結界
「あれっ?階段ってこんなに短くなかったですよね。」
石段を下りきったとき、祝がそんなことを言った。
「いや、行きはもっと時間がかかっていたはずだぞ。」
広瀬も不思議に感じていた。行きは一時間以上かけて上った石段が、帰りはものの数分で下りきったのだ。さすがにおかしい。
「すみません、実はいくら上っても頂上に辿り着かない結界を張っていました。私が留守の間に寺を荒らされないようにするためのものです。」
御門は二人に謝る。
「「結界?」」
二人は思わずそんなことを口にする。宗教的なまじないの類だというのは想像に容易いが、まさか科学が発達した20世紀にそんなことが本当にできるなんて信じられなかった。しかし、二人は実際に結界の効果を体感している。最近では鬼なんていう、それこそ想像上でしかいないようなよく分からないものまでいるというので、そういうことができるのだと割り切ることはできるが、理解できなくて混乱している。
「ええ。魔法みたいなもだと解釈してくださって結構ですよ。」
御門は特に何ともないといったように答える。二人はいまいち納得はしていないが、ここで云々うなっていても無駄だと、理解するのをあきらめた。
まったく話が進まない。さっさと鬼との闘いやオリジナル兵器を出したいのに。