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花が必要なら、どこでも!  作者: IVAHLANA
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1. はじまりのフリージア①

《魔界》


数千億に達する種の動物とその10倍近い種類の植物が存在し、三千以上の種族が一緒に生きていくおかげで、少し歩くだけで大きく変わる風景を見ることができる。 極限まで発展した科学技術、ないものがない魔法の種類、変則的で強烈な気候にともなう文化方式の違い、永遠の夜の世界など、特徴的で多様な環境がそれ自体で魔界を代表するものだ。


もちろん、それだけ種族間の文化差による葛藤が多く、それを制御するシステムが明確に備えられない社会というのが否定的な面でもある。


そのため、過去の絶えない戦いの中で、魔界の種族は圧倒的な強者に命と安寧を保障され守られる方式を選び、強者たちは喜んで弱者を支配し崇められる存在になった。


それがまさに「魔王」だ。



• • •



「失礼します。 花束を注文できますか。」


天秤の詩(夜が明ける時間)、のんびりと店に並べられた花々を管理していた〈グランドフリー · ペン レーニュ〉の後に一人の女性がもじもじと立ち入った。


ひどく曲がった背中と2mほどの身長を持った彼女は、さらに身をかがめてこそ店内に入ることができた。


「お客様ですか? こんな早い時間によくいらっしゃいました。 どうぞこちらのソファにお座りください。」


「ありがとうございます」


大きささえ適切なら足が多くても、体の形が奇怪でも、どんな種族でも楽に座れるように特殊設計されたソファ。 幸い彼女はソファーの快適さに身を寄せて安静にすることができた。


レニューは水やりと室内温度調整を終えて女性と向かい合った。


「私は…14エリアから来た〈トップクリーン · セイビア〉です。」


「─! トップクリーン家なら、《爆獸皇》、〈トップクリーン · ペン アイビー〉さんの…?」


現魔王の中では最も少ない土地と部下を従えているが、それと反比例する膨大な影響力を行使することで知られる者だ。当然、


〔魔王の家門なら、この広い魔界でも最上位に達する権力を持っているはず〕


レニューは久しぶりに大きな当たりが来たことを直感し、急いで棚を探した。開業当時にプレゼントされた最高級茶葉を見つけたのだ。


〔私さえも飲んだことのない, 数十年は待てばたった1パックが手に入るという『エフェオル産ブロンティー』。 とうとう書く時が来たのか…〕


そして、棚から古風に包装されているブロンティを取り出そうとした瞬間。


〔ょっと待って。あえてここまでやる必要があるのかな? トップクリーン家と縁を作っておけば確かに大きなお得だが、普通車を出してもいいのではないでしょうか?〕


「セイビアさん?」


「はい?」


深い悩みに陥ったレニューは棚から手を離せず、彼女に向かうこともできないまま冷や汗を流しながら尋ねた。 できるだけ本意があらわれないように気をつけて。


「セイビアさんはもしかしてアイビーさんとどんな関係…でしょうか?」


「ああ、そんなに仲良くはないですよ。 ただ時々顔を見る…」


〔よかった。ただのップクリーン家の人だったのか。 じゃあ、紅茶でもあげようよ~。♪〕


「兄妹です。」


「さようなら。私の『エフェオル産ブロンティー』」


─ぽたり。


レニューは涙を一滴流しながらお茶を沸かしてくれた。数キロ外でも感じられるほどの甘くてほろ苦い香りが絶品だったが、結局、その匂いだけを楽しむ現実にレニューは2滴目の涙を流し、セイビアが一口飲んで幸せそうに笑うと、結局我慢できず涙を流した。


「ウエエエヘヘウウウウ…」


「ちょ、ちょっと。大丈夫ですか? 急になんで泣いてるんですか…?」


「···何でもないです。 どうぞ、どうぞ美味しく飲んでください。 そして注文についてもっと詳しく話していただけますか?」


「はい!実は10日後がそのアイビーの『魔獸招還式』が開かれる日なんですよ。」


魔獸招還式。


魔獸、すなわち魔界の獣たちと友として共に戦う「魔獸術師」たちの儀式だ。死んだ自分の魔獸たちを慰め、新しい魔獸たちを歓迎し、強力にお互いの意志と友情を固める、魔獸術師なら自分の誕生日よりも貴重に思う日だ。


「あの日ですね…! 数十年に一度開かれると知っていますが。」


「その通りです。しかも私たちトップクリーン街は魔獸使役魔術においては強い自負心があり、7日間続けて休むことなく魔獸招還式を行います。」


「果たして…。私が作って差し上げる花束はアイビーさんに渡すお祝いの用途でしょうか?」


セイビアは首を軽く振って、重くて微妙な表情で静かに口を開いた。その瞬間だけは外のにぎやかな騒音も静まったようだった。


「私がお願いしたいのは、過去《第二次天魔戰爭》で犠牲になった弟の大切な友人、『デマホルチン』の追悼の花です。生前花を大好きだったので….」


以後は簡単に言葉が続かないセイビア。 もう少し説明してほしいと思ったレニューだったが、どうしてもそこまではできなかった。


時間が少し経った後、再び雰囲気を喚起しようとレニューの方で話し始めた。


「-では、デマホルチンが好きだった花について知ることはできますか? 追悼の目的なら、好きだった花をいろいろ集めて束に持っていったほうがいいでしょう。 こちら、こちらの紙にお受け取りになりたい日時とお花の種類と形式、住所地をお書きいただければ、検討後に再度ご連絡いたします。」


レニューが渡したペンを受け取ったセイビアは、少し悩んだ末、あれこれ書いて返した。 紙には数十種類もの花が書かれており、住所はやはりトップクリーン家の中心である《爆獸皇》、〈トップクリーン · ペン アイビー〉の城だった。


「…書きました。 金額はどうなるでしょうか。」


「そのけんも確認のあとにお知らせします。 どうしても採集難易度や配達距離に比例して値段が上がり、支払い希望金額も教えていただければ合わせてお作りすることもできます。」


「大丈夫です。予算は十分ですので、どうぞ美しく華やかにお願いします。」


「はい、信じて任せてください!」


自信のある笑顔に安心したセイビアは、入ってきた時より軽い足取りで出た。


「追悼か。残界の人間族やズア族は主に無彩色の花を使うといい、天界では【昇天】と呼ぶ特異な追悼魔法があるという。 魔界だとしても追慕方式においてはかなり種類が多様な方だから….’


あらゆることを考えていたレニューは置いておいた紙の住所と希望日などを調べ、最後に花の種類を確認した。 いや、確認してしまったのだ。 そして驚愕した。


そこに書かれた花の中から一つの名前を見て。

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