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13 ⑤


蓮姫の手を握り返した未月の顔はやはり無表情だが、蓮姫は嬉しそうに笑顔を浮かべる。


火狼もおどけたように二人のそばに行くと、未月の肩をバンバンと叩いた。


「よっしゃ!こいつの名前も決まって何よりじゃん!」


未月は小さく「なんで…叩く?」と首を(ひね)った。


(なご)やかな雰囲気の中、ユージーンは未月へと寄ると厳しい表情を崩さずに彼へと声をかける。


「未月。たった今からお前は姫様の従者だ。何があろうと姫様に仕える事、姫様をお守りする事を(きも)(めい)じておけ」


「…うん。わかった。…俺…弐の姫守る」


ユージーンの言葉に頷く未月。


だが彼の言葉に、ユージーンは今のうちに指摘しなければならない事があると気づく。


「……それともう一つ。今後は姫様の事を『弐の姫』と呼ぶな。姫様を弐の姫だと公言(こうげん)してしまえば、姫様が危険に(さら)される」


それは『弐の姫』である蓮姫を守る為に必要なこと。


もし蓮姫達が街中や人混みにいる中で、不用意に彼女が『弐の姫』だと知れてしまえば、その場にいる者全てを敵に回す事さえありうる。


王都にいた時のように石を投げられる事だってあるかもしれない。


それほどまでに『弐の姫』という存在は、この世界に嫌われ、(うと)まれる存在なのだから。


「…弐の姫……呼んじゃダメ?……なら…なんて呼ぶ?」


ユージーンの言葉に首を傾げながら未月は尋ねる。


「え~?やっぱそこは『姫様』じゃね?俺は『姫さん』だけどさ。姫、ってだけなら貴族の姫や偉い屋敷のお嬢様、って思われるだろうし。現に今まで疑われた事もねぇし。うん。意外とバレないもんよね~」


「何より俺達と姫様の上下関係が他人にもわかるからな」


火狼とユージーンの話を聞くと、未月は蓮姫へと視線を向ける。


蓮姫は彼の意図がわかったのか、笑みを崩さずに優しく語りかけた。


「なんでもいいよ。それこそ『蓮』って愛称でもいいし」


「姫様、それは俺が全力で阻止しますからね」


ユージーンの笑顔の抗議に蓮姫も彼を軽く睨むが、一度咳払いすると未月へと向き直る。


「未月の呼びたいように呼んで」


「俺の……呼びたいように…」


蓮姫の言葉をオウム返しする未月。


彼は蓮姫をじっ……と見つめた後、目を閉じて蓮姫との記憶を脳裏に(めぐ)らす。


玉華で襲った際、彼女を守る結界を無理矢理壊そうとして傷ついた体を、心配してくれた蓮姫。


任務の為に生きて死ぬ、それだけを考え行動していた自分の事を「悲しい」と言った蓮姫。


敵である自分の事を、自分の事のように傷つき、悲しんでくれた蓮姫。


そして優しく微笑みながら自分の頭を撫でたり、手を握ってくれた蓮姫。


未月はゆっくり目を開くと、自分の手のひらを見つめ、スッと自分の頭を自分で撫でてみる。


自分で撫でた頭は、蓮姫にされた時のような温かさは感じない。


ふと、玉華で若様が呟いた言葉が頭に響いた。



『 …………ってのはあったかくて、優しいもんさ 』



脳裏に響くその言葉にハッとした未月は、蓮姫へと真っ直ぐ視線を向ける。


そして、この場にいる誰もが予想しなかった言葉を蓮姫に向けて呟いた。



「………母さん」



「…………え?」


「…は?」


「…へ?」


未月の言葉に蓮姫は一瞬反応が遅れた。


それはユージーンと火狼も同じで、キョトンと目が点になっている。


言った張本人、未月は一見(いっけん)すると無表情だが、その目には何処か期待がこもっているようにも見える。


蓮姫は自分の聞き間違いかも、と未月に再度尋ねた。


「ごめん、未月…今……なんて?」


しかし彼の答えは変わらない。


むしろ彼自身には、蓮姫達が感じた疑問やら抵抗やらは一切無いのだろう。


「……母さん。…弐の姫……母さんみたいだから……ダメ?」


未月はやはり真っ直ぐな目で、蓮姫への視線を()らすことなく尋ねた。


純粋そうな未月の視線を受け、蓮姫は苦笑しながら、う~ん、と(うな)る。


「ダメじゃ……ないけど…」


「いいや、ダメだ。もっと他の呼び方にしろ。普通に『姫様』の方がいい。そうしろ未月」


蓮姫の言葉を遮りユージーンは淡々と未月へと告げる。


命令じみた発言だが、その声には怒りよりも呆れがこめられていた。


火狼はその様子に吹き出してしまう。


「ぷっ、ハハハ!さすがに姫さんに『母さん』はダメじゃね~?お前意外と面白い事言うな~」


「…俺…面白い?……そうなのか?」


「おっと……自覚無しかい。天然も入ってんな、こりゃ」


火狼の言葉の意味が本当にわからないのか、先程から首を(ひね)ってばかりの未月。


そんな彼の様子を見て蓮姫は一つため息をつくと、苦笑のまま未月へと告げた。


「いいよ。『母さん』で。好きに呼んで、って言ったのは私の方だもんね」


「いいえ。全然良くありません。俺は反対ですよ。却下です」


「そんなジーンの意見を却下します」


悪戯(いたずら)()のように蓮姫はユージーンへと舌を出す。


可愛らしい仕草だが、ユージーンは口の(はし)をヒクヒクと震わせた。


相手が蓮姫でなければ「何言ってんだこのクソアマ」くらいの罵声(ばせい)が飛んでいたことだろう。


「ジーン。私はもう決めた。ジーンに何を言われても考えは変えない。未月がそう呼びたいなら私はそれで…『母さん』でいい」


「街中とかで変な目で見られますよ?」


「いちいち他人の目を気にしてたらキリがない。そうでしょ?」


「ああ言えばこう言う……」


ユージーンは軽く蓮姫を睨むが、そんな彼の視線にも蓮姫は怯むことなく、むしろ口元には笑みを浮かべていた。


蓮姫はちゃんとわかっている。


どれだけ反対しても彼がこの後、どう出るのか。


しばし見つめあった後、ユージーンは深く……それはもう先程の蓮姫がしたものとは比べ物にならない程、大袈裟にため息をついた。


「はぁ~~~~~……わかりました。えぇ、わかりましたよ。姫様のお好きなように」


「ふふ。ありがと」


結局は折れてくれる自分に甘い従者に、蓮姫は満足気に微笑んだ。


主から笑顔を向けられても、当のユージーンは何処か疲れたような顔つきをしている。


「姫様のわがままは今に始まった事じゃありませんが…たまに……(ごく)たま~にですよ?腹が立って、イラッときて、ムカついて、(はらわた)煮えくり返る時がありますね」


「大丈夫。お互い様」


ユージーンからの盛大な嫌味に、蓮姫は笑顔を崩すことなく言い放った。


火狼はそんな二人のやりとりを見て、純粋に「(こえ)~」とビビリながら震える体を抱きしめる。


そんな火狼の様子に気づきながらもあえて触れる事はせず、蓮姫は未月へと向き直った。


「『母さん』でいいよ。(あらた)めてもう一度、よろしくね。未月」


「……うん。…俺…母さん守る」


未月はしっかりと蓮姫の目を見据えると、大きく頷いた。


その蒼い瞳には一切の迷いも曇りもない。


蓮姫を守る、というのは彼の本心なのだろう。


そんな未月の姿にユージーンも火狼も彼を新たな仲間として認めたのか、自然と口元に笑みが浮かんだ。


「うっし!こいつの名前も姫さんへのおもしろ…いや、新しい呼び方も決まった!で、これからどうするよ?姫さん」


つい本音を()らしそうになる火狼だが、(あわ)てて取り繕い蓮姫へと今後の指示を(あお)ぐ。


「とりあえず…玉華を抜ける。少し時間はかかったけど、朝日が登りきる前に少しでも玉華から離れないと」


「クソガキ……いえ、婚約者殿が目を覚まし事態に気づけば、直ぐに姫様を追いかけ王都へ連れ戻そうとしますからね。善は急げです。出発しましょう」


レオナルドをクソガキ呼ばわりするユージーンだったが、蓮姫からの鋭い視線を感じて言い直す。


そしてその言葉を合図に蓮姫達は揃って玉華に背を向け森の中を歩きだした。


前からユージーン、蓮姫、蓮姫の隣に未月、最後尾に火狼という布陣(ふじん)で。


ちなみにノアールは蓮姫の隣をチョコチョコと早足でついて行った。



しかし数分で先頭を歩いていたユージーンは、足を止めて後ろを振り返る。


最後尾を歩いていた火狼も何かに気づいたのか、未月とは逆…蓮姫の隣に立つとその身を構えた。


未月は慌てる様子も構える様子もないが、今来た道の先を見つめている。


「どうしたの?」


「姫様。後方から誰か……いや、何か来ます。敵意は感じませんが、一応結界の準備はしておいて下さい」


ユージーンの言葉に蓮姫はノアールを抱きかかえると、森の奥を見つめる。


目視は出来ないが、耳をすませると複数の足音が聞こえた。


何かが……それも複数で近づいて来ている。


「もしかして……反乱軍の残党?」


蓮姫はチラリと未月へと視線を向けるが、未月はふるふると首を振った。


「違う。……この気配…知らない奴…」


未月の言葉に少なからず安心した蓮姫だったが、段々と近づく得体の知れぬ足音に身を固くする。


火狼はいつでも飛び出し攻撃出来るよう、魔力を集中させた。


ユージーンは蓮姫から離れた場所にいるが、前方だけでなく後方、左右と広い範囲への警戒を(おこた)らない。


足音は徐々にハッキリと聞こえてくる。


そして森の中の暗がりに現れたのは、一人の男性と三頭の天馬だった。


男性は蓮姫達を認識すると、全力で駆け寄り蓮姫へと跪いた。


「弐の姫様!私は飛龍元帥より(めい)を受けた者でございます!」


「元帥から…ですか?」


その言葉にキョトンと聞き返す蓮姫。


まだ元帥は自分達に何か用事があったのだろうか?と。


現れた男性の様子を見て無害だと認識したユージーン達は警戒をとく。


彼の言葉に敵意は元より、偽りも感じなかったからだ。


ユージーンは蓮姫の隣へと足を進め男性へと問いかける。


「どうやら、王都から共に来た元帥の部下のようですね」


「ジーン、その人の言ってる事は本当。天馬の中に元帥の愛馬(あいば)黒天(こくてん)がいる。間違いない」


蓮姫は三頭の中の真ん中にいる黒い天馬を見て告げる。


かつて王都で乗った天馬だった。


天馬……それも全体的に黒い天馬など見分けがつかなそうだが、蓮姫は黒天のまとう雰囲気で間違いないと確信していた。


蓮姫は恐れることなく黒天へと近づくと、その顔を撫でてやる。


「久しぶりだね、黒天」


「ヒヒン」


蓮姫の言葉に答えるよう、ひと鳴きする黒天は、何処か懐かしい友にあったように嬉しそうだ。


「で?元帥の部下さんが天馬まで連れてどうしたん?」


火狼はもやは全く警戒せず、両手を頭の後ろに組みながら男性へと声をかける。


「はっ。飛龍元帥より言伝(ことづて)を弐の姫様にお預かりしております。『弐の姫様、玉華をおたちになる際はこの天馬をお使い下さい』とのことです」


「天馬を…ですか?」


「はっ。少しでも弐の姫様方の旅路が楽になるように、と元帥はお考えなのです」


「ですが……大事な愛馬を借りるのは正直気が引けます」


「ご心配には及びません、弐の姫様。弐の姫様のお役に立てるのでしたらこの天馬も元帥も、他の主とて本望でしょう」


蓮姫の言葉に男性はうやうやしく頭を下げたまま告げる。


その様子にユージーンも立ったままだが、彼へと頭を下げた。


「元帥に『お心遣(こころづか)い痛み入ります。ありがたく天馬はお借り致します』とお伝え下さい。姫様、よろしいですね?」


「……うん。せっかくの元帥からの好意を無駄には出来ない。私からも『ありがとうございます』と、弐の姫が大変喜んでいたとお伝え下さい。お願いします」


「弐の姫様のお言葉、しかと元帥にお伝え致しましょう。……しかし………天馬が一頭足りませんでしたね。申し訳ございません。弐の姫様の従者は二名と聞いておりましたので……すぐ玉華より、もう一頭連れて参りますので!」


申し訳なさそうに告げる男性は直ぐにでも玉華へ駆け出しそうな勢いだ。


だがユージーンがそれを止める。


「いいえ、結構ですよ。他の二頭はともかく、そこの黒い天馬ならば大人二人が乗っても問題ないでしょうから」


「し、しかし…」


「それに姫様の旅は先を急ぐもの。ご理解頂ければ幸いです」


「っ、も、申し訳ございません」


ユージーンの言葉に再度頭を深く下げる男性。


「ですがもう一つだけ。元帥より、弐の姫様にお聞きするよう(めい)じられた事がございます」


「なんですか?」


「弐の姫様は今後……どちらへお向かいに?」


「姫様はこれから東へ向かう予定だ、と元帥にお伝え下さい」


「ジーン?」


顔を上げて尋ねる男性に答えたのは、蓮姫ではなくユージーンの方だった。


初めて今後の予定を知った蓮姫はユージーンへと顔を向けるが、彼はウィンクするだけ。


「かしこまりました。しかと元帥にはお伝え致します」


「ありがとうございます。我等は先を急ぎますが、貴方も元帥の元へと直ぐにお戻り下さい。玉華もまだ大変な時期でしょうから、お見送りは結構です」


「は、はぁ。では弐の姫様、旅のご無事を元帥共々お祈り申し上げます」


「わざわざありがとうございました。道中お気をつけて」


再度一礼する男性に蓮姫が労いの言葉をかけると、男性は立ち上がり玉華へと戻っていった。


三頭の天馬を残して。


「やっり~!天馬なんざありがたいじゃん。これで徒歩のキっツい旅から優雅な旅へ変更ってね~」


火狼はスキップしながら天馬へと駆け寄るが、黒天はフイッとそっぽを向いてしまう。


「ありゃ?俺ってば嫌われてる?」


「黒天はあんまり人に懐かないらしいよ。狼は後ろの茶色い子か白い子にしたら?」


「姫様は俺と一緒にその黒いのに乗って下さい」


ユージーンが黒天へと近づくと、黒天は警戒したように(いなな)く。


だがユージーンは構わず黒天の手網(たづな)を握り、黒天の目を鋭い眼光で返す。


黒天は興奮したようにユージーンから逃れようと暴れるが、彼が手綱を握っている為それは叶わない。


黒天の大きな瞳がユージーンの紅い瞳を写す。


暫くすると黒天は暴れるのをやめ、ユージーンに対し頭を下げた。


「ジーン。何をしたの?」


「ノアの時と同じですよ。俺の方が格上だとわからせたんです。相手は動物なので上下関係には敏感(びんかん)……従順なので楽でいいですね」


そう告げるユージーンが黒天の背を撫でると、黒天はもはや警戒も抵抗もしない。


ユージーンの言葉通り、彼を格上の存在だと認識したようだ。


「まぁ…力任せよりいいけど。…あ、さっきの『東へ向かう』ってどういうこと?」


「こっから東ってことは~……海を渡るってことかい、旦那?」


蓮姫の問いに火狼も一緒に尋ねる。


ユージーンは頷きながら、そうだ、と答えた。


「正確には海の向こう……『大和(やまと)』に行こうと思います。天馬なら海を渡るのも容易(たやす)い上にあのガ……公爵の息子も簡単には追いつけません」


「どうして大和(やまと)に?」


「姫様は世界を見て周り、知りたいのでしょう?なら様々な国や文化を見るべきかと思いまして。大和(やまと)(みかど)体制(たいせい)の元で統治される都です。王都のように貴族と庶民の格差がハッキリしていますが、その文化は王都とは全然違いますからね。見て損は無いと思いますよ」


「なるほど。なら次の目的地は『 大和』で決定。直ぐに出発しよう。……よろしくね、黒天」


蓮姫は黒天の背を優しく撫でると、王都で習った時のように飛び乗った。


ふと下を見るとノアールが蓮姫をジト…と見つめている。


「ノア?」


蓮姫の呼びかけに、珍しくノアールはプイッとそっぽを向いた。


「もしかして……拗ねてるの?」


「……にゃあ~」


どうやら蓮姫に撫でられる黒天の姿を見て嫉妬しているようだ。


「ふふ。ごめんごめん。黒天も好きだけど…一番はノアだよ。だから…おいで」


蓮姫が両手を広げるとノアールはチラリと蓮姫の方へと目を向ける。


蓮姫が満面の笑みを向けると、ノアールも蓮姫の胸目掛けピョンッ!と飛び乗った。


蓮姫がよしよしとノアールを撫でている間、ユージーンも蓮姫の後ろへと飛び乗る。


「よっ、と。姫様、準備はよろしいですか?」


「いつでも大丈夫」


「お前ら……も大丈夫そうだな」


ユージーンが後ろを振り向いて尋ねると、火狼と未月はそれぞれ白い天馬と茶毛の天馬に跨っていた。


二人とも手馴れたように手網を握り、天馬を黒天へと近づける。


「一応聞くが…天馬の経験はあるか?無きゃ無いで置いてく」


「残念でした~。ちゃんと天馬くらい乗れますもんね~」


「…残念?……わからないけど…俺も乗れる」


「ふふっ。全員無事に出発出来そう」


「俺としては残念なんですけどね。では姫様、ノアを服の中にでも片付けて下さい。……行きますよっ!!」


蓮姫がノアールを服の中に入れるのを確認すると、手綱を打ち付けるユージーン。


それを合図に黒天は勢いよく走り出す。


そして力強く地面を蹴り出すと大きな翼で空へと羽ばたいた。


森の木々をあっという間に飛び越し、眼下には森だけでなく玉華の街まで見渡せる。


蓮姫がチラリと後ろを見ると、火狼も未月もちゃんとついてきていた。


風をきり大空を翔け進める天馬。


蓮姫は風を全身に受けながら興奮を抑えられずにいる。


「…凄い…凄いっ!ペガサスで空を飛んでる!」


「そりゃ天馬が空を飛べなかったらただの馬ですからね。それに姫様だって、その気になれば想造力で空くらい飛べるでしょうに…」


「……色々と台無しにしないでくれる?」


ユージーンの余計な一言にせっかくの気分を台無しにされた蓮姫。


だがそれすらも些細(ささい)なことに感じる程に、蓮姫の心はときめいていた。



天馬は翔ける。



いつの間にか玉華は遥か後方に。



目指すは海を越えた次の大陸。



蓮姫とその従者達は進んでいく。



新しい土地へと。


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