表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/56

リセナイア 14

やっと、やっとセリナに会える。

きっと彼女は、私のことを怒っているだろう。

あの新聞を見たのなら、私が王女と浮気したと思っているかもしれない。



『土下座』しよう。


東洋の国には、最上級の謝罪方法に土下座というものがある。一度見せてもらったが、あれは中々のものだった。

相手に急所である首裏を晒し、且つ、地面に這いつくばって謝罪するのだから。

私も、セリナに土下座して、誠心誠意謝罪しよう。彼女が許してくれるまで何度でも。



王女の断罪の後、すぐにその場を飛び出した私は、長距離移動にそぐわない煌びやかな格好のまま、イオリア領に向けて馬を飛ばした。





休憩なしで馬を飛ばすと、然程時間も掛からずにイオリア領へ入ることが出来た。そして、セリナがいる研究所が、すぐに見えてきた。

私は、逸る気持ちを抑え、服に付いた埃を払ってから、研究所に近付いた。すると、門から護衛騎士が飛び出してきた。



「どうした!?何かあったのか!?」


「侯爵様!?どうしてこちらに!?」


「そんな事はどうでもいい!セリナはどこだ!?」


「それが…、セリナ様が施設内のどこにも見当たらないのです。侍女も一人行方不明でして」


「なんだと!?」


セリナが行方不明!?

影を付けていたのになぜだ?


私は、使用人として紛れ込ませていた諜報部員を呼び出した。すると、その二人は、意識を失い部屋で倒れていた。

命に別状はないものの、深く眠っていて起きる気配はない。二人からは、使われたであろう薬の独特な香りが漂っていた。



その香りには心当たりがあった。



「クソッ!ライリーか!アイツは、何故こんなことを…」


元側近のライリーは、シグネル侯爵家の諜報部に誰が所属しているか知っていた。しかも、この睡眠薬の開発者は、ライリーなのだ。



「すぐにでも探し出さねば…」


未だに、ライリーがセリナを恨んでいるのなら、彼女が危ない。早くセリナを助け出さなければ。



「リセナイア様、落ち着いて下さい。セリナ様の居場所に心当たりがあります」


「本当か!?」


服を着崩し、呼吸を乱したリールが、廊下に立っていた。

シグネル領を出る際、後ろに数名の部下が付いてきていたが、私は、それを途中で振り切っていたのだ。それが丁度今、追いついたようだ。

一人でも多く人手が欲しから助かった。



「数日前から、ディライラ王女の商会の者が怪しい行動を取っていました。見張らせていた部下によると、シグネル港に停泊中のフレイアの護衛船に、ガラの悪い傭兵が出入りしていたそうです。恐らく、セリナ様はそこに囚われていると思います」


「クソッ、あの馬鹿王女は次から次へと!国に返すなんて生温い。事故に見せかけて海に沈めてやろうか」


船に乗せたのなら、セリナをつれ去るつもりだろう。

今は、王女の起こした騒動のせいで、港に停泊しているフレイアの船は、全て出航出来ないようにしている。しかし、それに強制力はない。強行突破される可能性がある。

だから、とにかく時間がない。



「リール!足の速い馬の用意を!それと、鷹を飛ばして、港へ連絡を入れろ!絶対にセリナをフレイア王国に渡すな!」


「はい!」


真剣な表情で了承したリールが、廊下を駆けていく。私もそれを追うために足を踏み出した。

すると、私の足下に温かな気配を感じた。



「にゃーん」


「どうした、ネル、ミル、アル。お前達もセリナが心配か?大丈夫だ。必ず私が連れ帰る。またみんなで暮らせるようにするからな。約束だ」


私は、三匹の頭を順番に撫でた。

そして、準備が出来た馬に跨り、来た道を更に速いスピードで駆け戻った。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ