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神の間で

「ようこそ、神の間へ」


 は?この、未だに厨二病こじらせているおじさんは。それにどこかで聞いたことのある声に感じるのは気のせいか?


「なんだと?私は本当のことしか言っておらん。あんな低俗な者と一緒にするな」


 おじさん(自称神)は子供駄々をこねる子供のように拗ねた。


「すみません。いきなり神とか言われても信じられないし、あと勝手に人の心と話さないでくれます?」

「だが、本当にここは神の間で、私は神なのだが……」


 自称神は目に見えるようにしょんぼりしてしまった。


 大の大人が恥ずかしい。

 でも、現実で心と話せたり、宙に浮ける人なんていないので本当に神なのだろう。信じてもよさそうだ。


「すみません。さっきは驚きのあまり口調が強くなってしまいましたがあなたの言っていることを信じます」


 神は花が咲き誇るような笑顔になった。

 本当に子供のようだ。

 それにしてもなんだか神々しくなったような気がするのは気のせいだろうか。


「それでこんなところにいる俺は死んだってことでいいんですか?」

「そういう事になるな」


 そう、オブラートに包まないような言い方されると急に胸がいっぱいになった。

 15歳でまさか死ぬなんて思ってもいなかった。

 だが、そんなことよりもどうしても気になることがあった。


「あの女の子はどうなりました?」

「やはり気になるか?」

「はい」


 神はニヤリと笑ってから口を開いた。


「助かったぞ、押されてこけた拍子に膝を擦りむいただけだ」

「それはよかった」


 俺は胸を撫でおろす。


「まあ、もともと彼女は死なない予定だったからな」


 俺は今の神の発言に違和感を覚えた。


「え、予定って……?」

「そんなこと、聞くまでもないだろ」

「死は運命じゃないのですか?」


 神は「何をいっている?」とでもいうように、


「その運命とやらは神の決めた予定ってことだろ?」


 確かに言われてみればそうだ。

 運命とは神が決めたもの、予定といってもいいわけなのか。

 だが、こんな神に決められていると思うとなんだか胸糞悪くなる。


「じゃあ、お前がすべての人の運命を決めているのか?」

「そんなことできると思ったのか?」


 神はなんだか嬉しそうに質問で返してきやがった。


 いちいち、ムカつくやつだ。


「出来るようには見えないな」

「そうだよな、そう思うよな、実際、私が決めていい人生の予定(うんめい)は10人だけだしさ――」


 神は自分一人の世界に入ってしまった。

 それにしてもこんな、クズ神に殺される自分が悲しくなってきた。

 俺はふと、もう一つ確認しておきたいことを思い出す。


「それはそうと妹に様子が気になるんだが」


 神に尋ねると


「いつかは聞かれると思っていたよ。ヒカルはシスコンだからな」

「は?誰がシスコンだ!ただ甘えん坊の妹を心配してるだけじゃないか!」


 神は「わかったわかった」と俺をなだめる。

 クズ神にそんなことされると無性に腹が立つものだ。

 俺が落ち着いたところで神が、仙人が持つような大きな杖をどこからともなく持ち出して、ひょいっと何もないところに杖を振った。

 すると、立体投射された映像が映し出された。

 映像には俺の遺体と妹が映っている。


 妹は俺の遺体にしがみ付いて泣きわめいている。

 自分の遺体を見るのは変な気持ちだが、それよりも妹の様子を見たことで胸の奥から悲しみが溢れ出してきた。


 何分ほど泣いただろうか、顔を上げた時にはさっきまであった映像は消えていた。


「そろそろ落ち着いたかな?」

「はい。大丈夫です」


 神は「そうかそうか」と頷いてから、


「夢でも尋ねたが異世界に行く準備は出来ているな」


 神の言葉を聞いた瞬間、今まで忘れていた夢の記憶を思い出す。

 そして、すべてが繋がった気がした。


 そうだ。どこかで聞いたことのある声だと思ったら夢だ。夢の中で俺とこのクズ神は出会っている。


 ――もし、本当に異世界に行きたいのなら、連れて行ってやるぞ――


 だがこの問いに答えた記憶は……


 ――行けるもんなら連れて行ってみろよ――


 言った。


 俺は夢での出来事で現実じゃないと思い軽い気持ちで答えた。

 人は夢の記憶とは曖昧なものだ。

 すぐにその内容を忘れてしまう。

 この死は何度も神からの確認があったのだ。

 そんな大切な夢でさえ、俺は忘れてしまっていた。


 ――もしも、あの時に興味ないと断っていれば


 そんなことが頭をよぎる。


「――どうした?早く決めんか」


 神が不思議そうに下から覗き込んできた。

 いきなり現れると驚く。


「あ、すみません。なんて言いました?」


 神は「次は聞き逃すのではないぞ」と前置きしてからもう一度説明してくれた。


「転生者として、新しい親を持ち0歳から人生をやり直すか、転移者としてこの容姿のまま生活するかどちらがいい?」


 神は「ちなみに転移者で召喚する場合、年齢は好きなように出来るぞ」と付け足した。


「そうですね。転移者がいいかな」


 俺が転移者を選んだのは俺の中で地球にいる家族以外は本当の家族になれないと思うからだ。

 向こうで生活していればそんなことなくなるかもしれないが、今の時点ではありえない。

 それにまた0歳から人生やり直しなんて大変だしね。


「了解した。容姿はいつ頃のものがいい?」

「このままで大丈夫です」

「そうか、了解した」


 高校生以前の容姿だと幼すぎると思うんだよね。

 これぐらいのほうが、向こうの世界でもやり易そうだ。

 異世界ものの物語だと成人は15歳っていうのが多いし。


「最後に、転移する前に望みを聞いてやろう、なんでもいいぞ、聖剣でもなんでもだしてやる」


 最強の力が欲しい!

 と、でも言いうのが普通なのかもしれないがここはもっと珍しいものを……


「俺の中だけ、世界をゲーム仕様にしてくれ」


 意外と普通なことを言ったような気もするが、そっちのほうが色々と便利な気がする。

 某ラノベの主人公のユニークスキルと同じとは言ってない。

 それに勇者ものの主人公のユニークスキルは一つや二つどころじゃないしね。


「了解した、だがゲーム仕様とはどのようにすればいいのじゃ?」


 この無能クズ神め!

 

 俺はそれから何十分もかけてゲーム仕様とはどういうものかを説明した。


「そんな事だけでいいのか?」


 そんな事とはなんだ!

 心の中では暴言を吐きまくるが大人な俺は口には出さない。

 あれ?こいつって人の心とも会話が出来るんだっけ?

 神は聞いていないことにしてくれてるようだが目がうるうるしている。

 本当にわかりやすい神だ。

 ここは俺も知らないことにしておこう。


「それじゃあ、召喚の儀式を行うから横にある魔法陣の中央に立ってくれ」


 何もなかったはずの場所にいつの間にか魔法陣が書かれている。

 やはり不思議な空間だ。


 俺は、魔法陣の中央に立った。


「それでは始めるぞ、■■■■――」


神は意味不明な言語で呪文を唱え始める。

「――■■、転移、ポリマシャウラ」


 神が呪文を唱え終わると、魔法陣から失明するかと思うぐらいの強い光が放たれた。


「異世界ライフを楽しんでくれ」


 ふと、なぜ神は異世界に人を送りたがっているのだろう?と疑問に思ったのだが、もう神に確認することはできない、考えるだけ無駄だろう、それよりも異世界ライフを楽しもう。

 それになんだか眠たくなってきった、慣れないことをいっぱいして疲れたのだろう。


 俺はTPOを考えずに目をつむった。


パソコンに次話は入ってるけどWi-Fiないから遅くなりそうだね。

そんなわけで投稿遅くなります。

感想なんて書いてくれたらモチベーションあがるな

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