プロローグ ~Born Under a Bad Sign~
……ん? なんだここ? 気がつくと何かよくわからない空間? に立っていた。んで、前には何故か土下座した多分、男性? がいる。
「え? ここどこよ? ってかあなた誰よ? なんで土下座してるワケ?」
「申し訳ありません! 本っ当~に申し訳ありません!」
何故だかいきなり謝りだすし……
「いや、いきなり謝られても意味がわかんないんだけど?」
「そのですね、私がそちらの空間に行こうと開けた穴に貴女が巻き込まれてですね、その、なんといいますか、あー肉体が失われたといいますか、お亡くなりになられましてですね……」
「は?」
「こちらの過失ですので再構築した肉体で地球とは別の所謂、異世界転移? ですか。していただきたいと……」
「へ?」
ごめん、ちょっと理解が追いつかない。私が死んだ? 再構成して異世界? いや再構成できるなら元の世界でしょうよ。
「ちょっと意味わかんないんだけど再構成したなら元の世界に帰してよ、ってか早く帰って父さんとトレーニングするから早く帰してくれない? 」
「いえ、それが既に亡くなられてから少々日数が経ってまして、代わりに用意した遺体も荼毘に付されてまして、ええ。それにその肉体はそちらの世界では少々問題があ【ガツン!】ぶっ!」
「……どういうことよ……」
話しながら頭を上げかけた男性? の頭を思いっきり踏み付け、我ながらビックリする殺気を撒き散らせて何とかそれだけ喋る。
……そこから暫く言い訳やら弁明をガツンガツンと頭を踏みつけつつ聞く作業を続けていたのだが
「……というわけでして地球に戻るのは不可能、あ、ホントこれ以上踏むの勘弁して下さい……」
あまりにもむかつくので更に踏みつけてやろうとしたら土下座のまま逃げられたので、舌打ちしつつ少し冷静に流れを整理する。
どうやらこの男性というか存在は、よくいう神やら創世神、創造神などでなく、より上位存在。
全ての始まり、原初、虚無、といったモノらしい。
彼から見れば創世神や創造神なども数ある次元の数ある空間にある数ある宇宙の1つを作って自分こそが唯一と思ってる彼から零れ落ちた無数の内の1つに過ぎないらしい。
……つまり全宇宙、全次元、全存在最強。ふ~ん……我が一族が最後に到達して超えるべき相手なワケね……。某戦闘民族の主人公以外に超えれない存在など私たちは認めない。
……そして彼自身は本来、知性や自我といったものはなくただ生み出し滅ぼすだけの存在だったのが生み出したモノの影響か、いつの間にやら自我や知性が芽生え色々と興味を持つうちに特殊進化をした私たちの地球を見つけた。これはすごい! と、創世神や創造神の真似をして、自身で生み出した自作の宇宙の自作の星の参考に地球を観察し続けていたが、やはり直接地球を観察したい! ヨシッ! こっそり見て回ろう! として開けた次元の裂け目に私がホールインワンしたらしい。
で、彼自身が作った私の肉体では色々問題(例え時間を戻したりしても彼の力で消失した私の肉体は元の存在はに戻せないらしい、なんでも時間とかの概念を超越した力がゆえに別の歪みがでたりするんだと。正直理解の範疇超えてます、アイン○ュタイン博士やホー○ング博士じゃないんだから……)があるらしく彼の作った星に移って欲しいということらしい……
「……にすれば、って聞いてます?」
「あ、ごめん。ちょっと頭の中でまとめてたから聞いてなかったわ」
「え~もう1度言いますと、ご家族に会えないのが問題なら今の家族の皆さんが天寿を全うした時点でそちらに送る、という形でどうでしょう?」
「その頃には私も天寿全うしてんでしょうが!」
「大丈夫ですよ、時間の流れが違いますからね。向こうで早ければ5年、長くとも10年少々お待ちいただければ全員合流できますよ、あ、送るときに年齢はご家族の希望にあわせて調節します」
む? 数年我慢すれば他はともかく、父と合流できるんだ。……でもなぁ、いや、帰れない以上は仕方ないか?いやいや、でもなぁ……
「ただ非常に申し訳ないのですが、ご家族は元の肉体をあちらに合わせて調節しますが、貴女だけは本来の肉体が消滅して私が再構成した体ですので精神的にはともかく遺伝子的には赤の他人「ちょ! それマジ!?」
「は、はい。本当に申し訳ありません……」
「よし、行くわ。早く送りなさい!」
なんてことだ! ある意味生まれ変わりに近いこの流れ、ある種の前世親子で今世は他人。つまり、 障 害 は 無 い !
「え? あ、いやそれしかないんですが急に変わりましたね?」
「細かいことはいいのよ。それより家族、というより父……いえ、元父ね。元父だけは絶対にこっちに送って頂戴! 絶対よ! 」
「ええ、ええ。お約束します。じゃあ転移先の世界の説明や特典の話を始めてよろしいですか?」
「時間が惜しいわ! さくっと説明して頂戴!」
また頭を踏まれないかビクビクしながらこちらを確認した彼は、とりあえず大丈夫と安心したのか立ち上がり、いつの間にやら出現したテーブルと椅子に腰掛け、椅子と紅茶をこちらに勧めると話し始める。




