お花が萎れてるって何?
白い。
「ここどこっ!!!!」
俺は勢いよく体を上げた。俺死んでるんじゃねぇの?てことは走馬灯???あーこれ終わったら地獄に行くのか…もう終わりダァァァァァ!!!!!!
…終わらない。
試しに一発自分の顔を殴ってみる。
「ッテェェ!!!」
うん、泣きそうなくらい痛い。
ということはここは走馬灯ではなく現実世界。
そのことに気づくと俺はあることに気づく。
ここは何処だ。病院…でもない。何なら普通の部屋、だ。本棚があって勉強机が二つあってベッドも二つある。
…二つ?
「おはよ。今日もたくさんお花が舞ってるね」
「うぉぉぉぉぉっ!!!????」
いきなり横から声をかけられた。首が折れるんじゃないかと思うほどの勢いで横のベッドを見ると頬に手を当てた超絶美少年がいた。
髪は基本的に黒い。だが金色のメッシュが入っている。またウルフカットだ。まつ毛は黒色、目は紺色。
おぉんなんか既視感!!!
「悠、調子はどんな感じ?オレはね、絶好調。いろんなところでお花が満開だ」
もしかしてヤクをやっている方?…いやいやいやいやいやいや。俺はこの子を見たことがある。確信だ。
俺のお気に入りのゲームでは最初に推しを決めさせられる。もちろん変更可能だ。
そしてこの子が俺の選んだ推しキャラクター、菊百合 葛葉だ。
まぁ…俺がこの子に一目惚れしたからとかそういう理由ではなく、ただただ画面を適当にタップしていたらこの子をタップしてしまっていて早くプレイしたいからとそのまま進めた、というなんとも言えない理由なのだが。
「悠…?元気ないの?お花が萎れてるよ」
「だ、大丈夫…」
お花が萎れてるって何…???くっそ…こんなんだったらちゃんとストーリー進めておけば良かった!!!
「悠、お着替えしよっ。ご飯間に合わない…!」
こうして俺は強制的にベッドから連れ去られたのだった。