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決戦はクリスマス 後編

突然だけどサンタさん言ったら何を思い浮かぶ?

普通赤い服を着て白くて長いひげを生やしたおじさんが子供達にプレゼントという名の幸せを与える人物。だいたいの人達がそんな感じを思い浮かぶだろうね。俺もそんな感じ。

じゃあ想像じゃなくて現実のサンタさんはどうだろう?

答え合わせ開始。

まずは赤い服を着ているか?答えはノー。

目の前にいるサンタさんは純白の白いドレスのような格好をしている。赤要素といえば血しぶきが染みとなり浸りついてるくらい。

次にひげを生やしているか?それもノー。

現実のサンタさんは小さな女の子でひげなんて年頃の女の子にとってはもってのほか。

じゃあ最後、サンタさんは幸せをへこんできてくれるか?それも残念ながらノー。

今目の前にいるサンタさんは俺とミク以外のクラスメイトには「最期」というプレゼントをあげた。

みんなにはサンタさんが無作為…違う…ピンク色の球体を俺達以外のクラスメイトの人数分出すとそれを的確に正確にみんなにあげた。

貰ったみんなはそれが体を貫く。逃げようとしてもピンクの球体は標的を逃がさんという執念の元のついてき、追いつき、貫いた。

俺とミクもどうにかして防ごうと変身をして足掻いたけれどただと無駄あがきだった。

俺達が動けば動くほど何をしたわけでもないのに身体中に激痛が走る。それが転校生白川ヒトミの「魔法」、俺とミクは彼女に目を合わせた瞬間負けが確定したのだ。


「もう諦めなよ、勝負はついたんだし。」



「んなわけできるかよ…!」


俺は微かに動く体にムチをうち今用いる全力で最強の力を持つ黄金の姿に姿を変える。

この姿は今より戦闘力があがるのはもちろん少しの間なら時間の流れを高速で動くことができる。

もちろんそんなことをするのだから体の普段は大きい。今のぼろぼろ満身創痍の俺にはせいぜい3秒が限界、だけど相手にはたかが3秒でも俺にはそれ以上のことができる。


「バカっ!やめなさい!そんなことしたらあんたが!」


俺の後ろで倒れているアミカが声を振り絞るように叫んだ。


「お前が今さら何を言ってるんだよ…。ミクだってもうぼろぼろで倒れてる今戦えるのは俺しかいないじゃん…。」


「でも…!」



「大丈夫、正義は必ず勝つ!この世界はそうやって成り立ってんだから。」


自分で言っといて歯がゆいとは思いながらも隣で倒れてるミクをチラリと見ると静かにベルトのスイッチを押す。

この瞬間周りの時間が止まったようにゆっくりとなり、その中を俺ただひとり動くことができる。

止まった時の限られた時間の中で俺は黄金に輝く剣にベルトに刺さっている球体を装填する。

剣は虹色に輝き目の前の標的に今か今かと白羽の矢をたてる。

小さな女の子だとかどっかで見たことあるだとか今はそんなの関係ない。目の前にある惨状を起こした張本人、倒す理由には充分過ぎる材料だ。

俺は後ろ足を踏み出しヒトミに向かい刃を突き出し飛び出した。


「なっ…。」


刃は確かにヒトミに向けたはずだった。だけど彼女の前に網目状のバリアが張られ攻撃が通らない。


「全く…、分からない人…。ううん、ヒーローって呼んだほうがいいかな?」


時がほとんど止まった世界で彼女の口が、体が動き出す。

ヒトミはバリアを解除すると勢いと威力を失くした俺の剣先を橋で豆を掴むように指と指で挟み軽々と下に降ろさせる。


「なんで動いてるんだって顔してるよ?まあ仮面で顔なんか見えないんだけどね。」


ヒトミはもう片方の手に持っていた杖のような物を俺に当てるとそこから衝撃波を身体中に流し込んだ。


「うわぁぁぁぁ!!!」


「そろそろ時間が流れる時間だよ。3…2…1…0…!」


時が再び動きだしヒトミの攻撃と反動で俺は変身を解除されその場に倒れこんだ。


「ツナグ!!」


時間が動いたことでアミカにも何が起きたかなんて一目で分かった。

だけど彼女も相当なダメージを負っていて声をだすのが精一杯の抗いだった。


「これで終わりなんてなんかつまらない。」


俺に致命傷を負わせた杖を振り回しながらヒトミが言う。


「な…なんで…、君もヒーロー…なんだろ…?どうして…こんなことを…?」


「ヒーロー…?違うよ、私はそんな大それたものじゃないよ。ただの何もない女の子だよ。」


「その何もない女の子がなんでことするのよ…?」


「頭の中で響くの、次はああしろこうしろってうるさく。私はただその言葉の言うとおりにしてるだけ。」


その言葉を口にした時だけヒトミは先生と同じように淡々と語り、表情が消えていた。


「まさかあんた…。」


アミカは何かに気づいたようにボソッと呟く。


「えいっ!」


ヒトミは杖を振ると倒れてるミクは宙にプカプカと浮かびあがる。


「ミク!!」


もう一度杖を振ると彼女は教室の中央を通り天井から流れている糸に吊るされるいるようにミクは腕をダランと垂れ下がりヒトミの目の前でフワフワと浮かんでいる。


「かわいいよねミクちゃん、ぼろぼろなのにキレイだし、汗もかいてるのにいい匂いがする。流石魔法少女だよ。」


「ミクをどうする気だ…。」


「ミクちゃんも私と一緒になるんだよ!って頭の中で声がしてるからそういうことらしいよ?」


「そういうことってどういうことよ!」


「とりあえず今分かることは私はミクちゃんを連れていくってことかな!」


ヒトミは杖を天高く掲げると杖の先端から光が現れヒトミとミクを守るように包んでく。


「そういうことだから私達行くね!」


「おい…待てよ…!ミクをかえ…。」


「またすぐ会えるよ、私にもミクちゃんにも。その時はまた一緒に遊ぼうね♪」





目の前に現れたサンタさんは幸せのプレゼントなんてくれなかった。

クラスメイトと一緒に戦ってきた仲間を奪って帰っていく、そんなサンタさんを俺は止めることができなかった。たとえ煙突があったとしても。






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