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BRAND NEW ERA

作者: officialPOCOdism
掲載日:2026/11/05

初めまして。

本作を読んでいただきありがとうございます。


本作は、物語の構想や設定を自分で考え、文章の作成・推敲などにAIを活用しながら制作しています。


荒廃した世界を舞台にした、SF・ミリタリー作品です。

少しずつ物語を描いていければと思います。


それでは、第一話をお楽しみください。

# 第一話 衛士候補生


爆発音が響いた。


遅れて、地面が揺れる。


崩れかけた建物の窓から黒煙が吹き出し、道路に散乱した瓦礫が砲撃の衝撃で跳ね上がった。


遠くでは、巨大な人型機動兵器が二機、互いに向けて銃口を構えている。


発砲。


光が走り、一機の装甲が弾け飛んだ。


倒れた機体の陰から兵士が飛び出す。負傷した仲間を引きずり、崩れた壁の裏へと身を隠した。


誰も立ち止まらない。


誰も空を見上げない。


砲撃が続くことも、隣にいた人間が次の瞬間には動かなくなることも、この場所では珍しいことではなかった。


戦争が始まって、何年になるだろうか。


もう、それを正確に答えられる人間も少なくなっていた。


この世界では、戦争は終わるものではなく、続いていくものだった。


     *


午前六時。


けたたましい電子音が、狭い部屋に鳴り響いた。


ベッドの上で横になっていた青年は、枕元の端末を手探りでつかみ、アラームを止める。


しばらく天井を見つめたあと、ゆっくりと上半身を起こした。


十八歳。


衛士候補生。


それが、今の彼の身分だった。


窓の外には、軍施設の敷地が広がっている。整備用の格納庫、訓練用の演習場、兵員輸送車の駐車区画。どれも無駄な装飾はなく、必要なものだけが並んでいた。


遠くの空には、輸送機が一機飛んでいる。


ここから見える景色に、特別なものはない。


彼にとっても、見慣れた光景だった。


顔を洗い、軍服に袖を通す。胸元の候補生章を確認し、ベッドの端に置いていた端末を手に取った。


通知は二件。


一件は訓練予定の変更。もう一件は、配給食の受け取り時間についての連絡だった。


どちらも、いつも通りの内容だった。


彼は端末をしまい、部屋を後にした。


     *


食堂には、すでに何人かの候補生が集まっていた。


「おはよう」


声をかけられ、彼は軽く手を上げる。


「今日が最後の試験だっけ?」


「ああ。午前中に終わる予定」


「いいな。俺なんか昨日の試験で操作ミスを指摘されたぞ」


「なら、今日は気をつけろよ」


「分かってるって」


向かいの席に座った候補生が、配給された食事を口に運ぶ。


会話の内容は、試験のことばかりだった。


候補生たちは全員、十八歳前後。幼い頃から戦争が続く環境で育ち、軍への入隊を特別なものとして考えていない者も多い。


十五歳になれば徴兵の対象となる。


それが、この国の決まりだった。


戦場に出ることを拒めば、臆病者と呼ばれる。負傷して帰還した者でさえ、戦えなくなったという理由で非国民と蔑まれることがある。


生き残ることと、国に認められること。


この世界では、その二つが必ずしも一致するわけではなかった。


「なあ、お前は試験に受かったら何に乗りたい?」


向かいの候補生が尋ねた。


「何にって?」


「機体だよ。やっぱり戦闘型だろ? 最新型とか乗ってみたくないか?」


「別に。乗れるなら何でもいい」


「相変わらずだな」


彼は食事を続けた。


機体に憧れがないわけではない。だが、最新型に乗りたいとか、敵を倒したいとか、そういうことを考えたことはほとんどなかった。


彼が望んでいるのは、ただ一つ。


生きて帰ること。


それ以上の目標を持つ余裕はなかった。


     *


午前八時。


候補生たちは演習場に集められた。


そこには、複数の人型機動兵器が並んでいる。全高は数メートル。人間に似た輪郭を持ちながら、その身体は装甲と機械部品で構成されていた。


操縦席は胴体部分にあり、搭乗者は内部の操作装置を使って機体を動かす。


戦闘型の機体には火器や追加装甲が取り付けられている。隣に並ぶ訓練用の機体には、それらの装備はない。


「本日の試験は、基本操作の最終確認だ」


教官の声が演習場に響いた。


「歩行、姿勢制御、障害物の通過、指定地点への移動。これまでの訓練で行った内容を繰り返す。特別なことをする必要はない。指示通りに動かせ」


候補生たちがそれぞれの機体へ向かう。


彼も搭乗口を開き、操縦席へと身体を滑り込ませた。


ハッチが閉まる。


外の音が遠のき、視界の前に各種情報が表示された。


『システム起動。操縦者認証、正常』


機体の各部が駆動し、低い振動が座席を伝わる。


彼は操縦桿を握った。


「こちら、準備完了」


『確認。試験を開始する』


機体が一歩、前へ進む。


最初の課題は直線歩行だった。続いて、指定された障害物を避けながら進み、狭い通路を通過する。


最後は姿勢制御。片脚に負荷をかけた状態で、一定時間姿勢を維持する試験だ。


難しい操作ではない。


しかし、機体の重量や関節の動きを正確に把握していなければ、わずかな操作のずれが大きな動作の乱れにつながる。


彼は一つずつ課題をこなしていった。


途中、足元の段差に気づくのが遅れ、機体の姿勢がわずかに傾いた。


『姿勢修正』


警告が表示される。


彼は操縦桿を戻し、重心を調整した。


機体は倒れることなく、再び歩き始めた。


試験終了の合図が鳴る。


『合格』


表示された文字を見て、彼は小さく息を吐いた。


     *


正午過ぎ。


候補生たちは演習場の脇に整列していた。


その前に立っているのは、軍服の上から外套を羽織った男だった。


階級章は少佐。


年齢は四十代ほどだろうか。表情に大きな変化はなく、候補生たちを一人ずつ見渡している。


「全員、試験は合格だ」


短い言葉に、候補生たちの間で小さな安堵が広がった。


「ただし、これで一人前になったと思うな。お前たちはまだ候補生だ。実戦経験もなければ、現場で何が起こるのかも知らない」


少佐は一度言葉を切った。


「現在、前線では人員が不足している。候補生だからといって、いつまでも訓練施設に置いておく余裕はない」


候補生たちの表情が変わる。


「お前たちには、これから補給任務に参加してもらう」


ざわめきが起こった。


「補給任務……ですか?」


一人の候補生が尋ねる。


「そうだ。前線への物資輸送だ。燃料、食料、弾薬、医療物資。どれも戦場には必要なものだ」


「戦闘に参加することは?」


「任務は輸送だ。だが、戦場の近くを通る以上、敵と遭遇する可能性はある」


少佐は淡々と答えた。


「お前たちが搭乗するのは補給用の量産機だ。武装はない。戦闘を想定した機体ではないが、輸送と作業に必要な機能は備わっている」


「武器がないんですか?」


「必要ないからな。戦うための機体は別にある。お前たちの仕事は、物資を届けることだ」


少佐は候補生たちを見渡した。


「勘違いするな。戦場では、物資が届かなければ兵士は戦えない。補給も立派な任務だ。自分の役割を理解して行動しろ」


誰も返事をしなかった。


彼は少佐の言葉を聞きながら、頭の中でこれからの任務を考えていた。


戦闘型ではない。


武器もない。


つまり、敵に遭遇した場合、逃げる以外に選択肢はないということだ。


それなら、それでいい。


生きて帰れる可能性が少しでも高いのなら、文句はなかった。


     *


午後三時。


格納庫には、補給用の量産機が並んでいた。


戦闘型と比べると装甲は薄く、全体的に細身の設計になっている。背部には大型のコンテナを固定するための接続部があり、腕部は作業時以外、胴体の側面に収納される構造だった。


脚部は人間とは逆方向に曲がる関節を持ち、通常の人型機動兵器とは少し異なる姿勢で立っている。


輸送時の安定性を確保しながら、必要に応じて大きく跳躍できるよう設計されたものだ。


ただし、積載量が増えれば跳躍能力は落ちる。満載状態で無理な跳躍をすれば、着地時に機体や荷物へ大きな負担がかかる。


あくまで緊急離脱や障害物の通過を想定した機能だった。


機体の外装は暗い灰色。光の反射を抑えた塗装が施され、排熱も周囲へ分散させる構造になっている。


補給機とはいえ、前線へ向かう以上、敵に発見される危険を減らす必要がある。


「これが俺たちの機体か」


隣にいた候補生が、機体を見上げた。


「思っていたより地味だな」


「輸送用だからな」


「せめて武器くらい付けてくれてもいいのに」


「使い方を知らない武器を持たされても困るだろ」


彼は機体の足元に立ち、背部のコンテナを見上げた。


これから自分が乗る機体。


戦場で敵を倒すためのものではない。誰かを守るための装甲も、敵を撃ち抜くための火器もない。


物資を運び、帰ってくる。


それだけのために作られた機体だった。


     *


出発前の最終確認が行われた。


コンテナには食料や医療品、交換用の部品などが積み込まれている。別の機体には燃料や弾薬が積まれ、固定具の確認が繰り返されていた。


少佐は輸送隊の先頭に立ち、護衛兵たちと短い打ち合わせをしている。


候補生たちは機体の周囲で待機していた。


「今回の任務は前線基地への物資輸送だ。途中、いくつかの廃墟地帯を通過する。予定経路から外れるな。何か異常があれば、すぐに報告しろ」


少佐の説明に、候補生たちは返事をする。


「敵の残存部隊が周辺に潜伏している可能性もある。護衛の指示には必ず従え。勝手な判断で隊列を乱すな」


その言葉を聞き、彼は機体の操縦席へ向かった。


ハッチを開き、内部へ乗り込む。


システムを起動すると、機体の状態が順番に表示されていく。


『駆動系、正常』


『関節制御、正常』


『積載コンテナ、固定確認』


『通信系統、正常』


彼は操縦桿を握り、前方の表示を確認した。


格納庫の巨大な扉が、ゆっくりと開いていく。


その向こうには、灰色の空と、遠くに広がる荒れた大地が見えた。


『全機、出発準備完了』


通信越しに少佐の声が聞こえる。


『補給部隊、これより出発する』


機体が動き出した。


一歩、また一歩。


候補生たちの操縦する補給機が、物資を積んだコンテナを背負いながら格納庫を出ていく。


彼は一度だけ、後方の施設を振り返った。


ここへ戻ってくる頃には、正式な衛士になっているのだろうか。


それとも、戻ってくることすらできないのだろうか。


考えても答えは出なかった。


彼は前を向き、操縦桿を握り直した。


目的地は前線。


任務は物資の輸送。


そして、彼にとって最も重要なのは、無事に帰還することだった。


その時の彼は、まだ知らなかった。


この補給任務が、自分の人生を大きく変えることになるとは。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


第一話は主人公の日常と、これから始まる任務の紹介が中心となりました。


次回から、いよいよ補給任務が始まります。

引き続き読んでいただけると嬉しいです。

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