まずは伏線から
「―――とまぁ、これが俺の『仕掛けられた時』の概略だな。うん。え?最後の文面いらん?この時―――、以降のは―――ほら、俺少し動揺しまくってたから、余裕な感じもちゃんとあったよ、的な。文面に覗かせる裏の心理描写、的な。
―――なに、その、顔。いいよ、消しますよ。こんなふざけた理由じゃないし。標準云々は確かにあるけども。消しますよ。あ、でもこれボールペンで書いてるし。消えないねぇ。特殊なボールペン―――ではないしねぇ。まぁ、小林さん、勘弁して下さい。っていうか、あの時に外いたのがまさか、あのマークさんだったとは思いもしなかった―――あ、また、その、顔。あの状況なら誰でも逃げ出しますよ。僕だけ一般的な大学生の標準より右斜め上をいく理由ですが。それは嘘ですが。だってそうでしょう?そんな、なぜ逃げた、って言われても、テレビであんなん放送してたら、外国人のおなら聞いただけでもすくみあがります。は大袈裟だけど。とにかく、あの状況下で、しかも英語が聞こえたらまずあれは味方だ、とは思いませんて。味方とかいるとも思ってないし。まぁ、けど、変だと思ったよ、うん。今冷静に考えたらね。もし本当に、国家のプロが捕縛しにきてたらまんまと外に逃げられなかったし。そのあと追われなかったのも『オリジナリティ』が情報覚乱してくれたお陰だし。マークさん、黒人じゃないし拳銃持ってなかったし声の割に可愛い顔立ちだし。あ、最後の本人には伏せといてね、気にしてるっぽいから。ん、ありがと。
―――しっかし、あの時に『オリジナリティ』の保護下に入ってたらあんな苦労はせんかったのになぁ。うんうん。あ、また、その、顔。あ―ちょっと待ったちょっと待ったループする、ループするから。ん、ありがと―――というか、俺、悪くない、よね。そもそもなんで警戒心最大の人間のところへ警戒心最大煽るような人間を寄越すのかが疑問。ずばり、そちらの人選ミスでしょ?―――あ、固まった。まぁいいか。結果オーライ。ぶり返してすみません。『フェイクウォーカー』に殺されそうなところ、助けて下さった皆さんには本当に感謝してますから。あ、二度目の感謝くどいか。
―――ところで、今『オリジナリティ』のメンバーに入ってる人達って、どの程度いるの?世界中にいるって佐藤司令に聞いたけど―――あ、分からない?あぁ、大丈夫、少し気になっただけだから、他の人に訊かなくても―――行ってしまった。高校生は一生懸命だな。元、高校生だけど。若いからかな?と二十一が何をいうか。元、大学生が何をいうか。歳も三つしか違わないくせに。あぁ、独り言になってしまう。独りは―――嫌だなぁ」
独りはぁ良い時もあるし悪い時もあるよねぇ