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選択未来  作者: ほたての時代
日常編
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四話

どうやら竹嶋と篠山がクラスのトップクラスだというのは本当の事らしく第2回戦、続く第3回戦も5分以内で戦闘が終了した(第2回戦の相手はシード権を持ったチームだった)。現状、次の試合は決勝戦である


「なんかあっさり決勝まで行っちゃったね」


「言霊の相性が良かったのが大きいな」


「いや、お前の戦闘スキルが高かったせいだろ」


結衣のいうとおりアッサリ決勝まで進めた朗たちは決勝の相手が決まる準決勝の試合を観ながら作戦会議(もとい談笑)をしていた


「そういえば俺らは作戦を実行する側だから流してたけど、お前の言霊の効果ってどんなものなんだ?」


「そういえば聞いてなかったね。どんな効果なの?」


「あぁ、あまり教えたくはなかったがあっさり暴かれたしな。まずは可能性の未来が複数提示され、その中から未来を選択するとそれが実行されるという効果。それと、違った選択肢を提示して相手に強制的に選択させ、それを実行させる効果。この二つだな」


「さすが15画の漢字だな」


「かなり強力な効果だね。たった3画分なのに羨ましいなぁ」


人が誕生するときに獲得する言霊の漢字には様々な種類があり、大別すると3つになる。

まず一つ目が動物や昆虫などの固有名詞が漢字のもの。通称“操獣者”。この系列の漢字には共通能力として「召喚」があり、任意の数(範囲は大きさに反比例)の対象を召喚、召喚対象と使用者との間の感覚共有、思念伝達の効果が得られる(召喚対象が死亡した場合12時間再召喚不可となる)。

二つ目が武器や道具などの名詞が漢字のもの。

通称“顕界者”。この系列の漢字には共通能力として

「顕現」があり、任意の数(ただし所持は両手で持てるだけ)を顕現、細かい制限はものによって違う効果を得ることができる

三つ目が上記二つを除いた全て。これらに共通した効果はなく、制限も効果もバラバラ。基本的にほとんどがこのグループに属する。

この中にもさらに分け方があるが、きりがないのであげることはしない


言霊の効果が千差万別だと、効果が食い違うものや完全な上位互換や下位互換になる効果が出てくる。その場合どちらの効果が優先されるのかという基準、単純に言霊の強度の基準は漢字の画数によって決まる。この世界は効果がどれだけ強力に見えても画数が少なければ上のものに圧倒される。言霊とはイメージが肝心だが、どれだけ明確にイメージできてたとしても画数が少なければ抗うのは非常に難しい。例外が二つ存在し、その一つが先ほどの試合でもあった「弾」と「集」の組み合わせなどである。大塚結衣の効果、ものを集めるに対し、篠山咫九人のあらゆる言霊を弾くという効果。この二つは効果が食い違っているが画数が同格の12画である。同じように効果が食い違い、画数が同じであるとき、効果は相殺される


「まぁ他者を羨む気持ちはわかる。俺もそう思うことはあるからな。ただ概要だけで羨ましがるのは良くないぞ」


「? ていうとどういうこと?」


「決していいことばかりではないっていうことだ。


「制約がきついのか?」


「例えば最初の能力を例えにいうなら、可能性の未来と俺は言ったが、未来が変わるのは自分が違う行動をした時だけ、他者の行動を変えることはできない。」


「まぁ普通そうだよね」


「そしてこれを発動した時、後に引けなくなる。選択しないという選択ができない。」


「でも選択しない時なんかないんじゃない?」


「普通はそうだろうね、普通は。(・・・・・・自分にとって最悪な未来しかない時の絶望なんか知る由も無いか)」


「え? 何か言った?」


「・・・・・・・・・・・・いや、特にない。自分で話しといてなんだがこの話は流そう」


「おう」




「あ、決勝相手決まったみたいだよ」


「お、まじか。誰だ? うーん予想はついていたけどやっぱりかぁ」


「やっぱりだねぇ」


「そんなに強い奴が相手なのか?」


「この学校トップクラス。ていうか強さが全国区のやつだな」


「伊賀天舞音って聞いたことない?。全国の剣術大会で優勝経験すらあるけど」


「剣術?剣道じゃなくてか?」


「そう、彼女の強さは殺し合いを想定した技の数々なんだよね」


「実家が由緒正しい道場やっててそこの一人娘だからやばいのなんの」


「ちなみに彼女と同じチームの女子2人も同じ道場にいるよ」


「吉見 雪果と若有 朱里だな。どっちも道場内で10位以内の実力者だ。」


「そもそも伊賀家師範代の道場がまずかなり大きいとこなんだよね」


「しかも入ってる弟子たちはみんな精鋭揃いの化け物だしな」


「ちなみに天舞音ちゃんは1位だよ」


「それは、楽しみだな。強者との戦いほど楽しみなことはない」


「(朗ってもしかして・・・・・・)」


「(バトルジャンキーなのかな?)」


「「(怒られたら怖そうだから絶対言わないけど!!)」」


「おい、お前ら 今失礼なこと考えなかったか?」


「「全然そんなこと思ってないぜ(よ)」」


「そうか? シンクロしてるところが非常に怪しいのだが・・・・・・」


ジト目になっていく朗


冷や汗だらだら流す結衣と誠也

この膠着状態は諦めた朗が視線をそらせたことで終着したのだった


「じゃあそろそろ対策を練るとするか」


「はーい」 「了解」


「それぞれの言霊を教えてくれ」


「じゃあ吉見から。言霊は「移」。物を移動させる能力だな。恐らく大塚と逆をなす能力と考えてもいい。基本的に物を移動させる以外に使っているところを見たことがない。詳細としては「目に見えているものを想像して場所の座標を指定して移す」と言ったところかな」


「ふむ、人を転移させたところは見たことないか?」


「少なくとも去年の時点ではなかったな」


「本当にできないか、それとも今年はまだ隠しているのかどっちだろうな。まぁ人を転移できる方向で作戦を立てるか」


「じゃあ次、若有さん行くね。言霊は「花」。よく効果はわからないのだけど、急に身体能力が高くなることがあるから多分そういう系だと思う。」


「うーん、単純にそんな能力だと対策の立てようがないな。それで後1人は?」


「伊賀天舞音、言霊“支配者”級にして“顕界者”<刀>所持者。だけど強すぎて刀を顕現させてるところ以外見たことない」


先ほど述べていた、画数が少なくても強度がある例。1つは互いに食い違った効果でも画数が同じなら相殺されるというものだった。もう1つの例がこの“支配者級”と呼ばれる効果を持った言霊である。これは非常に希少な存在でまた強力な効果を持つ。これに分類される漢字は、他の漢字の部首の元になる漢字である(人→人偏、金→金偏、行→行構え等)

この条件に当てはまる漢字には共通して「支配する者」という効果がつけられており、自身の漢字を部首として用いている漢字の言霊の効果を実際に目の当たり、もしくは体験した場合(伝聞は不可)、その漢字を自身の眷属とし、自分の漢字として扱えるようになる。ただ、この漢字自体が有する言霊の効果は画数によって左右されるため、そして部首の元になる漢字は基本的に画数は少ないため、強度があるかどうかという面ではあまり強度はない


「一体今までに何個漢字を貯めてきてるんだろうか。」


「ていうか私たちからしたら言霊使わさせるとこから行かなきゃいけないんだけど」


「んでもよ、<刀>が支配できる漢字ってどんなやつだ?」


「そんなこともわからないの(か)?」


「なんで急に俺への扱いが粗雑になったんだよ! もうちょっと優しくしてくれないと俺が泣くぞ」


「いい年こいた青年が泣いてる絵面はもはや犯罪だからやめろ。ただでさえちょっと老けてるのに」


「それは気にしてるから言うな!」


「そうだったのか?済まない。極力気をつけるようにしよう。・・・・・・極力」


「それ絶対気をつける気がない奴が言うセリフだからな!」


「<刀>が支配しうる漢字だったな。多少考えれば分かることだが、対象はもちろん刀だな。あとは「りっとう」が部首の漢字だろう。刀が部首の漢字なんて数えるほどですらない。せいぜい『刃』くらいだろうな。」


「それで?何個持ってると仮定して当たるの?」


「いや、仮定しない。というよりしたところで意味がない」


「何故?」


「正確にはしようがないな。考えてみろ、りっとうが部首の漢字が一体何個あると思ってる?そのうちのどれかを持っていると仮定してそれが外れる可能性のほうが高いのに、仮定するリスクとメリットが釣り合ってない」


「確かに・・・・・・」


「それで?作戦はどうするの?」


「そうだな・・・・・・まず今まで通り大塚の『集』を開幕発動させるが、おそらく無理だろう。」


「それは、吉見が人を移動させれたらだな?」


「そうだ。加えて相手も直接金属球の前まで来ることはないと思う」


「え?なんで?」


「お前らに聞くが、どちらかとで言うと、伊賀は戦いが好きか?」


「どちらかって聞かれるまでもなく好きね」


「重ねて聞く。伊賀は馬鹿か?」


「いや、それはねぇな。筆記テストでも悪くはない上に、戦闘に関する勘がバカみてぇに鋭い」


「あ、そういうことか」


「やっと理解できたか?」


「うん。吉川君はどうだかわからないけど」


「俺もわかった。相手には瞬間勝負を終わらせる気なんてなくて、こっちが集めても無駄だということを理解してると推測した上で動くということだな」


「そういうことだ。こちらも向こうもガードなし。多分3vs3の戦いになると思う」


「状況次第で、臨機応変に動くことになるのか」


「できるか?お前みたいな脳筋に」


「脳筋には脳筋なりに手段があんだよ」


「なるほど、期待しておこう」


「さてー」


[それでは決勝戦を開始する]


「ーお手並み拝見といこうか」


五十嵐教員の合図の元、決勝戦の火蓋が切って落とされた。


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