プロローグ 狂った悪魔
日常の中に隠れた存在、それは魔だ。
魔とは人の心に潜み、人間の精神を崩壊させる邪悪な存在だ。
人間の生涯の中で、誰もが一回は引きずり込まれたことがあるだろう。
恨み,嫉妬、嫌悪、復讐など重いは人それぞれだが、この世にはそれを支配している悪の種がいる。
夜の月が、建物を照らしながら今日も死体が発見された。
「なんて有り様だ…」
白服を着た二人が死体に近寄り、苦い顔をした。
「心臓が抜き取られてる。悪魔か。」
「本部に連絡する。」
女性の死体は体が黒く変色しかけていた。これも悪魔と接触したからだ。
このような被害が年々増えている。つまり、人間の力が弱まり、悪魔達の力が強くなったのだ。
少し離れた屋上から、その様子を見る黒髪の男がいた。
「やっと見つけたんだね。本当おそ〜い。」
うすら笑いを浮かべながら見下した声で言う。
その後ろから黒い塊のオーラが現れ人の形になる。
短い角を生やした、鬼型の使い魔だ。
「遅れて申し訳ありません冷一様。例の物を持ってきました。」
彼女が差し出したのは、白くて青い魂がいくつも入った鳥籠だった。
冷一はオレンジ色の輝きを放った瞳で、優しく笑った。
「君も遅かったね。」
「すみません。死魂を集めるのに手間取ってしまいました。」
「そう。ご苦労様。」
女は鳥籠をつなぐ鎖を冷一に渡す。
だが、その瞬間に冷一に首を締め上げられる。
殺されると思った女は、必死に首の手を解こうと暴れた。
「どうして…私は貴方に言われた通り、魂を集めました!」
「そうだね。俺はお前のことをちゃんと信用してたよ。」
彼は優しく笑うとさらに力を強めた。
「でもその魂を摘み食いしていいなんて言ってないよね?」
その言葉を最後に、女の首をつぶすとその場にストンと落ちる。
その様子に冷一は驚くと、死体となった女にかがみ込んだ。
「あれ?死んだのかい?あちゃ〜また新しい使い魔を雇わないとなぁ」
仕方ないと彼は割り切ると直ぐに立ち上がり、籠を持った右手を顔の前にぶら下げる。
「今回はこんなものか。」
少々数の少なさが気になりながらも、妥協する。
「あれぇ〜そこに居るのって、もしかして冷一?」
突然声をかけられ、冷一は上を見上げる。
そこには、不気味な笑顔を振りまいた悪魔がいた。
その姿はまさしく、邪悪そのものだ。
彼女は降りて来ると笑いかけた。
冷一もまた甘い顔で微笑む。
「やぁ〜、久しぶりだね。去女」
現れた女は殺戮の悪魔去女だ。
「そうねぇ〜。ありゃー、また使い魔殺しちゃったの?」
「まぁね。…そういえば例の黒いビンって回収できたの?」
ここ最近は、人間達に悪魔の雫を奪われている。
それを奪い返さなければ、魔王の封印は解けない。
「うん。さっき人間ぶっ殺して奪ってきたよぉ〜。」
去女は、にこやかに鞄の中に手を突っ込む。
だが
「う〜ん?あれ…。ごめん!落としちゃった。」
「全く悪いと思ってない顔だね。」
「あーあー、せっかく魔王復活計画が叶うと思ったのに、残念〜」
「人間に回収される前に見つけないとね。それと活きのいい使い魔知らない?」
「知らなぁ〜い。」
冷一は甘い笑顔で尋ねるも、あっさり去女にあしらわれた。
「仕方ない。探すかぁ〜」
次の獲物は何にしようかと、不気味な瞳でニヤリと冷一は笑った。