第1話 戦地・尋宿
日本。宝京都。
宝京の都会に宝京四煌獣が集結する時が……組織、フォーブライトの誕生の時である。
四煌獣に選ばれた者を狗零徒と呼ぶ煌獣戦士として、この世に復活した鼬皇、凶麟とその軍を撃ち破るよう、仲間と共に戦わなくてはならなかった。
希麟館。
煌獣の顕現に値する実力派の子供の養成施設である。
希麟館出身の漣詩、灰弩、魅紗たちが次の希麟児となる新たな戦士探しをしている中――。
尋宿駅前。鼬皇の手先、先発兵・アンダーウィーゼルたちが試しに戦士たちをおびきだそうとゾロゾロと現れてきたのだ。
逃げまわる都会人と警察官たち。警察力は、発砲しても弾丸を手で捕まれ破砕されたので、敵前逃亡しか手段はなかった。
尋宿駅にやっとのことでド田舎『霧初』からきた豪舞は、都会の世界が物珍しかったという。
「ここが、宝京、尋宿かぁ!! 都会はすげーな」
「なにを悠長な!! ここ一帯は一時封鎖区になるんだ。早く避難しろ!!」
見知らぬ男が豪舞に説教するので、思わず襟首を引っ張ってしまった少年だった。
「てめえ!」
「やっ……る……のか?」
「ちげーよ。いったい全体何があったか教えてくれよ」
「武装怪人集団がどこからともなくやって来て尋宿ジャックしてきたんだよ」
「怪人だと? まさか、奴らか?」
「あんた……知ってるのか?」
「ふんっ、腕試しに何とかしてやらぁ」
「何だか知らないが、余り関わるなよな」
「ダイジョブ、ダイジョブ!!」
襟首外すと、豪舞は駅の外に出た。
「飛んで火に入る夏の虫が……ノコノコやって来るとはな。オマエよう、煌獣持ちの少年だなっ!!」
「ごちゃごちゃと……くだらん話は苦手なんだ。さっさと終わらせてもらうぜ」
尋宿駅前でオーラに似た雰囲気『閃煌』を察知した希麟館の戦士たち。
「この閃煌の塊、全部で5、6つか?」
灰弩が閃煌を感じて述べだした。
続いて魅紗が指をさして誘導していった。
「みんな、あっちよ。あっちから強い閃煌反応がしたわ」
「そのうちの一つが小さいです。いや、次第に低くなった。どうなってるのでしょう!?」
漣詩が綺麗な口ぶりで疑問を言い出したのだ。魅紗たちはそれは後回しだと急いだという。
尋宿駅前。
交通規制され、人っ子ひとりいない中で、日本人の少年一人と、訳の判らぬ武装勢力が接触していた。
少年の気合いは次第に消えかかったのだ。
「カトンボがでしゃばるからさ。そうら……」
放り出された豪舞。身も心もボロボロだ。
「お~……めえら……」
「くたばれよ、カトンボ風情がっー!!」
その時、漣詩の持つ連武綱でトドメさすアンダーウィーゼルの一兵士を捕らえた。
「何だ? このロープは?」
「デスロープです。ロープ先を触れれば死の淵に誘います」
「猪口才な!! 貴様から死ねー!!」
「連武綱掻爪ー!!」
「何ィー!! ギャアア!!」
一兵士は一撃で仕留められた。
「あとの残りを始末にいきましょう」
灰弩が漣詩を引き止めた。
「待て!! この俺の勘ではあの兵は、単なる偵察隊らしいぞ」
「でも……」
「この一般人……いえ、あたしたちが探していた4人目だわ」
魅紗の言葉で灰弩が怒りを露にした。
「コイツ……こんな弱っちいヤツだったのか?」
豪舞を丁寧に回収しだした希麟館の少年たち。
敗北した見張り用部隊が倒れた兵士と共に一旦連れ出し、撤退しだした。
希麟館での辛い特訓が、この少年……豪舞に降りかかってくるだなんて、この時まだ当の本人は知らないことであった。