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LAST-ZERO-  作者: 新門JACK
01 田中悠介
5/10

05 ヘンカ(2)

あともう一回更新します。

「……そうですか」


 それ以外に何と答えられるだろうか。

もう身体は変化してしまったのだ。なんと文句を言っても最終的には受け入れなければならない事実。頭ではわかっている。頭はわかっているけど、心がついていかない。


「……そうですか……」

「……田中悠介」

「すいませんが、独りにしていただけませんか」

「だが」

「お願いします」

「……わかった。まだ説明しなければいけないことがあるから二時間後にまた来る。行くぞ、木村」

「はあーーーい」


 つまらなさそうにしていた木村はイエーイとすたこらと病室から出て行った。アイツは何者なんだろう。医者か看護士かと思っていたが、人格的に違うような気がする。もっと医療に携わる人はこう……人格的に良い人っていうイメージがあった。


 出て行く彼らを見送ると俺は再びベッドに横たわる気が起きなくて、ベッドの上に座る。手足やお腹、くまなく新しい自分を舐めまわすようにして観察した。端から見ればすごい怪しい人だ……。

 立ってみるとこれまた180センチはありそうなモデルスタイル。前身は160とちょっとしかなかった身としては嬉しい。

 試しに笑ってみると鏡の青年はとても爽やかな笑顔を作った。……なんということだ。そこらへんの読モよりかっこいい。

 一番驚くべきなのは、大怪我しているはずの身体には傷ひとつないこと。これも新薬の効果なのだろうか。瀕死の状態から健康状態に……。つくづく考えると恐ろしい薬のように思える。

 

「俺の考えるべきことはこれでないな……」


 一時は混乱していたが、時間が経つにつれて冷静さが戻ってきたことが自分でもわかる。不思議と寂しいとか怒りは湧いてこなかった。あれ、いつも俺はこんな薄情な人間だっただろうか。

 もしかして俺が俺だって思ってる自分は実は別の存在だったりすることはあるのか。証拠はない。俺が俺であった証拠はどこにも……。







_____

_________

______________



「……少し落ち着いたみたいだな」


 扉の方を見ると清水とその後ろに木村が立っていた。木村だけが相変わらず飄々としている。


「俺………今の自分を受け入れたいと思います」

「……そう言ってくれて助かる。今からで申し訳ないんだがこれに着替えてくれ」

「スーツですか?」

「これからお前の告別式だ。家族と自分にけじめをつけて来い」






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