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新しい敵と沢山の新たなる力

脇役から主役に昇格して一ヶ月、いろんなことがあった。ほんといろんなことがあった、身体的にも物理的にも。

敵は最低でも週一で現れる。そしてその場に必ずしといって俺もそこにいるのである。

まあでもこれはヒーローになる前から何かと巻き込まれていたから今までは逃げる側だったのが立ち向かう側に変わったと思えば別におかしくない。それに磁石のS極とN極が互いに引き合うように平和を守るものと脅かすもの、相反するもの達が引き合うのもこれもまた都合のいいルールなんだろう。どっかの誰かが効率よく戦わせるための介入措置だ。

その介入措置のおかげで今日も俺は敵と遭遇し戦っているのだが絶賛苦戦中だ。

敵は空を飛び高速で俺に向かって襲いかかってくる。だけど俺の武器といったら日本刀よりもちょっぴり大きな鎧と同じ銀色の剣だけ。

それをどんなにうまく振り回しても当たらなければただの下手な素振りと同じ、敵は自分の翼の羽を俺にぶつける。ボディに当たった羽は爆弾へと性質を変えその威力によって吹き飛ばされた俺は地面に叩きつけられるように倒れる。


「バカ、なにやってるのよ!真面目に戦いなさい!」


少し離れたところからアミカが叱咤する。

彼女はあの日から監視という名目でずっと俺と行動を共にするようになった。

どうやったのか転校生として俺の学校にやって来て、授業中や休み時間の時もなんとなく彼女の視線を感じ、毎朝わざわざ家まで向かいに来て一緒に登下校する羽目になる。言わずもながら休日はずっと彼女が家まで押し掛けプライベートな時間はありがたく消失した。おかげで俺とアミカが付き合ってるっていう変な噂までたつようにまでなってしまう。

ある日普通の学生生活を送りたいと俺はアミカにいった。そしたら彼女は


「ヒーローが普通になれるわけないでしょ?」


と一言突き返す。そりゃそうだ。

なにはともあれ今日も彼女と行動していたら案の定敵と遭遇し今に至るのである。

アミカは普通の人間だ、ちょっと気が強くて時間を止められるだけの普通な人間だ。

人々の平和を守るヒーローとしては彼女を守らなきゃいけないとこなんだけど何せこんな状態である。


「ねぇ、初めて会った時に使ったあの…、時間停めるやつ使ってくれない?」


俺は敵に痛めつけられながらも建物の影でひょっこり見つめてる彼女に懇願するが


「嫌よ、アレ疲れるんだもん。」


とその願いはことごとく撃ち抜かれるであった。


「じゃあこいつどうやって倒せばいいんだよ!ハッ!」


彼女と会話するために少し敵から目を離した隙を敵は見逃さなかった。

敵は自分の羽を正面で折り重ね一枚の硬い鉄板のような鉱物へと姿を変える。それを俺の胸に勢いよく突き刺すと俺はアミカが隠れている建物へとおもいきり突き飛ばされる。


「ぐはぁ…!」


そのまま建物の瓦礫と共にうつ伏せに倒れた。


「ったく…危ないじゃないの!」


アミカは目の前で倒れる俺を見て一応ヒロインポジションにいるキャラとは思えない言動を口にする。


「あの…少しは心配してくれない…?今ピンチなんだけど…。」


「ピンチ?どこが?」


アミカは疑問を唱えるように言った。


「この状況、ピンチ以外の言葉があるかな…?」


「なら逆に聞くけど勝てる相手にピンチなる状況って何よ、教えてくれない?」


「勝てる…?どうやって…?」


「青い宝石。」


「えっ…。」



働けばお金を貰えるように人間何かをすればその代わりに何かを得ることができる。

ヒーローはよく正義のためなら見返りを求めないというけれど俺の場合はちと違う。

これが俺だけなのか他のヒーロー達なのかは分からないけど敵を倒すとゲームでいうとこのドロップアイテムが敵の残骸から現れる。

色はバラバラだけど指輪くらいの大きさのダイヤの形をした宝石が俺の手元にやってくる。

現在青と黄色、そして緑の宝石が手元にあるけどアミカは青い宝石をどうやら使えと言っているらしい。

取り出して一通り見てみてもボタンひとつ見当たらない戦闘には全くもって似つかない小さな宝石。


「これをどうしろって言うのさー?」


「使うのよ、ほかになんかある?」


「使うってどうやって…。」


「あんたはもう知ってるはずよ。」


「いやいや知ってるはずない…、うっ…!」


もう一度宝石を眺めた瞬間、頭の中に膨大な知識が濁流のように流れてくる。この宝石はなんなのか、どう使うのか、使ったらどうなるか。

それはこの状況に必要な知識がいっきに渦を巻いて襲ってくる。とても勉強が得意じゃない俺の脳では知識の波を処理することなんて当然無理だ。だけどヒーローの力無理矢理脳を動かし強制的に処理させる、これが何を意味するかも知識が教えてくれた。

だけどそれはあとで起こる問題だ。今は目の前にある課題をこなさなきゃ問題を解決する前に0点確定だ。


「しゃーないか。」


俺はフラフラと立ち上がり正面から飛んで襲ってきた敵をタイミング良く蹴りあげる。

敵は高層ビルに激突にそのまま悲鳴を上げて地面に叩きつけられる。


「今よ!」


「分かってますよ。」


俺は青い宝石を腰に巻いているベルトとかざすと中央から宝石の色と同じ青い光が

現れ宝石を包み込みそのままベルトに吸収される。

次の瞬間、ベルト四肢に向かって青い線が伸びていきそこから垂れた絵の具のように青が浸食していきすぐに銀色ボディは全身青く染めあげられる。

大きな銀色の剣は青が入った2本の小型な短剣へと変わり、俺は速さを手に入れた。

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