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あかずきん

それは山奥とはほど遠い近未来誰も昔話など知らず

未来ばかりを

手元ばかりを見つめる時代

彼女は銃刀法違反を犯すこともなく厳重に小型の縦長アタッシュケース

を背に縛り付けて物珍しそうに空を覆い隠す建物

その間をまるで巨大な昆虫のように動き回る車を見ていた

しかしそんなことをしている場合ではないと思いながら足を進めると

ふとした路地には時代の異物のような古くさい喫茶店なんかがあってまた足を止めて通行の邪魔をしてしまうのであった


年の頃は二十過ぎかまたは十八と言っていいほど若く

背中で髪をポニーテールに結ぶがそのゴムは今時の可愛いを肥満させたものではなく紫の渋い染め物で実に頬を小麦色に染めている彼女の

行動からは、想像できないほどおしとやかな物に感じる

一見すると犬の首輪にも見えるが、それがあることで雰囲気が引き締まって見えるのは気のせいではないだろう

彼女は道を知っているのか先ほどまでやたらとキョロキョロと辺りを子供のように見渡していが、進み始めると近所とでも言うようにずんずんと先を迷う事なく進んだ


不意に彼女が立ちど待ったとき

それは普通の人間ではハーフマラソンを四倍したくらいの距離であったが

彼女は先も変わらずただ何ともなしに迷いなく気の扉を開けた


それは店先に

「モンブラン」

と書かれた喫茶店であり

果たして彼女はここに来るために、わざまざここ以外の地方から来たのだろうか

中にはいると迷わずトイレに向かう

店の店員もそれが見えなかったのかそれともよほどずぼらなのか

立ちながらセカセカとさきほどと同じように仕事を続行している

彼女はトイレに入ると傍らにいささか短いライフル銃をおくと

今時珍しい座る方の便器の貯水タンクの陶器の蓋をその腕も伸ばして開けた、そこにはいっさい水など入っておらず

ただし渋色の座布団に黒い電話が一つご丁寧に

でんと置かれていた

彼女は迷わず受話器を取るも

普通なら一周びっしりと書かれているダイヤルも一つ真ん中に赤黒いのがあるだけでしかもプュッシュ式であった、

彼女がそれを押すと数秒もせずに無音の電話が突然繋がる

その受話器からは異様に明るい昔の南米の音楽が流され静かなトイレの喫茶店を嫌に賑わすが、反響を使った高価な防音設備のため響かない

「もしもし」

それはまるで熟れたトマトのように誠実で水を得たようなみずみずしく全てを受け入れそして流す残忍さもあるように思える実にこの時代にはない

率直な良い声だった

「ちょっとうるさいわね」

果たしてそれは、この騒音に言っているのかそれとも彼女に言っているのか、声の主はおじさんのような貫禄の良い声をしたおばさんのような声で

「あんたの知りたい情報は何だい」

とまるで人を値めつけるような態度で、電話越しから威嚇でもするように話しかけた

「ちょっとその態度はないんじゃない」

それはこの引き締まった恐るべき体力を有する女ではなく

電話越しから彼女と同年代と思われる若い男の声であった

「あっリンタロウ」思わず彼女はその声に反応を示す

「そう、ままがごめんね、そんなつっけんどうで」

それは、母の態度とは百八十度違う親しげ度マックスな声であったが

「何言ってんのさこれは彼女のためを思って」

とさきほど前の威圧な声から、何とも優しげな声になった

「ごめんね、ずきんちゃん、それで用件なんだけどさ」

ともうあの演技は必要ないと思ったのか

それともあの後では調子が悪いと考えたのかは、分からないがしかし彼女は話し始める

「あんたの父と母それにお祖父さん叔母さんまで殺した奴の正体なんだけど、もしかしたら怪物かも知れない」

この時代、いやこの時代になる少し前

人間は機械による戦争では後々取り返しが付かなくなることを恐れ

彼らは機械に変わり生物同士を戦わせてその勝負を決めることが決定た

それは人ではない生き物、昔で言うキメラのような化け物

国同士をあらそう戦争を、一個のスタジアムの中で勝負を付けた

しかしその場所は、地下二十階相当で、誰も上に上がることが出来ない上での設計、そして爆破が義務付けられた決定事項のまさに殺し合いの

コロシアムに他なかった

国は生物兵器に全国力を使い挑んだ

その末起きたことは、政府にしか分からないが

しかし今の現状から見て、それは皆相討ちか、死んだと取るのが一般的であり、そのおかげ問い言うのか今の世界には国境という制度が撤廃されて

いわゆるフリーダムであり、また大昔の言葉で言えば

「国境のない世界」とでも言うのだろうが知らない

とにかく少しは死人が少なくなったことは、調査票を見れば一目瞭然のことであった

「・・・・本当だったんだ」

彼女はそう呟いた

百戦錬磨のその母と言われる人物さえその感情が分からないほどだったが

しかし電話越しの彼女は笑っていた

全身の気を体に握りつぶし押し殺し何一つとして逃がさず漏らさず

その力が異様な悲しみを彼女に敵を与えられたという事により

彼女自身も分からないうちに漏らした、そんな笑みを浮かべさせた

「あんたも頑張ってきたけどちょっと待ちなずきん、準備って物がある」

しかし彼女の電話がポニーテールのずきんと呼ばれた女に届くことはなかった、なぜなら彼女はいつの間にか喫茶店を出て暗い長野の町を歩いていたからだった


彼女はその日路地裏のダンボール置き場の近くに良さげな寝床を見つけ新聞紙にかむり、深く帽子を顔にかけて眠りについた

「おっおい起きなさいここは所有地だ」

ひどく不機嫌で偉そうなくせして臆病な声が上から降ってくる

「何なんだよもー」

彼女はそれを物とも思わずぐずりながら、起き出すと新聞紙が

「グシャグシャ」と鳴り、顔がようやくその声の主の所にでる

それはひどく不細工なへちまを上と下から無理矢理万力で潰したような顔で、逆ブルドックといっても過言ではない不機嫌顔だ

「きっき様子供か」

男は心底うんざりしたようにそういうと私の帽子を取ろうと腕も伸ばしてきたので、逆に自分のほうへそれを引っ張ってやると男は驚いたように身を引こうとしたが時すでに遅く、こちらに来ていた体重を流すようにひぱったのだからそれはすーと汚い路地に転げくしゃげた


「おっおい」

その無駄にほえるような声を無視して私は路地裏から人混みの多かった町のほうえ駆ける、森と違って蠢く人を避けるのには骨が折れるが

あの不細工な警官はよほど体が大きいか動くのが苦手なのか途中で人の波に飲まれて、姿が見えなくなると私はすぐさまゆっくりと波に飲まれながら適当にどこで食べようかとファースト店を覗きながら歩く


その中でハンバーガーショップの中にはいることにするのだが

そこで要らぬ物を発見した

「おっおばば」

彼女はそういうと入り口に向かおうとしたが

「おいずきんこっちに来い」

それは店の中だというのに、異様に大きな声で呼ぶ、仕方なく周りを普段あまり気にする性格ではないが、彼女はその二人掛けのテーブルで、ブルーベリーパイを十個ほどトレイに溢れかえらせて食べている強欲な女を

見ながら席に着いた

「へい、珈琲2杯」

どこかアメリカンな口調で彼女は絶対カウンターで頼む物のはずだがその並んでいる客を見事に無視して一人の若い女性定員に声をかけた

「おばば、並ばないといけないんじゃないの」

ずきんはそういって彼女を制そうとしたが

こちらに急いできた女性定員は見事なお面の笑顔で

「いえお客様こちらの店では珈琲は無料ですので」

そお言って紙コップ二つを机に置き、珈琲を注ぐ

そのガラスの入れ物からそれがコップへ移るのはなかなか見事で美しかった

「あんがとね、ねーちゃん」

見事に人を小馬鹿にしたような言い方に

「すいません」

と普段なら、たいていのことは気にもしない彼女がポーニーテールを揺らしながら謝った


そんなあわただしい店の中でばばは、声を抑えて

「あれはウルフだ、、ブラックのウルフ」

「・・・・狼が居るのか」

「・・・ああそうだ奴の凶暴さは手に終えないどころの話ではない」

「しかし奴は今何処にいるんだニュースにでもなっていて良いはずだが」

「有無そこだ、あいつらは相手に勝つためにあらゆる改造そして遺伝子を徹底的に改造された、そこで考えつくことが一つある」

そお言って歳でシワシワなのに何処か気品というか生命力の固まりみたいな雰囲気をした人差し指を一本無造作に前に突き出して

「人間の知能が入っている可能性があるかもしれん」

「・・・・つまり狼男って事」

「いやそこまでは分からんが、しかしそうも考えられる」

そういってブルベリーパイをがぶりとがぶついた

「でも何で人間の知能なんて必要だったのかな」

「それは」そおいって紫のジャムの付いた口を赤い下で舐めてから

「それは人間が一番愚かだからだ」と答えにならないナゾナゾのようなことを真顔で言う

「それってどういう事」

「うん、つまりだ、人とは違う可能性に突き進むように出来ている」

「でもそれが恐怖心を生んだら戦闘どころじゃなくなるのでは」

「そうそこだ」ブルーベリーを握りしめていったため

宙を舞ったそれが床に血のような文様を描いたが話は続けた

「人はイヤだという事を変えようとする、即ちあみだくじを無限に延ばしていくようなもの、それも何処に行き着き分けでもない支離滅裂に行けるところまで」

「それは良いけどどうやって見つける」

「そんなの簡単さ」

ばばはそおいって鞄から無造作に小型電話を取り出して机に置いた

「国が定めた規定には、地下20回で行われた試合に出す生物には必ず半永久的に動く発信機の取り付けが義務付けられていたそれなら」

そお言ってその携帯らしい小型機の画面横に付いてあるボタンを押すと

いきなり画面が変わり、暗い黒に赤い文字でなにやら英語が浮かび次に

地図が現れる、そしてそこに赤い点が点滅していた

「えーーーと」

アップルパイを置いて画面を横目に操作するおば場

「どうやら、木島と言うところにいるらしい」

それはよく言う「鬼島=木島」という隔離された地域を指す言葉のようであったが果たして、モンスターが居るのには実にかっこうの良い場所に思えた



私はばばにそれを譲り受けてそれを頼りに歩いていた

「ここか」

それはどうも寂れた廃ビルのようで、今時珍しくも何ともない地上100階以上はありそうなそれにため息が出た

「どれだけ時間が、かかる物やら」

私は気を引き締めて背中に背負っていたアタッシュケースを地面に置いてそれを取り出すと片手に、それにはいった


夏だというのに異常に寒いそれは、更にジドーと濡れ新聞を体に

巻き付けるような湿りがあり不快感がマックスになりそうになるが押さえて歩く

片手には発信器をたどる物をもちながら歩くがあくまでも航空写真程度の機能なので後は近づくと音が大きくなる程度の機能しかない

しかし今はそれで十分だ

ここには誰かいる、いや間違いなく何かがいる気配を感じる

それは人ではない何か、そう、全て消されたはずのモンスターの生き残り

どうして爆破された生き物が、生き物と言って良いのかは分からない

しかしそれがどのようにして地上まででれたのだろう


今現在その可能性を誰もが否定してそして証拠はない

しかし私の父と母は


その時だった、暗闇の中でかすかに空気が動くのを感じる

急いで身を潜めその辺りを探るが、いっこうに気配はあるのにその正体が現れない、コクコクと時だけが流れるがそれは見あたらない

暗すぎて隠れているのに見えない可能性もないではないが

赤野アカノ 頭巾ズキンという女は日頃からこういうことを想定して夜目を馴らしているので、そこまでは暗くない、正直昼間と少しも変わらない位なのだが、彼女の焦る気持ちが嫌に冷静な心音を乱す


こくまた一刻と時が流れた

その時だった

彼女の頭上の天井が脆く崩れ土煙と共に何か彼女に襲いかかった


私はすぐさま後ろに跳びながら嫌に俊敏なそれに的を定めて引き金を引こうとしたが、それは消えていた

いや消えたのではなく身を引いた、と言った方がいいのか

もしかすると試しに襲った、もしくはこれから私をちょくちょく襲い

気力と体力を奪う気か

そんなことを考えていたが地面のボロく埃まみれの絨毯に通常の犬とは比べものにもならないくらい大きな足跡が廊下の奥に続いていた


何処までも白く濁った霧のような煙の中

僕はただただ逃げまどっていた

どれ位あそこで眠っていただろう

気がつくと僕は外にいた

あの恐ろしい施設から逃げ出すに逃げ出せず

そして悲劇は起こった

僕達は逃げることも出来ずにただただ燃えさかる火の中なにもできず

ただただそこに存在していた

そして気がつくとそこは生き物の焦げる臭いではなく

酷く騒がしく、心を揺さぶる人間と言うなの種が築き上げた物体がある世界にいた

僕は誰かに声をかけようとしたが皆僕の姿を見ると一別して早足で僕から遠ざかる、このままでは誰ともしゃべることができない

僕は勇気をいっして、ある女性に声をかけた、しかし彼女は皆と同じく早足で遠ざかる、しかし今度こそ逃げないと決めた僕は彼女を強引に捉え方を両手で押さえた

「きゃあーーーーだれか」

その女性は叫んだ、直ぐに通りかかった人間が僕を襲い

僕を貶し、蹴り、殴り、乱暴した

僕は周りの人間を振りきり走った

何処までもとにかく人がいないところまで

そこで僕が直ぐに絶望するのも時間の問題だった

何処まで行っても同じ銀色の建物が建ち並び

何処を見ても人がいた

まるで周りを八方塞がりにアリ気囲まれた芋虫の気分だった

そんなとき、僕は気付くとこのビルの前まで来ていた

それは他の何処までも綺麗なものとは違い少なくとも居心地さえ除けば

人に会わずにすみそうだった


たまに人が入ってくることはあっても皆子供だった

そういう奴には少し脅かすとバカみたいに怖がり逃げた

今現在、これほどまでに科学が発展しているというのに

なにを恐れ、なにが分からなくて恐怖するのか、僕にはほとほと理解に苦しむ、幸いここには使えるテレビが何台かあり

近所の配線を失敬することで電気は何とかなった

そこで映し出される光景は、今まで殺すことばかり教えられてきた僕にはとてもとても信じるに耐えない夢物語に違いはない

僕は知らず知らずの内にテレビの中にのめり込んだ


そんなことをしている内に時代は少し進みあれから何年ほどたっただろうか、いつものように子供が来たようで僕は天井裏に潜み相手を観察する

年の頃は18以上25以下と言うところ

服装は気楽なGパンとティーシャツ、それにポケットからなにやら赤いレインコートを着せた小さな人形がついているが、何かのストラップで、ポケットには携帯か何かが入っているのだろう

しかし問題は、彼女の持っている持ち物よりもその彼女が放つ空気というか雰囲気だった

それは手に持ったライフルなんかよりよっぽ危険極まりなく、ぼくは一瞬にしてあのコロシアムの惨劇を思い出す

あんな奴コロシアムにいただろうか

少なくとも人型はそお多くはないが

もしかすると赤ん坊で出た奴が大きく

嫌やつらは最後の最後で、、だとすると違うのか

僕は慎重に奴を天井裏から眺める

勿論気配は消しているが奴があのモンスター並の能力を持っていたら

その意味はないに等しいが、、、

突然やつが動いた、それは気配でも分かるが明らかに何か見つけた物の動きである、僕は久しぶりに何かしてみようと思った


もしかするとモンスター達とは違うのかも知れない

いやひょっとしたら仲間の可能性もなしにしてあらず

僕は試しに奴の前に姿を現してみることにする

しかし奴は瞬時に警戒して身を隠した

そしてその神聖な殺気がビシバシと僕に警戒音を鳴らす

瞬時に元の屋根裏に隠れる

ここは奴よりも数段地の利が有利に効く

少し脅かしついでに戦闘力を計ろうか

そう思いながら一瞬にして脆い天井に全体中を軽くトンとかけるともろ崩れ、奴の頭上に飛び出す、そのままやつめかけ更に力を込めながら落下速度を上げとそのとき

奴は曇って見えないはずの俺に明らかな殺気を向け、手に持ったライフルで俺に標準を会わせた

(マズイ)

俺は急いでスレスレで逃げるとひとまず退散を選択する

いったいあいつは何なのだろう

どちらにしても、もう少し様子を見るべきだ

こんな事なら壊れている監視カメラに、電気線を繋いで見れるようにしておくべきだったと逃げながらふと思う



私はライフルを片手に奴が逃げたくらい廊下を歩く

私にしてみれば外の世界はまぶしすぎてまるで白の中を歩いているようで

この空間はようやくメリハリのある色のある世界であった

空気の流れが徐々に弱まる

臭いは微かにある物の殆ど消えかけている

どういう事かというと逃げられそうだと言うことだ

このまま急いで追いかけるのは得策とは言い難い

何故かというと罠にはまりやすくそん確率を否応もなく格段に上げてしまう


私は足下などに気を配りながら色のある世界を歩いていた



アカノ ズキンが歩く旅に、床が僅かに小つんと音を立てる

それによって周りの空気がいやに静けさをよけいます気がする

彼女は無言でどんどん階を駆けるように静かに歩く

それは一見身軽なようだが、数々のトラップをまるでいとも簡単に避ける姿はとても気軽なんて生やさしい物にはとて思えないが

それを軽く思わせぶりもなくただ平然と足を進めているその姿は異様にも取れた


それは50階を過ぎた頃だろうか

突然静かなビルの中で音がする

「おい、お前は誰だ」

その部屋は酷く臭うがそれが男のせいだとすぐに気付く

「あなたは誰だ」

アカノズキンは優しくもなくかといって冷たいわけでもない感情のない上の空のような声できく

その男はぼろぼろのフードを夏なのに被りちらりと見える補足汚い足は短パンをはいてい他がこちらも同様に汚い

「俺か、俺はここの二人いる住人の内の主だ」

「主」アカノズキンは首を傾げた

果たしてここにそんな所有者がいる物件とも思えず

そして彼がその所有者なら何故にこれほどまでに汚い身なりをしているのか

「あなたが所有者で良いがもう一人とは誰のことだ」

そうもう一人、少なくともこいつではない

こいつのオーラは実に鈍くさくまるで溝鼠のあれに思えた

そして何よりまがまがしい殺気のオーラがいっぺんたりとも漏れることもなく普通の人間に思う

「・・・答えるわけには・・・」

その瞬間アカノズキンは男の開いた口にそのライフとの先端を突っ込んで

「言え」と言う

なまじその顔が変わらない、上の空の何の気もない顔な為男は瞬時にやばいと思う

「ちょっちょと待て、言う言うから」

カチガチとライフルの先端を振るわせながら男が言っても抜かない


言え


彼女はそう軽く先端を揺らすだけで示す


「う、、分かった、」

そう切ってから


「お前の後ろだーーー」と叫んだ



僕としては実にまずいことを思い出していた

と言うのも百階まで抜け道を使いながら上る途中で

「ジン」と言う名の老人がしたのかいにいるであろう事を思いでして

急いで言ってみると案の定要らんことでも言ったのかあいつに襲われていた

「お前の後ろだーーー」

あいつは馬鹿なのか俺のことをばらした

仕方なくそれでもスピードを下げず奴に突進した

運が良ければあのじいさんも死なずに生き残れるかもしれんがもしあいつの首先かっきっても、引き金を引かれてしまえばお陀仏であるのか確定だろう

死かしそいつはそのじいさんの口からライフルの先端を抜き取るとその先端を振り返りざまに僕に向けた

「(あのじじいー)」僕はその先端が僕の鼻先三寸上を狙うのをギリギリ避けて奴と距離を取る

今奴の持っているライフルにしては少し短いがそれでもライフル特有の長いからだからして、接近戦に持ち越したほうが有利だろう

僕はしばらくジグザグに奴の弾が当たりそうにならないように

周りを走り回りながら、隙を狙う

しかしそれは隙なんて内容に的確に間合いを取り近づけさせない

等の老人はいつの分からないウイスキーを銀色の缶からこちらを観戦しながら飲んでいるのだから始末に負えない

今度こそ出て行って貰おう生きていたら


僕は手短にあった物を奴に投げるとその切り詰めた視線がその部一体に向く、そして銃弾がそれを的確に部屋の隅にぶっ飛ばした瞬時

僕は壁を思いっきり蹴り

デカいラウンジの中央にいる老人とあの女のほうへ走った

「パピューン」

髪の毛スレスレを銃弾が走る

それでも足を止めずどんどんと距離をちじめる

後5歩

銃弾が軽く頬をこする

後2歩

足に熱い感覚が広まる何だろう

後〇歩

僕は奴の開いた首筋に顔を寄せて牙を押しつけるようにカもうとした

そうしようとした

しかし奴はポケットから赤い人形を手で掴むとそれを思いっきり引っ張り飛び出た物を握った

それは闇でも良く光り僕を一瞬熱いたぎりから恐怖の淵を眺めさせる

その十字の刻まれたナイフを女は襲いかかる俺をまたあの何の感情もないい、いや、恐怖もなにも、そう普通という言葉が顔から離れないようなそんな顔で俺の胸元を突き刺した

運がいいと言えば俺は別段迷信からい生まれたものではないと言うことと

そのナイフが余りにも短かったために心臓まで肋骨が邪魔して入らなかったことに起因するだろう

しかしどちらにしても痛い物は痛い

だいたい老人がウイスキーを吹きかけて治療したものだから、気が気でも気がない

果たしてなぜ彼女が傷を負った僕を殺さなかったについては



老人が私を制した

彼の羽織っている茶色いうす汚れたマントを一瞬翻すとそ世には裏面一体にビッシリと老人の体というか財政的にはにても似つかわないほど高価そうなメスやら刃物がひしめきあい、シャラシャラと良い音をさせたが今はそんなことはどおでも良い、あの狼の胸にナイフが挟まっているせいで今の私には後ろにあるライフルしかない、しかもほとんど銃弾が残っていない、この老人なら体術で何とかなりそうだがしかし

今一瞬にして私の前に庇い出たそれは

何のオーラいいや空気すら感じなかった

そうまるでふらりと通りすがったとでも言うように


「なああんた、何の恨みがあるかは知らないがこいつの何が恨めしんだ」

「・・・」

「なああんたを殺しても良いが、こいつを助けなくちゃ行けねえ、

そうなると後でと言うわけにはいかない、先に言って逃げて貰うか

今言わずに今死ぬかどちらか選ばしてやるぞ」

男はそれこそ淡々と空気を感じさせない普通さで言うがその言葉の鋭さが彼女との格を重い知らさせた

「母と」

「速くしろ、恨むか恨まないかを聞いている」

「てぇめーー」

それは今までの感情の上下がない明るい人とは思えない重い叫びだった

彼女はライフルを取ると男から距離を取ろうとするが男の投げたナイフが女の腕に食い込み、その白くはないが綺麗な二の腕に赤い汁を滴らせた

しかし女は顔色一つ変えずいや更に濃い憎しみの色をしたその顔は悪鬼にもまた狼にも見えた

「くぅううそぉーおー」

ズキンは二の腕に刺さったままライフルを構えると距離を考えずただただ体中にナイフが突き刺さるのも気にせず

ものすごいスピードで駆けると男に銃口を向け思い続く限りその弾を発射したが、次第に薄れる意識の中、赤くくすみ何なのか分からない絨毯に壊れるように突っ伏した、男には銃弾は一つもかすることはなく後ろの壁に命中した

それは別にアカノズキンの腕が悪かったのでも、私情の中でぶれたわけでもない、それどころかいつもよりも的確だったと言ってもいいだろう

しかし奴はそれを発射する前から見事に避け予想した

その腕だけでももの凄い深層心理の把握者だとも思えるが更に凄いことに男は、今の今まで一歩もそこから動いていないのである


男はアカノが倒れると見向きもせずにそこでようやく一歩歩くと背後で倒れている銀と青の混じったような色の狼の胸の前にしゃがみ込んだ



6 あとがき


終わりはいつも突然に始まり

いつも自分勝手に終わる

果たして彼らはそれをどういう教訓のもと書いたのだろう

どういう経緯で今現在まで残っているのだろう

私ははなはだ意味を分からず途中までこれを書き記す

                     

藤本・智大・ジョン



まだまだ終わらせないよ



私はふとめを覚ますとそこは眼鏡一面に白をたたえた風景があたりを見渡すかぎり広がっている

しかし体中の痛みと共にようやく目がすっきりとあたりを見渡しても視界をぼやかすことも無くなってそこがようやく薬品の匂いが漂う病院という場所だと分かる

「やあ起きたのかい」

私はふと隣で声を聞きそれを確かめるべくとなりを見ると

そこには腹に包帯を巻いた狼がこちらを見ていた


「おっおおおおお前は」

私は声を荒立て震える声で奴に向かって体の痛みを忘れ叫んだ

「やっやあ」

それは実にやさい優男という言葉がピッタリとフィットしそうな男であった、しかし外見はここは動物園かと言うようなものでそのまんま狼なのではあるが、しかし、くさいぐらいその動作は人間なのである

果たして奴が何で私の隣で寝ているのか

少なくともここがまともな病院ではなさそうだ

もし奴が怪我をしても運ばれるのは獣医でありここではない

少なくとも獣医に運ばれてもここにはこないはずである

私は必死で全身の痛みを押さえ沸騰する心のままに中りに何か武器になりそうな物はないかと探すが

そこにあるのは全てが頑丈に固定されたものであり

少なくとも果物ナイフもそれに類する物もなく

あるとすれば頭上にあるライトと私が今まで寝ていた別途と毛布

それとカーテンがあるくらいで

危険とは無関係のまさに極楽とも取れたが

今の私の目の前にいるそれは少なくとも、天女でなければ天使でさえない

まるで悪魔のような物体に思えた

「何なんだお前は」

私は血が出そうな予感がしたが叫ばずに入られんばかった



僕は案の定暴れ出そうとしている彼女を見て実に無様だと思う反面

それほどまでに感情的になれる羨ましさはないにしろ

それ相応の物があるはずで、少なくとも足を踏まれたどうこうではないのは確かだ

「まっまー落ち着いて」

それでも落ち着くとは思えないがしかし何となく慌てふためき殺そうとする彼女を見ているとそんな言葉しかのどの奥から漏れ出すことは僕の選択にはそれしかないように思われた


「まっまあ」

それでも火に油を注いでいるにしてもその怒り狂う彼女

しかも血なんか吐いてこちらを睨み叫んでいる人を目に

ただ黙っていることがどうにも出来ずに落ち着くであろう言葉を思いつくままに出すしかない

「うっああうあ」

それは不意に痛みのあまり半身痙攣のようにばったりと布団に突っ伏してもがいた

まっまずいよな

僕は急いで叫んだ

傷が痛むとかはこの細動でも言い

ここにはナースコールどころか電気が通っていない

「おおぉおおいマスタァアーーーー」

すると

「あっああああ、うるせんだよ、ばーか」

それは普通の人に対しても酷い暴言だが増しては病人に医師が要う言葉ではないだろう

少なくともあいつ等でさえもう少し文法はよかったように記憶している

「っでどうしたんだ、何で女が血ぃ吹いて倒れてんだ」

分かってんなら真顔で世間話してるみたいに話す前に助けろと言いたいが

こいつのことだそんなことを言えばよけい面白がって助けるのが大幅に遅刻する、そんで死んだら悔いても悔いきれず挙げ句の果てに自分とこいつ、諸共化けてくい殺されるかもしれないが、幸い僕は幽霊オカルト類はミジンコほども信用の余地はないほど信じていない

もしいれば最悪だがそんなことはどおでも言い

「暴れて倒れた」

素っ気なく簡潔に言うと

汚い頭をそれと同等に臭う手で掻くと、渋々という風情で彼女の布団によると

「あーーめんどくせ」

と言いながら瞬時、奴は開いた傷口を麻酔無しで縫い始めた

幸い彼女は昏睡なのか走らないが白目をむいて苦しんでいる

それが縫う痛みなのか傷の痛みなのかはしらないが、しかし見ていて良いものではないのは確かだ

「ふーおわったおわった」

男はそういうと手にアルコールを吹きかけて女にも吹きかけた


「でもこいつどうすんだウルフよ」

男は僕に聞く

その開いてんのか半ば怪しい目はいつもよりマジだった

「・・・治ったら出て行くのではないでしょうか」

「ないな」

男は言った

「無いでしょうかね」

僕も半ば諦め気味に同意の念を半ば込めて言う

「う・・ううう」

それは寝ながら呻いていた

それは痛みと言うよりも精神的な苦しさに思えたが

僕に夢を覗く技術はこれほどにもない

男ならどうかわ知らないがもしあっても覗かれたくはない

「それよりもあなたいつまで僕を見張るつもりですか」

僕は何度めかになる疑問を彼に向けた

「そうは言ってもな、お前が死ぬか消えるかまでだ」

とめんどくさそうに頭を掻きながら言う

「そうですか」

その声に喜びが入っているのにぞっとしないが僕はまた彼女の横顔を見て布団に横になった


奴との出会いは僕がここに来てすぐであった

僕が生まれて初めて戦った相手であり

また僕にはとうてい勝てる希望さえもないそんな生物との遭遇でもあった

そいつは国以上の組織から来たと言い、そして

「お前が消えたら仕事は終了する」と言って酒を飲んだ

今考えればあのときも黒いスーツはヨレてはいたが

あのときが一番見れる格好のような気もする

しかしなぜ国以上の上の組織が僕みたいのにその手駒をいつまでも見張らせるのか、どうせならそんな人材の無駄をするくらいならどこかに閉じこめておいたほうがまだ金のかからないような気がする

なんと言ってもこの男さえいれば、たいていの奴は勿論倒せる上に実に優秀、外科から産婦人科、料理は離乳食からインド料理

はたまた、結婚コンサルタントから葬式まで全てをこなせそうな男であるからにして、やはり一介の喋れる狼なんかを監視するのはどう考えても

合理的ではないといつも考えていた

しかしどれほど奴に言ってもあいつは

「お前が死ぬか消えるかまでは、死んでもお前のそばから消えることはない」


それは今まで一人でいた僕にとっては実に信じがたく不意に

「うん」と言ってしまったのが今でも悔やまれる

まーくやまれると言っておこう

かくして今まで僕たちは否応無く二人で共同とも取れない共同生活を送って来た、奴はすることがないのでいつもこのビルで一番大きな

ラウンジの端っこでなにもせずに眠りこけている

かく言う僕はこの姿ではあったが奴と共に調べた監視カメラやそれに類する物を調べ、そこを通らないようにして外出はしていたが

あいつは特に何も要わない

ただ「行って来ます」と言うと

何の気兼ねもなく、麦酒ビール瓶を掲げるのである

そんなくだらない毎日が二年は過ぎた頃に今の事件が起こったわけだ


「うううぅーん」

奴は三日ぶりに目を覚ました

あのおやじに薬を打たれて強制的に寝ていた薬が切れたらしい

僕は身構えた

正直完全とは行かなくともだいぶ傷は癒えている

と言っても動けばまたいつ傷口が開いてもおかしくないが

おやじ曰く「死んでも死ぬかよお前が」だそうで

僕のことはあまり見ずに三時間に一回彼女を見るでもなしに眺めてすぐにいつものロビーに行くのであろう

「おーーーーいおやじ」

いちお叫んでから僕く彼女を今度はどのようにしてなだめようかとそればかりを考える

一応に三日前から考えてみるものの

彼女がいったいどのような性格でどのような恨みがあるのか

あのときあのじじいが遮ってしまったため聞いていない

かくして彼女が丈夫そうな顔立ちの瞼をあけるが、どうもロボットの起動の瞬間を臭わせる

「あっあの・・・」

何も言わないはずがついまた言ってしまう

「うう・・・あんた、誰」

それは予想にもないことを言った

果たして薬のせいで記憶を喪失したのだろうかそれともやはり、油断させておいていきなりこうグサッとそういう算段なのだろうか

「・・・・あの大丈夫ですか気分は」

僕はそう彼女に尋ねると

「ええ大丈夫ですがあなた誰ですか、私はどうしてここに」

それは実に予想外だった

自分は正直だまされやすい性格だと自覚している

しかしまだ分からないにしろそれが本当に自分のことが分からないんだとしたら

「君自分のこと覚えていないの・・」

そこで僕は一瞬気を緩めていた自分が心底アホかまた度アホウだと痛感した

奴は布団を翻すと僕めがけて襲ってきた

いつから奴は起きていたか知らないが、それはとても寝起きの態度とは思われないが、もしかすると反射的に襲うほど僕という存在または僕とい言う存在に似ている物を恨む理由があるのかもしれないが

どちらにしても今僕は殺気を前回にした獣相手にただただ死を覚悟していた

しかしいつまで立っても死は来ず

代わりに目を開くと布団から落ちて気絶している彼女が目に入った

果たして転け躓いたのだろうか、それとも傷が予想より、いや十二分に彼女の傷は重傷なはずだが、果たしてあの男の腕からして、もしかするとわざと腱を切ったとか、いやまたは塞がりやすい傷を切ったとか

いやだとしても男には楽勝のことに思われるが、後者は理由にあってはいない、かくしてよく見ると彼女の腹に鎖が頑丈に巻かれており

それが元でここまで来る前にしたたかに空中で引き留められたまま

落下したのだろう

それほど簡単な鎖ではないことから

奴は目覚めてすぐに飛びかかったと見るならば

やはり・・・・

僕は実に憂鬱に、これからどないしましょと、鈍より曇った雲をビルの窓から眺めたのである



  終         藤本・智大・ジョン  著



第二章



私は今渋々とお茶を片手に目の前にいる汚らしい謎の男と

謎の日本語をしゃべる狼を前にやはり熱い渋茶をしかめっ面をしながら啜っていた

「キミおこってるけどなにがそんなに恨めしいんだい」

狼が私に言う、その間に両手を小さな湯飲みに添えているのがどうも違和感満載だがどうも仕草が人だ

「・・・・・・私は」

静かな空気が流れる

もしかするとゴクリという音さえ聞こえそうだ

「私の家族を殺した奴を捜しているの」

そこで私はようやく、私の家族、すなわち父と母があのモンスター製造の日本の科学者であり、そして完成して一年後あのコロシアムでの戦闘が人知れず開催された後私の家で彼らそして祖父母と祖父が酷い有様で発見した、それはとても人間の仕業には思えず、気がつくと私は見知らぬ家にいた、それは誰も育てる人間がいないことで親戚に預けられたわけではあるが、その家というのが今朝あったあの老婆の経営している孤児院であった

私はその孤児院がどうしても隙になれる何度も家に無断で帰りそのたびに酷いお仕置きを喰らう幼女時代を過ごす

そんなある時私は偶然ある一家の犯行現場を目撃

一時その彼らにより九死に一生をえた折りに彼らに弟子入りをも押し込んだ、それが親の敵のためだったのは言うい及ばない


私はただ惚けていた

幼稚園のお泊まり会から帰ってくるとそこは血の海だった

赤 赤 赤 赤

それは見るに耐えない

しかし当時の私はそれが何かも分からず

そのまま家の中に入る

親がそのときなにをしていたか分からなかった私は

それでも裕福な分類ぐらいは何となく分かっていた

そして階段を上がって目にした物は

それは母の服を着た動かない物体だった

私は急いで駆より揺すってみたが動かない

それはどんなけ揺すっても物以外に感じる事は許さない

私は怖くなり父の書斎に行くと、そこにはもはや見る影もなく

本がバラバラと床壁天井に食い込みその隙間には肉のような物が挟まっていた、私はそこで記憶を失う

しばらくして分かったことは、その事件は表坂にされず

ただの火事による死亡になったこと、それにより私の家と家族はいよいよ跡形もなく失うことになってしまう

それを知ったのは、よく知らない意地悪な目をした老婆に開口一番

「あんたの親全て死んだ、これからはここで暮らせ」

その後何歳までここにいていいだの何だの小難しいことを並べられたが

今まで裕福な生活をしていた私にはとうてい掃除や時間にはどうしろと言う物は窮屈に思えた

「あなたはなにが言いたいかわ知りませんが私は今から家に帰らせていただきましす」そういうと奴は

「ふっん、好きにするがいいさ」

そお言ってそこまでの電車賃を私に渡した

「これっぽっち私の家にはもっとお金があったはずでしょ、だしなさ・・・」私の頬に鋭い痛みが走った

「ふざけんじゃないわあんた、ここにはここのルールって物がある

お前の家には残念ながら財産の一つもない

だからこんな所にあんたは来たんだ、もしあればもっと丁寧に扱っていた

さ、お嬢さん」

最後のお嬢さんをまるで屈辱するかのように区切り区切りいう奴に私は涙を抑えながらきっと睨むと、その部屋を出た


そして始めて乗った電車で途方もなく迷い

気がつくと有らぬ駅で電車賃が底をついていた

どんどんと日が来れ、通学生やサラリーマンが帰るべき方へと歩く中、

私は一人ベンチでそれを睨むでもなく見ていた

深夜過ぎ奴は突然私の前に現れると「食いな」

そおいって冷めた肉まんを私の鼻先に突きつけた

「いらない」

私がいうとあらそうかいと、たちまちにかぶりついて平らげてしまう

「・・・・・・・・私にはもう無いの」

「ほら」

それは片手に下げたコンビニ袋から梅昆布を出した

「それを私に食べろって言うの」

「要らないのかい」

私はそれを引ったくるようにして食べた

実に不味く美味いそんな味がからからの口に広がるような気がした

それからだろうか

犬猿なんて生ぬるい、顔を見合わせる度に喧嘩をし、同い年はおろか下級生から年上、先生一人残らず私は喧嘩腰を貫き通した

それが早二千をすぎたあたりだろうか

また勝手にここを抜け出して実家に帰った帰りのこと

帰りの電車に乗ろうと急いで駅まで走っていると私の前を走っていた車が止まり

「今晩はお嬢さん」

と酷く胡散臭い男がこちらに話しかけてきた

そのスーツは紫色で男なのに細身の体はいよいよ怪しさをその高級車共々に倍増させた

(もしや人攫い)

私は奴を見る前に走り出した

「っちょ、ちょっと待ちなさい」

後ろから奴の声が聞こえるがかまわず私はコンクリートの道を駆けた

「あんたったら、お父さん達の死因聞きたくないの」

それは実に耳を疑う言葉であった

「どっどうゆうことよ」

私は急いで引き返して男に聞く

男は汗を額に光らせながら私を見ると、キミのお母さん達はね

と前置きして

「たくさんの人間を殺すための兵器を作ったために殺されたんだ」

私にはとても信じられないことだった

それは子供のが来た違いつもやる戦争ごっこの延長線上なんて物ではなく

ましてはあの優しい母と父がそんなこと

「うそだ、うそでしょそんなこと」

そお言って私は奴の腹に抱きつくようにして蹴り上げた

「うーーーーなっなにすんのよ」

男のくせに女言葉を使う男を一別して

「ばーーーーぁあーーか」

そおいいながら駆け始めたがすぐに図体のデカい男に両側から挟み撃ちにされて元の車の前まで連れて行かれた

「お嬢ちゃん何で私がそんなこと知ってるか知りたくはなぁい」

「ない、絶対いに無い」

「あらそ残念」そお早口で言って

「あなた実は」

その時だった

私の目の前の男が急にしゃべらなくなった

それどころかなま暖かい雨が私の頬を濡らし

「おじさん雨も降ってきたし・・」(私帰るね)そお言おうとして前を見ると、そこには顔があったはずのところには後ろの風景が見え

ただそこから赤い何かが噴水のように上空に吹き上がっていた

「やあ」その小さな少年はまるで夕立はいやだね

そんな感じで私にそんなことを言ったせいで彼にはこれが見えていないのかと、私だけおかしくなったのかと、そう思ったが

「そんな奴ほっとこ」そお言って赤い私の手をいやがることもなく握った

それが、あの世倫太郎との出会いであった


何でも彼が言うにはあいつの手下が私を殺そうとしていたからまとめて殺したとまるで事もなさげに言ったが、唯一申し訳なさそうにそれこそ本当にすまなそうに

「君の藍色のレインコート赤くしてごめん」と言っていたが

「うんん、別に良いけど」

私はそお言ったが、彼はそれでも気にしているようであった


10

「りんた、何やってんだい」

それは実によく響く声で呆然と彼に手を引かれていた私たちに

いや彼に掛けられていた

しかし瞬時に状況を把握したようで 乗りな

と言うと、赤い小型車を私たちに示す

「行こう」彼は力強よく私の手を引き車に向かう

私は断る理由もなく彼に続くことにした


「それでやっちまったと」

その図体のでかい彼の母親という人が話を聞き終わるとそう言ったきり

悩むでも無しに彼と私を見て

「・・・あんた」彼女は私を見て、その言葉の途中で何かを取り出すがそれが銀色のナイフだと知り私は

「(きゃぁーーーーー)」と言おうとしたが

それでは余りにうぶすぎると断念し

キリ、と女を睨んだ

「ッフフッあっははあははははははあ」

それは突然けたたましく笑い出す

「あんたはおもしろいね、わかったちょっと旅行に行け、そこで腕でも磨いてくればいいさ」

「ちょっそれはどう言うことなんですか」

「いやいやあんたあの家のもんなんだろ」

「、、、はい」

「それならあんたが狙われてもおかしく無い訳さ」

その時改めて私はその可能性について知らされてよく無事に何百回と家から施設に帰ることが出来たなと思いまた、それだけ無事に帰れたのだとしたら、もう大丈夫ではないのかと相手に聞こうとすると

それを察したようで、その女ではなく小さな方がシャシャリ出て

「いやたぶんたまたま安全だっただけだろ、その証拠に今日だって」

そこで改めて私は今日襲われそうになったことそして

そして男が死に際に何か言ったのを思い出した

しかしよく思い出せない、思いだそうとしても何かじゃまなインパクトがあってそのせいで真っ赤だったとしか思い出せない

「だからもしよかったら僕が守っ」

そこでからの頭に女の人がげんこつを一つ落として

「馬鹿だねーこの子は、それじゃあこの子が一人のときにやられちまうじゃないか」

「そっそれは僕が守っ」

またしても(まも)で言葉が途切れたが今度はげんこつを堪えて

「ぼっくが守る」と言いきったが

「馬鹿だねー」と母親に呆れられてしまっている

それにしてもここは何処だろう

あの日以来遅刻したことのない私は門限を気にし出したがしかし

まーその時はその時かと、実にいい加減に思っていた

「それでお嬢ちゃん、私達はあんたを一度助けちまった、それはあんたが助かるまで育てる義務を負うことにもなる、そこでだ、私達は殺しを仕事にしている掃除屋だ、あんた腕だけ磨くかい」

それはうんと言おうか迷う好きもなかったように思う

なぜかというと私はその前からどのようにして敵と戦うか

またなぜに敵は私の母と父、そして祖父と祖父母を殺したのだろう

私はその恨みを聞くまでは死ぬことは出来ないな

そんなことを思っていた


それからの毎日

私は彼らのアジトまで片道2時間かけて走り、そこから訓練を開始した

よほど私の気力いや運動神経が優れていたと見えて

三年後には、あの少年、あの世君とも互角ぐらいには戦えるが

それでもそれは最初の内で、最近にはようやくそれがわざとなのではと思い始めていた

「リン、本気出してよ」

私は短いナイフを奴に振りかざしながら聞く

「ふふふ」

それは漏れるともでもなく私に笑っているようであった

「もーーー」

実に単純な反応と思っても私は彼にそう頬を膨らませながら体当たりのように飛びかかる、彼も一応はナイフを持っているがかわすだけで

ナイフはおろか腕さえ挙げてこない

奴が言うには

(ズキンちゃんは腕が速いから隙をねらってるんだよ)

だそうだが私から見れば、ふざけているとしか思えない

まるでダンスをするようにくるくると回り、ヒラヒラと避けるのだ

それで最後に思い出したように私の首筋に手套を軽く落とす

それだけで私は夢に落ちることになるのだからおもしろくはない

そんな私がもっとも得意とするのは拳銃などの銃器だった

中でもライフルの腕は中々の物で、数百メートルの兎を打てるまでになっていたが、彼に言わせれば

「いやいやあれ薬屋のでかい看板じゃん」と言うので殴ってやる

「いやいや、殴るのはおかしいって」と言い返してくるがしかし

私は確かに数百メートルだろうが一キロギリギリまでの鳥なら打ち落とせるのだが、奴らは無駄な殺生すると地獄へ堕ちるぞ

と殺しやなのにおかしな事を言うが、しかし一理あるのかもしれないととどめておく、しかしやけくそになることもありああやって気まぐれに看板を打つ、そう言うときはやはり

(すげーほんとだズキンお前の腕は)ぐらいのことは言って欲しいものである



11


18の歳に私は敵を探しに度に出る事になった

今の世の中に仇討ちとは中々おもしろくはないが、しかしそう言う恨みはどの時代でもあるのだろう、いくら心までをもが、機械化されそうな今現在、そんな卑猥で腐った精神を持ちながら私は、とりあえずこつこつとアルバイトで貯めたお金を元に、アパートと仕事を探して本拠地を決める必要性があった


「あんた本当に行くのかい」

それはその日何回目になるのであろう

あの世 輪廻 が小言のように私に言う

「はい」それは実に、本当に実に名残惜しい気持ちがあり

そしてまたあの施設から出られるという希望は十二分にはらんでいたことを含むしつよう性も有ったが、しかし一番にその足を前へ前へ進める原動力となったのは、敵はどのような理由でそれを殺したかという事だった

最近徐々に母や父の顔が記憶の中でぼやけ、唯一残った写真を見て

(ああ、こんな顔だったかなー)ぐらいにしか思い出せなくなっていった

まずい、何がかわ分からないが私は心の中で完全に忘れてしまったときがタイムリミットのように感じていた

全てを忘れてしまったときそれはただの思いでさえも残らないまるで空想上の人物とたいして変わらない、私父と母、そして家族が消滅するようなきがしてならなかった

果たしてこの世に親なくして生まれてきたのだろうかと、分かっていてもそんな恐怖心が私を締め付ける

そうこれは一種の紛らわせでもあり、また良い言い方をすれば

ケジメなんて言葉が出来るのだろうが、私としてはとにかく何で家族が殺されたのか、そればかりが知りたい原動力なのだ


「じゃあ、お世話になりました」

私はごく一部の人と、あの世家族に見送られてそこを去った

そこから私の家まではほんの一時間も走れば着くところにある

かと言っても30キロほどあるので中々時間のかかる距離と言えばそうだろう

私は取り敢えずそこで半年ほど粘った後、輪廻さんの言う怪しい組織の一覧を調べて見ることにしていた

かくして瞬く間に二年と三ヶ月が過ぎた頃

私はいっちょまいにパンの技術と早起きをゲットしていた

しかし調べにはいっこうに足どれが取れず

分かることは特に問題のない家庭だったという事以外

両親が研究者だと知っている人はほとんどどころか誰もいないしまつで

果たしてあれは本当だったのだろうかという一抹の不安を掻き立て終えないが、しかし何の意味もなく人を襲い殺すことはないと思われあのオカマ男が言ったことは、事実なのではないかと思ったわけであった

しかしだとしたら私が調べなくては行けないのは

今は無き日本政府という組織なのだが

ワールドと言う国境のないものに政権がかわって実質的にこの国にある全ての資料は世界安全機構と言うなの一つの国家体制が引かれた者の元にある、そして言わずとしれたあのコロシアムの事件自体、誰の目にも触れることなく今も運が良ければ今もあるかもしれないが証拠を全て隠滅されている可能性もなきにしてあらず

そこら辺から調べるにしても、内の両親が研究者というのはたぶんあっていると推定したところで、家にその研究者の同僚が遊びに来た記憶はなく

またそのような資料があっても火事になってもう12年が過ぎようとしている、そんなものは跡形もなく20会建てのビルの下になっていた

いやもしそんな物があったとしてもそれはたぶん取り出すことはかなわないし、私は何度も火事があって直後探しに行ったがその綺麗な焼け跡から探し出すことは叶わなかった

それはつまり何もないことである

そんなある時やつから電話がかかってきた

「おっおいお前いるか」

それは一瞬新手の詐欺に思われたがその聞き覚えのある声はリンタロウ

であった

「どうしたん」

私が聞くと

「実はおもしろい物が見つかりそうなんだ」

「何それ、事件と関係ある」

「うん」

私は急いで奴からその場所とどう言うことかと聞こうとしたが奴からは場所だけしか教えてもらえなかったがしかしその場所だけでも私には実に重大なことが起こりそうな予想を立てさせた

「場所は、飯山市 大事 常我999ー32番地だ」

それはまさしく私の家の住所であり、あの事件が起きた場所でもあった。


12

かくして私は押っ取り刀でその場所に向かった

あいつは冗談は言ってもこんな不真面目な事は言わない

それがわざわざ私の実家があった場所に呼ぶと言うことは、果たしてどう言うことだろうか

それは一年まえに出来た高い20階建てのビルが占拠されていた

あのくそばばあが土地の権利書を、この長野という土地が、新たに政府が定めた中心としに変わり、値段が噴騰したのを気にうっぱらったのだ

それについて、あんたの親権がうちに移った時点でお前の権利は私のもんだ、とジャイアンのことを言ったおかげで私と彼女の間に決定的な溝が出来たのは紛い無いが、あいつにしては珍しく家を出ると言ったとき

「っふんせいせいするが一つ良いことを教えてやろう」

「・・・・・・」

「聞かないと損するぞ」

「・・なんだクソババ」

「お前の10000000×10の金の代わりにお前を三回だけ助けてやろう、これは特別だ、実に安く見積もってだだ」

何がこんなくそに一千万円×十を取られて、三回ごときの助けを請おう

そんなもんなら若い青年に一回でも頼めば地球が買収できるくらいの金になるだろう、私は一別して「じゃあなお世話になった」それだけ言って

その門から外に出た

と言う曰くありげな土地にもなってしまったわけだが

しかし周りの景色がすっかり変わってしまったのは事実だろう

面影一つ残っていない

今日だって旧都心東京府からここまで来るのだってほんの一分もかからなかった、実に時代は進歩するものだと思う

私がそこに着いたとき玄関の壁に(一階の奥の物置)と書かれた紙が張ってあった

行ってみるか

そんなことを思いながらあたりを何気ないフリをしながら伺いつつ中に入る、時間も時間なので十二時を過ぎたそのビルは省エネ制作とかで

実に薄暗く、わずかに青い蛍光電気っぽい電気が不気味にあたりを照らしていた、これは次世代型電気「生物電気」と言って、何でもあのモンスター騒動の時期にとある国が遺伝し改良の途中で出来た、スライムのような物体であるが、実に小さな生物の集合体を作り出したのだが驚くことに夜になると青く発光することが発見された、それを気に一部の国では試験運用していると聞くが、さすが都会である、こんな物をお目に掛けるとは

私はそんなことを思いながらそうこのような物置に向かった

小さい頃は何度も腹いせに此処に悪さをしに来たので地理だけはバッチリ知っている


「いやー久しぶりだな、ズキンちゃん」

彼のそのドキンちゃんのようなアクセントが実に懐かしいが出来ればやめて欲しい

「久しぶりね、リン君」

ああ、彼はボーカルアンドロイドのような名前で発音するのを嫌うが

これは次つに面白いかな、彼の声は実にそれに類似した美しく透き通った声であることから、敬意を払って私は

「アンドロイド・リン」と呼ぶと必ずふてくされるのが実にかわいいところである

「実は用なんだけどこの下に何か埋まっているようなんだよ」

「・・・まさか地下通路とか」

それは考えなかったわけではないが、そんな物、目にした事もなくそんな機材を持っていなかった私はいつの間にか考えることをやめていた

「いや違うんだ、なんか分からないけど四角い金属片が埋まってる」

そお言って携帯をに三倍に横にのばしたような画面を見せると確かに四角い物が写し出されていた

「でっ」

そお言って彼は横から何やらヤカンのような物を出すと

「これで爆破する」

と言った

彼は顔に似合って実にサイエンティストである

その色白に切れ長の目、かすかに髪のかかる横顔は少なくとも

人間兵器と呼ぶにふさわしい男には思わず

暗い実験室ですべてを闇から操るボスにも思われたがしかし

奴は実にかわいい物好きのノーマルだという事を此処に記すと共に

あいつが言うには、時代は科学で人を殺す時代だ、いや、殺す前に

軽い仕事で済ませるように手を打つ時代だ」と言った

つまりは、殺さなくてすむような内に手を打つという実にアクドイ商売路線を検討しているような奴なのである、ちなみに「カメロ」と言う魔女っ子フィギアのコレクターでもある、そんなどうでもいいやつについて久しぶりに考えていると

「まずこのエー液とそして」と言いながらもう一つは魔法瓶のような物を取り出して

「このビルファー液を用意する」

「はい先生質問です」

「なんだいズキン君」

「はい、何で、エー液の次がビルファー液なのでしょうか、普通ならビー液と言うべきだと思います」私の実に実に単純なもっともな質問に対して

「うむ良いところに気づきましたねズキン君、それは」

いちお言っておく

「それは」と

「それは適当につけたからさ」

実に下らない会話を進行させながら奴は

まるで料理番組のように

「ここで三分待ちます」とか

「待っている間にこの分量で小さじ三杯分を」など言いながら実に楽しそうに進めていく

あの頃のかわいげのある少年はいずこにと思う反面

変わらない幼なじみに少しならざる安心感を覚えた

「で、完成です。お疲れさまでした」一人自分に誰も居ないいアシスタントにか、ねぎらいの言葉を言って彼はその出来た固定物を床に押しつけるとストップヲォッチを押して

「後三十秒でこのコンクリートは消える、しかし」

「しかし何」

「しかしその人体影響は実に計り知れない物がある」ととぎる前に

「にげろーーー」と叫びながら扉を開けて閉めてから走った

結果から言うと、何の音もしなかったが、しかし中にはいるとその床だけが消え綺麗に地面が露出していた

「大丈夫なんだよね入って」

「うん大丈夫、一分もすれば完全に姿が消えるようになっているから」

それがどういう理屈かわ知らないが、取り敢えずそれで物事が完成したのだから良いとしよう

「っで、どこら辺にあるの」

「ここ」彼はその機械を地面に当てて再度確認しながら地面を指さした

そして傍らからスコップを持ってくると私に一本渡して

「さて今から掘りますか」と私を見ていった


果たしてその後私達は永遠とも取れるような長い時間掘り続けた

「本当にあるんでしょうね」

掘る係りと土を出す係りにしてからはやどれ位たったのだろうか

「果て機械には十メートルと記されているんだけど」

「それ自体本当なの」

「それは保証する」

「・・・・ちょっと休む」

そお言って私が倒れた隙にコツンと投げたスコップがなにやら音を立てた

(説明しよう、これはノッポとチビの出てくる考古学の話によく似ている)

「おっおいキミ今」

「うんなんか音したよね」

私は必死になってそれを掘り返して見ると、それは

昔のオカキやセンベイが入っている四角い鉄の缶だった

昔の映画で子供達がそれに思い出の品物を入れて未来に託すという

原始的なまるでリスのようなことをしているのを思い出すが

果たして私の両親がこんな地上奥深くに、今世紀最大とは行かなくとも何

か証拠になりそうな物をこんな缶からに閉じこめて埋めるとは思えなかった、もしかすると数百年前の子供達の遺物が出てくるのではないかと心底ガッカリしていたが、リンタロウは、そんなことはおくびにも出さず

別の機械を出して「これに有毒ガスは含まれていない」等と言うと

「では開けるか」

そお言いながら私の目の前で、「ガサゴソ」音を立てながらその箱を開ける、幸いそれほど錆びてはおらず、すんなり開いたそこには

ビニール袋を再先鋭に改良したとでも思えるような物に小さなソフトが入っていた


「何じゃこりゃ」どちらとともなく言うがリンタロウはそれを袋から取り出すとおもむろに、小型パソコンに繋ぐとソフトを起動させた

そしてそこに記されていた物には

「小林 悦子を頼れ」とそれだけが記されていた


13

小林悦子について話そう

彼は「っえ誰」といったが私はその名前を記憶の奥底に沈めることに失敗した成果、ほんの数マイクロ秒で思い当たった「あいつか」と

小林敦子という女は年齢不詳の死ぬ気のない強欲婆である

一歩歩けば嫌がられ

二歩歩けば金の音を聞き駆けつけ

三歩歩けばその姿を見て人が死ぬとまでは行かなくとも悪評誰なら誰でも知っているそんなばばあである

それは何も隠し通したいが、しかしその名前に唯一聞き覚えがあるとすれば私の中ではその園長がそれであり私は実に渋い顔をした

「っえ知ってるの」

またしても同じような顔で私をみたリンは

「ダレダレ」と人の気も知らないで無邪気に聞いてくる

「私の居た施設の園長」

「・・ああクソババアか」

そんなことを奴に言わしめるほどの奴である

人は皆美しいというような傍らそれを無惨に論破された日のことを私は今も忘れない

こいつの怒った姿を見たのはその日限り多々あるが中々印象的だったのは記憶している

最後の最後で「怒っているではないか」と言われ

女のように泣いた彼を見て園長を恨む反面

かわいいいーと思ったのは実に秘密である

かく言う私は、なぜか消さずに残っていた奴の電話番号を探し出して

その奥底から掘り出したそれにプッシュボタンに標準をあわせた

やくざに三十人に囲まれても震えない親指が今確実にフルフルと震えていた、私は何とか彼に押さえてもらって押すと着信音がなった

「はい小林敦子だ」

非常に暴言まがいの言葉を聞き、コイツだと思いながら私は聞く

「私だ、アカノズキンだ」

私も負けじと意地を張ったが

「お前見つけたんだろう」

と何をいっているのか皆目見当のつかない飛躍っぷりでそんなことを電話越しの私に向けて言う、まさか監視キャメラでも付いているのだろうか

私はようやくその飛躍した言葉が今の私達を捕らえていることに気づき奴に言う

「何で知っているんだ鈴木敦子」

「お前に呼び捨てされる筋合いも通りもないよガキ」

それは実に鼓膜を超音波なんて綺麗なものではなく銅鑼を耳元でならされるような音がしたが、果たして音量規制以上の音を出すことから奴が底知れず以上改造または、最悪のハッカーを臭わせた

「あんたそう言えば三回願いを割高にボッタクって」

「割安だ」実に大声で割って入る

隣でそれを見ていて脅えるリンタロウを叱咤して

「それなんだけど、私の両親誰に殺されたか教えて」

私は確信を意味も分からなかったが唯一の希望として奴に言った

しかし

「分からない、これで一つ目の願いは消えたあと」

私はそこで怒りに任せて投げようとしたがその携帯をリンに押さえられる

「まっおさえておさえて」

私は一息、ピッタリタップリ一分間を続けてとってから

ガミガミと騒音をその間中喚き散らすことのないことで逆に恐怖心を駆り立てられる「恐怖の携帯電話」を恐る恐る耳に当てた

「ぎゃあぁぁああああああああああああああああああああ」

それは私の悲鳴と携帯電話からの音波以上に強烈な叫び声とが入り交じって狭い倉庫内にこだます

私は銃声でもこれほどにはならないと思いながら聞こえない左耳から右耳に電話を変えた

「うっせ」

「ははあああああああ、ばーか」

果たしてこの大人は誰にいっているのだろう

還暦をとうに迎えているとは思うが、相当ヒネクレたがきだったに違いはないのは私の想像に容易い

「であとふたっあああははあ、で、どおおする」

ムカツく笑いを織り交ぜながら私の神経を大根下ろしで研ぎながら

聞くばばあ

「なら私の家族を殺した奴の手がかりというか全体像を教えろ」

「一つに絞れ」

果たしてどこの世界に人殺しの情報を絞る奴がいるだろう

しかし私は今知っている、いや昔から知っている《こいつだー》と


13

「私の家族の殺した奴の手がかりを教えろ」

それが二人で一時間近く考えて話し合った末に出た

全く進歩のないそれどころか一周回って帰ってきた物だった

その間中電源を腹いせに入れておいたが奴も入れてあるからにしてどういう魂胆だろう、そう言えば奴は、私達が開けたことを言ってきた

この携帯はそんな相手の映像をすぐそばで復元するような最新鋭の物ではない、断じて安いから買ったのではなく、アナログ趣味という列記としたものであることはアンティークからもお分かりいただける物に思う

「そうかいならあんたに教えてやろうお前の両親が死んだのは

コロシアム委員会が原因だ」

「こっコロシアム委員会って、あのモンスターの」

「ああ、普通ならここでお仕舞いにするがあんたはそれを分かっていた

今回はその奥、これからお前みじかに、そう、隣で怖がってる坊主んとこの店にファイルを送る、これは実の極秘だから漏らすんじゃねーぞ」

最後の言葉が卑猥な物なのかどうかは置いとくとして

「やはり不思議だ、なぜに奴は俺たちが見えている」

と後ろで独り言のように脅えて不思議がっているあの世に私も疑問を改めても足らず終えない

「ちょっちょっと待て、ばばあ」

「なんだ」それは実に笑いをこちらに噛ませたような気持ちの悪い声で

「お前はどこから俺らを」

「ふふふ、それが最後の質問で良いんだな」と言ったきり

電話が切れた、果たして聞いて置くべきだったのか、それとも残して置くべきだったのか、私はその疑問に、やはり残しておいた方がいいだろうと思ったが、どうだったのだろう


かくして今現在に至る



あの後プロフィールなんていいながら中々どおして

それは実に綿密でどうやって調べたか、それに恐怖がよぎるがしかし確実に私は今何かに向かっているのは確かに思えた


かくして後は彼らに任せることにした

少なくとも私にはそのような知識はなくまたそれをしるすべき

つて無技術も持て合わしては居なかった


そんなことをしながら私は日々近場のパン屋で働いていたのだが

すなわち何もせずにただただ生活を過ごしていく

そんなことを過ごしていたある日

一人の人物がそれを知っているかもしれないのだという

いったいどう言うこと

私は電話越しにアノ世リンタロウに聞くが

「さあ、母ちゃんが言うには、全て死んだはずのモンスターの一体が出てきている可能性があるんだって外にさー」

「嘘でしょ」

もしそんなことがあればそれは歩く核兵器ともとれる危険物である

そんなことがあって今までこの地球のニュースにならないことはないはずであり、またあの格闘場の開催されたこの日本にそんな噂がないことからそれが本当とは思えない

「俺もそれには信じることはなんともかんともなんだけどさー」

しかし、そう前置きしてから

「あの殺しからしてその線も考えなくてはならないかも知れないじゃないか」

「でも何でモンスターなんかがわざわざ内の家族だけをねらうのよ」

あの世一家には私の家族の殺しの惨状を伝えてある

更に言うなれば自衛官の保管するあのときの状況報告書も借りてきて話し合ったからそれを知っていて当然であった

「うーーーんでももしかしたら、君の家族の造ったモンスターが殺したって可能性も足にしてあらずとも思わないか」

「なっなんで」

「たとえば酷い仕打ちをしたとか」

「そんな事、、、大体、どうやってコロシアムから出たのよ」

「うーーーん、そこなんだけどもしかしたら日本側が抜け道でも作ってたんじゃないかと思ったりもして」

「何が思ったりもしてよよ、大体その工事には世界中の技術者の目があるでしょ、自分の国に不利になったりする工事をしないようにとか」

「それはもちろんあった、実際にもの凄い人数の人間が視察していたからね、でも考えてみてよ、抜け穴なんか作って外に破壊生物兵器が出てきたらどうする」

「っあそうか」

「そう我々の国が危うい大惨事を被る」

「なら何でそんな物を作ったって仮定したの」

「そこなんだよ、もし君の家族がその兵器に愛着または何か私情があり

死なさせたくなかったらどうだろう」

「しかし、なんで兵器に愛着どうこうは良いとして、一研究者にそんなことできると思う」

「それはまー確かだけど、、、あのばあさんの知り合いってんなら何とかなってもおかしくない気がしなくもないけどな」

「、、う、それを忘れていた、いろいろ考えたけどあの人との接点が未だに私には分からない」

「・・・・うーーん、俺もいろいろ調べてもらってはいるが全く同じだがしかし」

「しかし何、なんか分かったなら言って」

「うん、つまりあれだ」

「あれって」

「お約束だよ、分からないから分かるって奴」

「何それナゾナゾ」

「嫌々そんなもんじゃないだけどもさ、分からない、これだけ俺たちが調べても分からないって事は、逆に・・・・」

「っあ、そうか確かに、あの世家の範疇でも分からないって

それよっぽど怪しい以上におかしいよね」

「うんそこなんだが、もしかすると」


そのとき突然私の携帯から着信音が入る

表示を見るとあのクソババアだった、何という、、、、、本当はどこか等かやっぱり見ているのではないか、それこそ噂をすればなんて物を現実に

金で操るような何かを感じる

「あの世君ちょっと電話は言ったから切るね」

「うんじゃまた」

そお言って電話を切りババアに繋げた


「あんたいま、わたしの噂してただろハッァハッークショーーン」

大げさな爆音が耳から聞こえてきて分かっていてもここまでくしゃみが飛んできそうで汚らわしい、急いでハンカチで拭いて耳に当てた

「でなんだババア」

「全くあんたは人の恩をそんな言い方、言うと良い情報渡さないぞ」

何がぞ、なんだ何が、私はプンスカしながら受話器を握りしめるが汗が滲んでいることに気づく、果たしてそれは電話越しにある嫌気の固まりによる、脂汗だろうか、それとも次なる情報という物を前に緊張しているせいだろうか


「それで何が分かったんだよ」

「ふふっふ、お前の死期をちじめる酷評を、教えてやる」

「なんだよそれ早く言え」

「お前は女なんだから少し口の言い方に気を付けろバーカ」

「何が気をつけろだ自分の方がその根元となっているというのに」

「何が根元だ、そんなだらかのまねを楽しむより自分でも探してこい」

「誰が楽しむか、それよりもなんだ」

「っふ知りたいか」

「・・・あぁ」

「それなら三枚目の願いって事・・」

私はその電話を切った

どうせスーパーの大安売りだ、どこそこの誰々が浮気しているだなんだかんだという、そう言う類のものに違いがない

しばらくせずに電話がかかってきて

「おい頭巾次ぎ切ったら社会的に抹殺してやる」

「何が社会的に抹殺だおれは今日死ぬ明日死ぬってもんをやってる

大体お前には何度も殺させかねた私のキュートな脆いハートを

大体あんたになぜに社会的抹殺を企てる筋があるんだ」

私はこのとき鎌を掛けた、別段あの恐ろしい情報を手に入れたことを忘れたわけではないがわざとそお言って相手の出方を窺うことにした


「・・・あんたは本当に嘘が下手だね、急におとなしくなるからそれが特出して見えるんだよ、ほんとなにをしに一二年間私らの所にいたんだか」

「はぁーーーあれは普通の施設だろ」

「馬鹿だねーおまえは、それでもあいつ等が嘘を言っているかいないかくらいは分かったはずだ、わざととは行かなくてもそうなるようには仕向けていた」

「もーそんなことはどうでも良いから」

「なにがどおでも良いだ、おまえたちの心配をして私が、、」

「で用件はなに」

「うんそこなんだがよーく聞け、おまえの両親がやはり一匹モンスターを逃がしていた」

「でそれは何なの」

私はかんいれず予想をしていたそれに望みを託す、望みなんて良いものは分からないけど

「それはここで言えん内容だ、飯山市 小字 常盤 498ー74747

そこの喫茶店「モンブラン」に行け、詳細はトイレの中だ」

「いやちょっと待ってメモを」

「・・・・・長野国 飯山市 小字 常盤・・・」

「いやだからメモを探して、、、、」

電話の切れる音

私はその後さんざん迷ったあげく電話をかけた

手には脂汗が沸き、握ったメモをわずかに湿らせていた

「もしもしズキンだ、ばばあ」


14


「あのー、でその後私の情報を得たと」

「だから何で狼が」

「・・・いや私に言われても、、っあそうだ、よく人間に生まれた頃から飼われてしまった動物は自分のことを人と思うっていうじゃないですか

私の場合はもっとヒドくて嫌悪かんしてましたが、、、」

「・・・・・・・・だからなんなの解いて」

すると老人が私の顔をいきなり掴んで頬に両指を当ててるせいで

口が突き出る蛸口になっていた

「あっああんたなにじでんどよ(あんたなにしてんのよ)」

「いやおまえこいつを殺そうしただろ」

確かに今さっきは出したが鉄の鎖に縛られている今現在の状況下では何とも言えない

「・・・・・・」

「次ぎ出したら顔に卑猥な落書きをするからな」

「なんとハレンチな」

私はこの男に改めて嫌悪した

「そんなことはどおでも良いですから誤解は解けましたねズキンさん」

「名前の下で呼ぶな怪物」

「・・・気にするなお前は怪物でも無害そうな怪物だ」

「・・・・・・・っうううう・・・・・・ぅ」

すると男が私の前に針を取り出して墨汁をどこからか、取り出すと

「おまえはこいつの心をその言葉で殺し頼って」

「うううう、、止めて下さいそれは、、」

狼が気弱そうな声で言う

まさかそんな原始的な入れ墨があるのか、だいたい落書きにしては一生消えないどころの話ではないか重すぎる、というかまんま刻むではないか

「ふっふざけぇんなぁーーあ」

「うるさいぞ小僧」

「女バーカ」

「自分を女と認識しない奴は男も同等だ」

「はぁーーーなに言ってんだ、だったら男は男と認識しなくても男なのか

よ、どうなんだ自分」

「えっ僕ですか僕は」

「おまえじゃねーこのオヤジに聞いてんだ狼」


「それは狼ですけどまー事実ですけどそんな悪口みたいに言うなんて、、」

「さーて小娘心の準備はできたな」

男は針を近づけた

「おっお前に何が分かる、こいつに俺の両親が殺されたんだぞ」

「だからなんだ約束ハヤクソ、、、お、お前今の話聞いたか狼」

「ええ聞きました、誰が殺したんでしょうね、、やはり国の陰謀を担うあなたは恐ろしいお人だこの後警察にでも一緒に」

「嫌々俺は殺しはしない主義だ、だいたいお前なんかは実に危ないない者に見えるぞ怪物君」

「おっお前ら茶化すと殺すぞだいたいお前の方が私と同じこと言って」

そのとき私の頬に冷たいものが刺さる

「二言はねーな」

「っな、何やってんだ貴様」

「嫌々俺に様なんてつける必要はない、しかし殺されるとなると、、、なあ」

「嫌々だめでしょ、曲がりなりに女性を傷つけては」

「いや曲がりなりにって本物の女性ですからね私」

奴は近づいてきた、片方の手にはやすそうな墨汁が握られており異様な雰囲気を出す

「悪いな、顔に傷付けたのは謝るが次で最後だはやくはなせ」

「・・・・・あの狼が私の両親を殺したのよ」

「なあお前、狼の親戚っているか」

「、、、見たことはないです少なくとも野生種さえ」

しばらく見合ってから私を見て

「だ、そうだ」と短く言った

それのどこを信じればいいのよと言いたいがしかし、それだけの動作で信じるに値する何かを見ている気がする、幼い頃からあの魔窟という名の学園では嘘は日常茶飯事、騙される方が悪いという昔の商売のような何かを感じるがそれもかなり昔であろう、そのせいで自然と嘘か本当か位分かるようになってはいたが、しかし今目の前で繰り広げられた同派それ以外の何か、、そう思ってしまった何かがあった

「鎖解いて」

「ああ、出てくのか」寂れた男が気兼ねも何の気なしにつまらなそうに

また普段と変わらず私を見ていった

「ああ、ここにいても手がかりはなさそうだ」

男は何も言わず頑丈な鎖を解いた

「っふ、私も情けない人間になったかもしれないね」

「何がですか」

狼が言う

私はまたしばられかねないので狼の言葉に反射的に怒りを静めながら言った、よほどあの男が怖かったのかもしれない、信じたくもないが

「あんた、何でそういえばあのコロシアムから抜け出せたの」

そこでようやく私は自分の話ばかりであいつ等のことをいっさい聞いていないことを思い出す、我ながらに阿呆であった

「僕は」

そこで男が汚いマントを揺らし翻して狼との間に入った

「そこからは、世界政府による機密漏洩のため阻止していただく」

「なっなんなのよ」

「そういうことだ後は帰れガキ(娘)後二度とくんじゃないぞ」

それはいっさいの笑いも感情も挟む隙がないほどの冷徹な規則のような声であった

「っえ、おやじそんなに僕の」

「黙れ狼次言ったらに度と口を利かんぞ」

「うん」

まるで犬のように黙るがその目はなぜか爛々と輝いていた、、なぜだ

「私は、秘密を、両親を殺した奴の秘密を知るまでは・・」

私は傍らにあった私の人形をとった、その人形には小型の拳銃が仕込まれていて私はそれを抜き取ると奴らに放つ

「帰るわけにはいかないんだよーーー」



僕は急いで身を翻す

正直このジジイがなぜに彼女をあれほど彼女を威圧したかが分からなかった、押さえてどうにかなるものでもない次第一、そんなことすれば数倍に膨れるにしてもしなくてもとにかく爆発するようなもの

まるでペットボトルにドライアイスを投げ入れて蓋をするのと同じ

唯一爆発しないのは、その蓋を開けてやらしてやるか

または冷やして同じにしてやる、どちらにしてもあいつの場合

量を増やしてまた、ガンガンに熱風が吹き荒れるサウナに入れたようなものである、全くあの人の意図が読めない

拳銃は小型だが当たればヤバいことに変わりはない

だいたい最新式のようだからもしかするとかすっただけで毒でも入るようなものならなおさら、もし少しでも当たって、さらに体の中で破裂するようなものなら即死とはいかなくても苦しみのもがくことは必須

とりあえず撤退をしようとした

したのだがそこにあったのは実に不味く不味い状況であったのは紛いない

あのおやじが怒れる彼女に拳銃を頭に当てられて、ぐったりとしていた

「おっおいおやじ」

その瞬間目の前が真っ赤になるのが分かる

いやいやおかしいだろ、あの時でさえ、そうあのコロシアムの戦争の時でさえ、僕にはこんなもの発動しなかった

まさか打たれたか

しかしそのとき僕の意志を反して僕は彼女に向かっていた



第三章


僕が目覚めたのはガラスの箱の中である

今まで僕の記憶はひとときも僕のそばくを緩めることもなく頭脳という機関に記憶を溜続けている

言ってみれば僕は貧乏人だ

本棚さえなく

ただそれをいつも眺めながら生きなくては行けない

本を置くことはできない

いつも、いつも、いつでも

ずーーーと僕は今という永遠を生きている

すべての時間軸が同じであり

明日も今日も今も、動くこともなく、忘れることもない

いやな記憶だけが僕の軽すぎる命に積み重なる

どれだけは知っても叫んでもわめいても

それは変わらない、そう変わらないのだ



15

僕は彼女の縦断を紙一重でよけながらその腕ごとかみ切ろうとした

いくら脳が停止しても動いてしまう可能性がない分けではない

それならいっそう腕ごと潰した方が単純明快これほど分かりやすい物はない、いくら熱くなってももう一人の冷静ともムカつくとも取れる自分がそんなことを言っている

どっち道、僕はその話を知ってか、知らずかとにかく奴の腕を噛もうとしていた

その女は僕と同じくどこか冷静でいて冷める程、熱い目を僕に見せた

しかしどちらにしろ関係ない僕の牙が奴の白い腕に噛み込んだ

そう思った瞬間

「やめろ」

それは僕の下で女の腕が狙う拳銃の中でそんなことを言った

もう一人の僕が冷静な判断を出せず止まろうとするがしかしこんな僕はそれすらも止めて、さらに行けと言う、少しでもあんな女の元には

「やめろ」


それは静かすぎた

しかし、しかしなのだ、どんな時でも冷静なあの男が確実な感情を出した

それが実に殺気を凍らして葬ったような壊れているような感情だとしてもその静かすぎるそんな声であったとしても僕は初めて目の当たりにするその声に死以上の感情を覚えた

「女、放せ」

男はそういうと多少暴れた女の肩口に軽く身を捻りいつの間にか奪った拳銃を突き立てていた

「さて小僧一つ聞く、お前はこいつを殺したいか」

「・・・・・・いいい、いやだ」

最後は何とか言葉にした

あいつが死ぬかもしれないと、分かっていながら、あいつが例えどんな実験に使われようが不死身の如く生きているような人間が、あんな小娘に

分かっていたがつい、、、

しかし安全が分かると殺したくないとは何とも、、、そう殺したいなんて感情が芽生えたこと事態本当にまれだ

「お前はなぜ今こいつを殺そうとした」

それは、そんなの分かってるんじゃないのか

「そう、俺を殺そうとしたからだ」

「っな、分かってるじゃないか」

顔を見て僕の疑問を読みとったんだろう、男はそんなことを言った

「では、」

そこで男は初めてこちらを見てそして酷く嫌悪感を催す笑い方をして

こう言った

「今も殺したいという気持ちはあるか」と




僕の記憶はガラスケースから始まった

それは何もない機械で出来た、そんな印象付けられる機械たちに囲まれて

僕は肉体をつなぎ合わされて生まれた

そのときから記憶を蓄積する機能は備わっていたから

脳味噌もそのときにはもう可能な限り完成していたのだろう

僕が初めて話した言葉を覚えている

「博士おはようございます」

それがまるでインプットされた適切な言語だとはじめから分かってまるで動かされるようにガラスのの中で博士に言ったのを覚えている

その日から僕はあの日のために、毎日毎日毎日苦痛を味あわされた

それはまるで生きながらにして何時も生まれたての苦痛を味わっているよいうであった、生まれる

それは絶対的安全から一人別の人格となった瞬間

それは安全から隔離され、一人別の物となる瞬間

それは人生最大の苦痛で得あり、また希望

数千の針をずーーーと刺され続ける痛み

僕は毎日何もされることなくその一年間ガラスの中で生きることだけを強いられた、全ては初めから揃っていた

だから何もする必要はないそうだ

そして、これ以上何かを与えるのは逆に完璧な脳を変に湾曲されかねない

だからあの辛いことだけを強いられた一年かん僕は一人苦痛の中にいた

物事も円滑に進めるには、円滑に進めるべき苦痛よりも更にデカい苦痛をその前に与えればいい

それがどうやら彼らの目的だったようだ

そこではつまり、何もなかった

辺りからは絶えず笑いが聞こえた、しかし僕は一人ここにいた

何に笑っているのか、誰がいるのか

たまに僕のような動物を見ることがある

そいつ等はまるで研究者たちと同じように僕の前を歩く

そんだけだ、それだけ僕は最初から全てが完成され全てが終わっている

だから、、、だから何もする必要がない、、完璧な物は物だ


一日のスケジュールは全てが機械により行われる

食べ物、トイレ、お風呂、全てが、人間に会うことなんて言うのはまずない、ただその気配があるでけ、そんなある日僕は外に出た

それは初めての床であり、そして初めて僕にあてがわれた言葉

「おはよう狼」

「博士お早うございます」

なぜ口から分からないはずの人間の言葉なんかが出たのかが不思議でしかない、だいたいなぜその人が、博士なのであろうか、僕は一切であったことはない、なのに知っていた

しかしその疑問を考えたとき、僕の脳裏にはそれを人に聞くよりもまず先に、それ後答えとなり、いつの間にか脳内に木霊していた

それが作られた記憶なのだと、そしてお前は必要なことは全て脳内にしまってあり、それ以外の不必要な物は排除されていること

僕はしかしその時、二つの感情があることに気づいた

一つは冷静な自分、どこまでもその答えを知っていて、失敗などなく

失敗いしてもそれが正しいといえるもので、

もう一つはよく分からない、いわゆる感情という物らしいがこれがあると実に体中が蝕まれるように痛く、僕は慌てて冷たい方を選んだ


その日初めてふれる動く空気に驚きながらもその空気はもはや何時も変わらぬ、そんな物にも感じられた

新たな物に、刺激に当てられる度にものすごい勢いで脳が回転して音がしそうだ、そしてその都度、真っ白な世界にものすごい音を立てて色が塗られていく、しかし塗られる反対側でものすごい光景を鼻で笑うも羽一人の僕がいる、そんなことは知っている、初めから全て知っているのに何を感情に流され驚く必要性があるのだ、と

しかし僕はその感情に張りつめる鎖のように押さえつけられながらも

ふとしたときには、そのものすごい景色に足を踏み入れていた

しかしその間中小言のように寝ておけ体力の無駄だといつの間にか居た

もう一人が言う

僕はそれを無視する度に何かがグサグサと心に突き刺さる気がしたがそれでも痛みよりもその世界に心を奪われてこちらの方がいいと思っていた



「どういうことだオヤジ」

僕は明らかに何か雰囲気の違うそれに言った


「どうだその感情覚えたか、なあ狼」

その声には何の、そう明らかに侮辱ともまた心のない声に

そして言葉に感じた思った

僕は動揺していた、しかしもう一人が言う

元々居ても居なくても同じ人間、今更敵意を出されても何もかまうことはない逃げろ、と


しかし僕は、僕は、、


「ガツン」

その時何か音がした

もう一人が思う

誰かが何かを殴ったのでは

僕は思う、この状況下で圧倒的に不利なのはあの娘だ、しかしどうだろう

窮す猫を噛むと言ってもあの男が殴られるなんて、、、女もう殺されてるんじゃ

しかし奴は殴ったまま啖呵を大声で切っていた

「あんた、あの人の仲間なのに何言ってんの。馬鹿にも程があるわ」

その時女は何を思ったのか背中に手を回した

いや実際は回したと言うよりも背中の首筋からシャツに手を入れた

そして今度そこに現れた物を見たとき男は言った


「オイオイお嬢ちゃんサムライは時代遅れだぜ全く」

女は男から離れざまに首筋に隠していた刀を抜いたがしかしあの女戦闘時

にたしかに腰を曲げたりしたように思うことからあの刀が日本刀ではないことが伺い知るがは足して、そう考えて見ると確か、中国かどこかで向かし曲がるほど薄い刀があったと聞く、少なくともフェンシングのよう奈半利を長くしたようなものではないことからそんな感じだと思うがしかし実物を見たことがないので分からない、僕の機能は大抵その現物写真が写っって脳内に映し出されるのだがしかし無い物は、だいたい架空の物かそれか古すぎて現物が残っていない物の可能性がある

そんなことを考えながら二人を見ている

煎餅などでも食べながら見たらどだいともう一人が言うが無視する

たまに言うよく分からない冗談は果たして必要な機能なのかといつも疑問に思うが、とある人が喋らない人は怖いだの喋らないと腹が膨れるだのと言う嫌な意味もあるしなー、とまた考えてしまった

最近どうも一人で物耽るのは一人が長いせいだろうかそれともこの体の寿命が近いせいだろうか、どちらにしても僕は全てが今であり全てが同じ時間なのだ、対して変わりはなく逆に嬉しい気持ちと多少の悲しみの気持ちが起こってくれれば万々歳、全く持って人になりたいとは思わないがしかし狼ってわけでもない自分はとりあえず「人」ってことにしておきたい気持ちなのでそんなところが良いと思う

やばい、また考えてしまっていた

ずーーーと見ているのだがしかしその間にも脳が停止してしまう

果たして怖いのだろうか

何が、誰かが死ぬのが、果たしてそれは男か、それとも見ず知らずの自分を襲ってきた女か、はたまたどうでも良いから無関心なのかまた無関心を装っているのか

僕は一歩踏み出した

その紙ほどに軽く、そして命があったと思ってほしい一歩を



僕がコロシアムに入るとき、檻の中にいたためそれがどこの国でどんな場所にあるのかは分からなかったがしかし唯一分かることはこの場所から生きては帰れないことだった

勝っても負けても死が前提に作られたもの

そして僕の場合、それが果たして遂行できる物かはなはだ疑問的であった


僕の目隠しと檻が開いたとき、そこはただの個室だった

何もないまるで、まるであの場所のように、それはまるで病人が居る病室のごとき白、そして暖かみもない軽薄な研究室の白にも近い

僕は一瞬の羽の中の記憶をまた白に戻されるような恐怖心が芽生えたが

しかしそんな恐怖もすぐには無くなった

殺し合間で後、数時間、それが始まればまともにこんな悩みではきっと収まらないだろう、そうあいつら研究者が考え出した退屈以外を全て恐怖、痛み全てを快楽に感じさせるそんなことがあるならばさぞや楽しいだろう

しかし今の僕はその白さに参っていた、果たして大丈夫なのだろうか

そんな感情さえも冷たい自分が、どちらにしろあと少しの命だ

と僕に言うのが聞こえる、果たしてどうなのだろう

僕は白い布団にその身を倒した、そこに唯一染みのような僕の体があるはずだが今僕は目を瞑っているせいで、僕が居ることを確認するのは無理だ、もしかしたらもう白い中に吸い込まれているのかもしれない

もしかしたらもう殺された後かもしれないもしかしたらもしかしたらもしかしたら・・・僕はいつの間にか目を開けた

時間は後三十時間、果たして僕は


いきなり部屋から声が聞こえた

初めは僕の空耳かと思ったが、それはないだろ、ともう一人の僕が言う

それは確かに間違いがない、僕にしては間違いが起こるはずがない

少なくとも声が聞こえるはずのない場所から聞こえるなどそれなのだ

「おい起きとるか青年」

それは酷くキンキンする声でようやく目を覚まして辺りを見渡す

昔の物語に非現実的いわゆる奇談、怪談、幽霊、お化け、妖怪そのたぐいの中にそんな話がある、しかしそれはねーだろうよ

ともう一人があきれて言う、それは僕としても珍しく意見が同じで気色悪い、まるで僕たちがどちらかを浸食しているようであるが

果たしてもう一人は僕がこう思っているのが分かるのだろうか、じゃあそのもう一人はどこに存在しているのか、、、、

「オイオイ聞いてんのかよ坊や」

それはいよいよ若い声を張り上げて僕くらいのはずなのに坊やと言って来た

「あのどちらさんでしょうか・・」

僕が次の言葉を探している間に

「そんなことはどおでも良いがいちお言っておく、俺はフランス出身の

ギンナ・ブルタンクス、超微小生物的金属個体物、殺し合いの仲間(選手)だよ、よろしくは言わないぜ、よろしくな」

酷くトンチンカンな言葉に感じたがしかし話相手は世界の宝、僕は飛びつくように話す、しかししばらくはなしもしていないので大丈夫かと思ったが口が勝手に心配事を余所に喋り出す

「私の名前は、、、」

喋り出した物の恐ろしいことが分かった

名前がない

それは実に恐るべき概念

そういえば今まで話す相手も個体認識することもなかったから

必要が無く記憶になかったがしかし

名前ってなんだと思う前に名前の概念が僕の中に流れ

おいおいお前名前も知らないのか、適当に0号機ゼロとでも言っておこうぜ、とそんな血も涙もないクールな名前を僕に示した

彼が言うのだからそうインプットされているからにそんな名前なのかもしれないがしかし、始めて呼ばれた「狼」と言う物は少なくとも固有名詞であり個別の名前ではないはずだ、だからこそ名前なんて物が出なかったはず、、、だとしたら、、、だとしたら何だ

「もしかしてお前まだ完成せず機ここに来たとか」

奴は酷く哀れむようにそんなことを言う

しかしその心配しそうな顔がどうも苦手で僕は

ともったらもう一人が、それなら「零子」ゼロコと呼んでレイコだ、どうだ良いネーミングだろ

僕はそれをとっさに言おうとしたが止めた

なぜだか分からないがしかし、だとすると僕のほかに何体もいるのかもしれないなんて思ったりしたがしかし


(何で俺オスなのに女なんだ)ともう一人に叫んだ

「いや俺という物がありながら女々しい

「どういうことだ

「いやだからお前は俺がいればいいのにワザワザちんけな方へ行く

「何が悪い冷徹君

「だからその意味の分からない某占い師みたいに呼ぶな、そのダジャレ自体不要以外にない

「いやお前のダジャレのセンスだし

「いやそれはないわー

「何がないだ、そんなこと言ってる暇はないんだ早く返事しないと



「おっおい聞いてるのか、、おっおい」

なんか顔の三寸前に空気が僅かに揺らいでいるような何かが見える

「ああすみません名前はまだないんです」

「そうかそうか名前は」

そこでとぎり、その靄なような物が動くのを感じた

そして靄がなんと水を流した、いや雨か

驚いてそれを見ていると

「いやいやそう言う血も涙もない研究者が居るというのは夢物語だと思っていたがしかし、実際に居るとはな、、よぉおーーーーし分かった、

俺はフランス代表ギンナだ、お前の不幸からお前が今大会で一番災厄的な境遇だと分かった、お前をこの中の勝者として地上に出す」

「・・・・え・どういうこと」

真顔で聞いてしまったがその顔を見て

「うんうん」と言うようにもやが揺れる

「そういう感情も出ないほど嬉しいんだな」

おい少年これはいったいどういうことだ

いつもの冷静な奴が困っている

これは奴にさえインプットされていない事項のことのようだ

おもしろい

しかし面白がっても居られない

「そういう訳にはいきません」

「どういうことだ」ギンナが言ったその時


扉を激しく金属を打つ音がする

始まったのかと僕ともう一人の僕がため息混じりに言う

しかしこの二つの感情はなまじ繋がっていないかいるかは僕にも分からない、もしかしたらもう一人は僕に隠し事が出来るかもしれない

しかしこればっかしは聞いても、ないよ、と言われて終わりである

実際ありませんが何か、と言われて三日間、自分に自信暗記になった辛いトラウマを思い出す

かくして僕の言うため息の話に戻るが

果たして二人とも腹は実は分からないのかも知れないがしかしこれだけ身体までもが一緒くただといやでも相手のことが分かった気がする

その感じでいくと、やつは、楽しさを押し殺してふつうにしていることに楽しさを覚え、でそのけっかの「ふー」であり

僕の場合は、いつ死ぬのかなーの「フーぅ」であった

しかし二人の気持ちは言い方と悪い方に裏切られた


いつの間にかロックしてある扉が開き

そこにいたのは自分の有する記憶の全てに当てはまらないまるでお伽話にも思われる奇様な輩たちであった

そして今考えればその時が一番楽しく、そしてだからこそ悲しみなのだろう、と思う


それは突如として起こった

いきなり危険音とも思われるブザーが鳴り響く

辺りはそのそうぞうたる音に何もなびかない

最初から初めから全てが分かっていたからだ

しかし彼らの中には希望しかない

なぜなら今が楽しいからだ

僕はだからここに残ろうとした

この先これほど楽しいことなど無いだろう

ここからもしも出られたとしても最悪動物園よりも酷く

そして最高でも動物園だろう

どこまで行っても僕は僕であり人ではない

そして人にも動物にも何にもならないそれが僕だ

だからこそここが死に場所のような気がする

何が楽しくて生きなければならない

生きることは楽しいか

僕は苦労に足を踏み出さねばならない

なぜ皆僕にそんなに生きて欲しいのだろう

僕たちの居る狭い空間が徐々に熱くなる

爆風が下の階で聞こえた


僕の部屋に入って来たのは孔雀のような美しいドレスに手の三本生えている女だった、そいつは片手に酒瓶それも自分の身長ほどもある大きな奴を引きずり、もう片方には彼女が乗れそうな程の杯という物が握られていた

「あんた新入りだね」

後ろで小物かん丸出しのロボットたちががやがや言って

「姉さん私たち皆新入りですよ」

「うるさいわねーー燃やすわよ鉄諸共」

女はそう言って彼らに唇を突きつけると

やつらは「ワァーーーー」と言いながら子供のように逃げていった

「アイツラは半金属性物態、まー気持ち悪いくらい良い奴らだから気にしなくても良いけどたまに自分の丈夫さ忘れる所あるからそこは自己責任だ

、挨拶が遅れました、私は中国代表、クリャだよろしく頼むよ狼の坊や」

「はい、僕は、、、、」


「あーーー良い良い、壁際で聞かせてもらったから

私はあなたのことを坊やって呼ばせてもらう」

「でっでも」

確かここは完全防音のはずだそれで聞き出すなんてこと果たして可能なんだろうか

「まーいいからその呼び名代に酒たらふく飲ませてやる」

この僕に未成年なんて言葉があるかは正直、分からない

しかしそれはいつ出来たという意味ではもしかしたら僕はもの凄い早い段階でそれが作られていてもおかしくはないし、また逆もしかり

脳内の記憶を作れているのだからそれなりにいろいろと作られているとしてた、今の状況だってその外側ではないとも言い切れない

「なーあーにボウヤ、そんな難しい顔しちゃって」

僕は急いでそれを直そうとしたが彼女の高笑いに釣られて笑ってしまう


「おいおいお前何に笑ってるんだ

「いや何となく

「何が何となく駄馬らしい、そういう奴かも知れないではないか

「どういうことだよ

「そ、おいおいそんなことも分からんのか貴様

「・・・・何が

「何がと来たか、、、つまりあいつがもし記憶操作または感情を変えることの出来る生物ならどうする

「いやいやそんなこと

「馬鹿にするなここはそういう所だ、お前は死にたいかもしれんが俺は別段死も生も怖くはない、しかし言うなれば本能的に死は許されておらんのだよ貴様と違い

その声はどこか珍しく以苛立たしげだった

「おっお前もしかしてしっ」

そこで僕は軽く脳内を殴られた気がしたがどうやら勘違いも甚だしかったようであった

「あんた聞いてんの、あんたったら」

それは目の前にいた孔雀の、、、、えーーと

クリャだ

脳内でもう一人が言う、こういう時だけ助かるものだ

誰がこういうときだお前がもうちょっとしっかりしろ

俺たちは変わらないお前がやらぬから俺がやるお前がやれば俺はやらずにすむのだからな

そんなもんかなー

僕は適当に考えながら前を見ながら

「そういえば彼らとはどういうご関係で」

とさっきのロボットみたいな奴について聞いてみることにした

そういえばあのガス人間みたいなのは

「ギンナだ超小型生物的金属的生体っだっけ

お前忘れてるじゃないか

「どっちにしろギンナで良い

ああ分かったよ、それくらいは覚えている

「うそこけ


「あら気が付いたと思ったらいきなり質問

まあ良いけどあなたの質問には一つ条件があるわ」

「なんでしょう」

これほど隙なく美しい人だときっと世にも恐ろしい罠混じりの物だろう

それがどれほど単純でいて軽い会話でも質問でも要望でも

きっと彼女なら一つのビジネスととるのかも知れない

あくまでも知れないから知らない

「詰まらんな

お前がいうな


「そういえば知らないわね気づいたらそばに居たわ」

「だ、大丈夫なんですか少なくともここは殺し・・」

「あらあなたまだそんなこと言ってるの」

「と言うと」

「分かってるとは思うけどなぜまだ時間じゃないのに彼らが動き回れると思う」

「それは、、、誰かプログラムに通じた物がいて戦いを早めるために」

「そんなわけ無いでしょ」

そお言って「ちっちっち」と指を三回振ると

「これは全てヤラセなの」

「ほっ本当ですか、しかし何のために」


「おいお前は馬鹿以外にないのかその脳は

何言ってるこれはお前の脳でもあり第一お前の馬鹿呼ばわりされる筋合いどころ無いが、、お前は分かるのか

「分からないならおまえを馬鹿とは呼ばないもんだろ

うむ、なら

「あちらさんの話に耳でも傾けていれば分かることだろう俺の詰まらない声よりかはまだ良いはずだ

お前それ本当に言っているのか

「さぁーーどうだろうな


「あら本当にあなたモンスターだったの」

「、、、ここにいるからにはそうと思いますが、だったのとは」

「いや、少し反応が遅かったから」

「すいません鈍いもので」

「あら良いのよ、おちょくるのは、そういう人の方が好きですもの」

「いやえーーと」

「話は戻すけど」

戻されてしまったがまあそれの方がいいような気がしている

「これは悪魔で親善試合なんて物ではない、この勝負は初めから結果という物が決まっていた」

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