すれ違い
巴菜姉ちゃんは四個上の私のお姉ちゃん。
今は市内の高校生。制服ブレザーで羨ましい。
私より人懐っこくて誰とでも仲良くなれるしっかり者。
「華乃ちゃん部活行く前に
放送行かないけんから一緒に来て〜〜」
「いいよー。」
莉子は放送委員。
当番の日はだいたい私も一緒についてく。
莉子の声は可愛い、心地いい。ピッタリだなと思う。
ちなみに莉子の好きな孝成は生徒会入ってる。
でしょうねって感じ。
いちいち気に食わないやつだ。莉子ごめんなさい。
莉子と私はバレーボール部で
女子はバレーボールか、テニスか、陸上しか
入れる部活がない。田舎だからって不公平だ。
帰宅部って選択もあったけど
入ってない方が田舎だから珍しいから
とりあえずバレーボール部入った。
初心者だしまだまだ何も出来ないけど
先輩達見てると早く上手くなりたいなと思う。
「体育館行く前に放送行かなきゃ。」
「莉子はよ行こ!」
急げ〜、先輩達来るよ〜、はよ着替えな〜〜。
放送室に繋がる廊下の曲がり角で
バンっと何かにぶつかった。
「いったー。あ、華乃ちゃんやん。
久しぶり!巴菜ちゃん元気?」
「裕哉先輩!久しぶりです。すみません!
大丈夫でしたか?本当すみません。」
「大丈夫大丈夫。こっちこそごめんな。痛かったやろ?」
「全然!私は大丈夫です。」
「華乃ちゃん大丈夫?」
「莉子ごめん!先に放送室いっとって。」
「わかった。」
裕哉先輩が莉子の方を見て言った。
「あれ友達?可愛いやん。」
「はい。可愛い可愛い友達です。手出さないで下さい。」
「なんそれ?(笑)出さんわ!」
「裕哉先輩何してるんですか?」
「職員室に用あったんよ〜。次行かなんからまたね!」
「はい。また。」
莉子もう放送終わったかな。
「失礼しました〜。」
「あ、おった。彬!次行くぞー。」
「はいはい。…だれあの子?」
「1年生の華乃ちゃん、長谷川華乃ちゃん。
巴菜先輩しっちょんやろ?妹よ。」
「あー。仲いいん?」
「いや、巴菜先輩の妹ってだけで普通。」
「ふーん。」
「彬はよ行こー。陸上始まるやん。」