直立しているだけで、此方をずっと見つめている。

「元気が良いわねぇ。それじゃこれはどうかしら。」

 妖偽は右手を俺らに向けて差し伸べる。

『捻じれろ』

 バキバキっと不気味な音が足元から聞こえる。俺はいきなりまともに立てなくなり、倒れこむ。

 足に熱いものが伝っていく感覚を肌で感じる。一瞬何が起きたのか分からず、右足に眼をやる。

 俺の右足がきちがいな方向へと曲がっていた。途端に激痛が身体を駆け廻り、大きな悲鳴を上げる。

「ぐああああああああああああああああああああああああ!!!」

 そんな俺の様子を妖偽は怪しく満足そうに微笑んだ。

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