第2話 覚醒
魔法使いには重要な才能が2つあると言われている。
1つ目が魔力量。
これがないと魔法を使う事が出来ない。
2つ目が魔法属性適正。
この適正が高いと魔法の威力が高くなったり早く新しい魔法を覚えるが出来ると言われている。
浩介は父親の才能を受け継ぎ2つ目の魔法属性適正の適正値は非常に高かったが、魔力量がないため魔法が使えなかった。
しかし、精霊の力を移植されたならば精霊術を使う事が出来る可能性があった。
だが、その場合普通の人間なら精霊が身体の中に入る時の精神感傷などで精神が壊れるはずである。
普通の人間だったら。
伊田浩介は魔力を持たず普通に生活していた場合は平々凡々な普通の男子高校生であるが。
伊田浩介は母親からある特殊体質を受け継いでいた。
その特殊体質とは継続的魔法異常耐性体質と言われていた。
継続的魔法異常耐性体質とは簡単に言えばバフやデバフが効きずらくなるというものである。
魔法使いや魔法戦闘をしない場合は回復魔法が効きずらくなる程度のものだが、この体質をもつ人間なら精霊による精神感傷を耐えることもできる可能性が僅かにあり、伊田浩介は耐えることが出来た。
「なぜ、隷属が効いてない!」
「何故だと思う?」
浩介は体質のおかげで低位の隷属の首輪も無効化することが出来るため隷属されなかった。
この研究者らしい人は浩介が無魔力だと甘く見て低位の隷属の首輪を付けていたらしい。
その上この研究者は実験は成功したと思い喜んでる所で隷属が効いてないことがわかり、動揺して戦闘準備すら出来ていない。
一方、浩介の方は自分の中にある精霊の力に高揚して、テンションがおかしくなっていた。
今まで魔法が使えなかったのでそのツケみたいのがここで出たのだろう。
「喰らえ、ファイヤーバーストーーーーー」
精霊の力を使うのにそんな呪文必要ないのだが気分が高揚していてちょっと中二病感が出ていたりする。
「なっ!!『火の精霊よ攻撃を防げ』」
研究者が慌てて魔法で防御するが炎の勢いが強すぎて精霊による防御が破られ研究者に火が燃え移る。
このまま研究者が燃えてやられるかと思われた時、火災ようのスプリンクラーが浩介の魔法で壊れ水が一気に研究者にかかり火は消える。
完全に勝ったと思い喜んでる所で研究者が精霊術を繰り出す。
『火の精霊よ火の業火を飛ばせ』
研究者の精霊術が油断していた浩介にぶつかる。
「やったか?」
研究者の放った巨大な火の玉の魔法が浩介に直撃し煙が起こってどうなったか見えない状態だった。
普通の人間ならこれでおしまいだろうが、よく考えて欲しい浩介はこの研究者の実験によって火の精霊の力を移植されいわば火の半精霊のような存在になっていた。
火の精霊に火の精霊術が効くだろうか?
否、効かない。
よって
「こんなもん効くかーー!」
浩介が煙を炎で吹き飛ばす。
「なんだと!?これではどうすれば…そういえば」
もう研究者には打つ手がないように思われた時研究者が精霊が暴走したときの保険として用意していた物を思い出し、その装置のスイッチをポケットから出した。
運良くスイッチは最初の炎で燃えていなった。
「このスイッチを押すとこの研究所内にガスが噴出される。これでお前と心中だ!」
最初の炎でガスマスクが燃えてしまったので研究者はこの方法しかなかった。
「ヤメローーー」
浩介は叫びながら炎を噴射した。
炎が研究者を包み込んだとほぼ同時にガスが噴出された。
その後、浩介は気絶した。